2016年8月24日 水曜日

松江城

 全国に現存する12天守の一つで、山陰では唯一天守が現存している城である。羽を広げたような千鳥破風の美しさから千鳥城とも呼ばれている。1611年(慶長16年)、出雲・隠岐の領主、堀尾吉晴が5年の歳月をかけて築城させた。(城の完成直前に堀尾吉晴は亡くなっている) 堀尾家3代、京極家1代、松平家10代の居城であった。

 天守の構造は南面の入口に附櫓(つけやぐら)が付属した複合式で、入母屋造の屋根に望楼(物見)を載せた望楼型。4重5階地下1階で、高さは約30mある。城郭構造は輪郭と連郭の複合式で、山と平地を利用した平山城となっている。

 明治期の廃城令により天守以外の建造物は取り壊されてしまったが、地元の豪農・勝部本右衛門、旧松江藩士・高城権八ら有志の奔走によって天守閣だけは保存され、現在では松江のシンボルとして親しまれている。2015年(平成27年)には国宝指定を受けたが、天守が国宝に指定されるのは63年ぶり5件目であった。

所在地  島根県松江市殿町1-5
観覧情報  登閣料 大人 560円 / 登閣時間 8:30-18:30 (4/1-9/30)
備考  別名:千鳥城 / 国宝 / 現存12天守の1つ

大山登山後、米子大山線(県道24号)の途中で大山を撮影。すでに山頂部に雲がかかっていた。

11:50 市営大手前駐車場に到着。満車だったが、待ち時間15分ほどで停めることができた。

松江市の礎を築いた堀尾吉晴公の銅像。

国宝の松江城にやってきました。

大手木戸門跡から松江城天守へ向かいます。

二之丸下ノ段から三之門に向かう石階段。左の見事な高石垣は、打込み接(うちこみはぎ)・乱積み。打込み接とは積み石を加工して石の隙間を少なくし、空いた隙間にも間石(あいいし)を噛ませる積み方で、乱積みとは横方向の石の列が揃っていない積み方。

階段上部脇の大クス。樹齢は350年。

石階段の右手には芝生の広場(城山公園)が見渡せる。元々は米蔵などが建っていたとのこと。

石段を上がると高石垣の向こうに天守が見えた。こちらの石垣は自然石をそのまま積んだ野面(のづら)積み。

三ノ門跡。

二ノ門跡。

二ノ門跡の近くに松江神社があった。

二ノ門跡を通過していよいよ一ノ門へ。

一ノ門をくぐると本丸で、右横に天守閣に登る登閣券を購入する事務所があった。

本丸入口付近から眺めた松江城天守。手入れの行き届いた生け垣の向こうに黒く勇壮な天守閣がそびえる。城をたくさん見て回ったわけではないが、一目見てこれほど見栄えのする天守閣はないのではないかと感じた。そう思うほどこの天守閣は抜群に格好よい。

全体が黒く厚い雨覆板(あめおおいいた、下見板張り)で覆われており、白壁が少なくて窓廻りの木部も全て黒塗りのため、重厚かつ堅牢な印象を受ける。石垣を含めた天守閣全体のバランスもひじょうによい。

天守に近づいて斜め下から仰ぎ見る。やはり惚れ惚れするほど格好よい。明治期、民間に払い下げられた際は180円(現在価格 約120万円)で落札され、勝部本右衛門等が買い戻さなければ取り壊されていたわけだが、今となってはとんでもない話しである。

天守正面から見上げてみると、左右均等の美しさにまたも魅入られる。実戦を強く意識した質実剛健の造りと言われているが、究極の機能美とはこのことだろうか。

石垣は野面積みの一種で、胴長の石を積む「牛蒡積み」といわれる城石垣特有の強固な技術が使われている。

城内に入った地階に飾られた築城当時の旧鯱。木製の銅板張で、現存天守の中では最大の高さ約2m。

深さ24mの井戸は城郭建築では唯一の現存例。井戸の底には投げ入れられた無数の賽銭が光っていた。

1階から4階の各階の間に設けてある階段は、防火防腐のため桐でできている。つるつると滑りやすかった。

松江城天守を支えてきた寄木柱。金属で束ねられた強固な柱は、周囲が寄木で芯は松材となっている。

城内には武具や城に関連する資料が展示されていた。城内はそれほど混んでおらず快適に回れた。

天守2階。フロア中央に松江城下町の大きな模型が展示されていた。

黒光りする年季の入った床板。様々な展示よりも、柱や天井、梁や床板など、城そのものに魅せられた。

天守3階の様子。各地の名城の写真が飾ってあった。この上は望楼最上階だが、中2階を通って上にあがるようになっていた。

最上階に到着。風が吹き抜けて涼しかった。展望を楽しむ人よりも、涼んでいる人の方が多いくらいだった。

松江城天守閣最上階にある望楼からの眺め。

東側。左奥に嵩山(だけさん)と和久羅山。手前には松江歴史館。中央奥には大山が見えるはずだが、この時間はほとんど雲に隠れていた。最上階「天狗の間」は、四方を展望できる「望楼式」になっていて、松江市街を一望できる。

南側。宍道湖(しんじこ)の向こうは、左から天狗山、空山、二子山、八重山などの中国山地。松江郷土館や島根県庁も見えた。

西側の眺め。左奥は朝日山。各方角ごとに展望図(絵)が窓枠の上に掛けられていた。

北側の眺め。真ん中付近に真山と大平山。

20分ほど天守閣でのんびりした。昼過ぎとなって人が増えたと思っていたが、天守閣以外はガラガラだった。

上からみた階段はかなり急。滑るので気をつけた下りた。

大満足で松江城天守閣を後にした。

13:25 駐車場代500円を支払い、美保神社へ向かった。