2016年10月15日 土曜日
安達太良山
1,728 m

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コースタイム
あだたら高原P 5:20 ⇒ 五葉松平 6:25 ⇒ 6:35 薬師岳 6:45 ⇒ 8:05 乳首山 8:30 ⇒ 9:15 船大明神 9:20 ⇒ 船明神山 9:30 ⇒ 10:00 矢筈森 10:05 ⇒ 10:30 鉄山 10:50 ⇒ 鉄山避難小屋 11:00 ⇒ 11:40 箕輪山 12:00 ⇒ 鉄山避難小屋 12:40 ⇒ 12:55 鉄山 13:10 ⇒ (食事15分) ⇒ 峰ノ辻分岐 13:50 ⇒ 峰ノ辻 14:05 ⇒ 14:40 くろがね小屋 14:45 ⇒ あだたら渓谷自然遊歩道 15:45 ⇒ あだたら高原P 16:10
4:45 あだたら高原駐車場

あだたら高原駐車場に到着。すでに車の数は多かったが、広大な駐車場なので空きはいくらでもあった。

5:20 登山スタート。登山口がどこかはっきり分からなかったが、ゲレンデの方角へ進むと道標が出てきた。

分岐になかなか着かないので後から追いついてきた足の速い登山者にルートを確認。するとその方は親切にも分岐で待っていて、わざわざルートを再確認してくれた。

分岐からしばらく進むと広いスキーゲレンデの上りとなる。

5:50 朝陽が昇ってきて、ほんの数分間だけ辺り一帯を燃えるような赤に染めた。

何度観ても日の出は神々しい。

リフト降り場まで上ると、登山道が分からなくなった。周辺を探してやぶ漕ぎ気味の道をやっと見つけた。

しばらく進むと、見事に紅葉した薬師岳の東側斜面が見えた。

鮮やかに紅葉した潅木帯を進む。潅木が背丈以上に高くて、見晴らしのきかない場所が多かった。
6:35 薬師岳 1,322m

薬師岳見晴台に到着。登山者が数人眺めを楽しんでいた。

西側の安達太良山。左から乳首山、矢筈森、鉄山、箕輪山と続く。紅葉の圧倒的な広がりに目を奪われた。

北側の眺め。朝陽が紅葉をより鮮やかな色彩にする。左は箕輪山で、その右奥には一切経山と吾妻富士。

薬師岳の立派な道標。

6:45 先へ進む。時間とともに人は増えるだろうから、なるべく早く山頂稜線に出たかった。

見晴台からしばらく進むと、見事に紅葉した小ピークが目の前に現れた。

今年は赤色が少ないとの書き込みをヤマレコで目にしていたが、十分に見事な広葉でした。

7:15 仙女平分岐を通過。

傾斜は増してきたが、上りやすく整備された木道が続く。

逆光でなかなかよい写真は撮れなかったが、何度も振り返って東側中腹の紅葉を眺めた。

南側の眺め。真ん中は前ヶ岳で和尚山の山頂が右上にのぞいている。

雲ひとつない快晴に、素晴らしい山行となることを確信した。

紅葉の時期にはロープウェイが動き出すと渋滞する道だが、早朝は登山者の姿が少なくて快適に歩けた。

北側には安達太良山東側斜面の紅葉。左の小山は篭山で稜線の向こうは福島市の街並み。

広大な紅葉を楽しみながら、せっせと上る。

そのうち山頂が視界に入った。

下から眺めた安達太良山山頂の乳首山。なるほど乳首のような円錐峰です。

山頂直下の赤茶けたガレ場を上る。

北側に見えた矢筈森と鉄山の荒々しい岩壁。下はカール状になっているが、氷河に削られたものだろうか。

広々とした山頂稜線に出た。高村光太郎が詩に歌い、妻の智恵子が「ほんとうの空」と呼んだ安達太良山の青く澄みきった空が、目の前に広がっていた。
8:05 乳首山 1,700m

岩場を上って乳首山の上へ。

山頂(乳首山)に到着。人がまだ少ないうちに記念撮影できた。

西側正面の船明神山。真ん中右の尖った部分が船大明神で、奥向こうが磐梯山。

北側の眺め。山頂稜線の先に矢筈森と鉄山が縦に並び、鉄山の右上に箕輪山の山頂部がのぞいている。左端には硫黄の漂白作用で白くなった火口の一部が見えており、その上が胎内岩。そして左奥には吾妻連峰がずらりと並んでいる。

北東側。左から真ん中辺りの篭山へ延びる登山道がくっきり見える。その向こうは福島市。

南東側。眼下の広い山頂稜線に登山者の姿が増えてきた。左上には薬師岳が見える。

南側には和尚山。左は前ヶ岳。右奥に那須連山が幽かに見えていた。

南西側には、二ッ森、大滝山、天狗角力取山(てんぐすもうとりやま)、川桁山(かわげたやま)などの山塊。その後ろは霧に覆われた猪苗代湖。

山頂は360度の大展望でテンションが上がった。

おにぎりを食べてしばし眺めを楽しんだ。

山頂標の前で記念撮影して、8:30 移動開始。

まだ登山者の少ない山頂稜線を進む。乳首から峰ノ辻分岐までは「牛ノ背」と呼ばれている。

広々とした牛ノ背を歩く。

牛ノ背の途中に驚くほど土が赤い区間があった。

赤茶けた土の上に大小さまざまな岩がゴロゴロしていた。火山であることが一目でわかる。

前方には矢筈森と鉄山。火山特有の荒涼とした眺めを楽しみながら歩く。

8:50 分岐に到着。ここから左の南西側に折れて、船明神山へ向かう。

分岐付近から沼ノ平の火口が見下ろせた。

すり鉢状の火口を囲む岩壁の南側が船明神山で、すり鉢の縁に道がついている。

火口の底は真っ白な沼ノ平。左奥の岩壁が障子ヶ岩で、右奥が胎内岩。沼ノ平の向こうには秋元湖が見える。

1900年の大規模な水蒸気爆発で長径300m、短径150mの火口が形成され、沼ノ平にあった硫黄精錬所は壊滅。72名の死者を出した。1997年にも登山者4名が火山性ガスで亡くなる事故が発生し、現在沼ノ平コースは通行禁止となっている。

船のように平らな船明神山へ向かう。

背後には鉄山と矢筈森。今回の写真でニコンとキャノンでは発色がかなり違うとわかった。赤茶けた地面の色はニコンの方が自然色に近く、キャノンでは黄色くなってしまう。キャノンの方がくっきりと鮮明な映像になるが、どうも緑や青が強くでるようだ。

沼ノ平火口を何度ものぞきこみながら火口の縁を上った。南北に長い船明神山のピークは南側(左)にある。

分岐の手前まできた。右は船大明神。

船明神山の分岐に到着。ここで北側の右に折れて、まずは船大明神の尖塔へ向かう。

磐梯山と船大明神。

角のように岩が突出する火口の縁に沿って船大明神へ向かう。登山者2名の姿が見えた。
9:15 船大明神 1,667m

船大明神に到着。

ちょうど2名の登山者と入れ替わりになった。

西側の磐梯山。左に川桁山、右には白布山と秋元湖。

磐梯山も1888年に噴火しており、そのときの水蒸気爆発で小磐梯が山体崩壊してほぼ消し飛んでしまい、発生した爆風と岩屑なだれにより北麓の集落(5村11集落)が埋没して477名の死者を出している。凄まじい爆発だったようだ。

北西側の眺め。左下には障子ヶ岩へと向かう火口縁、右には吾妻連峰と胎内岩。

北側には沼ノ平火口。下まで降りて火口の底から周囲を見渡してみたいものだが、有毒ガスが出ていては諦めるしかない。

東側には乳首山(左奥)と船明神山。9時を回り、登山者の姿が増えてきた。

南東側。船明神山の隣は和尚山。

狭い尖塔の上なので足元に気をつけて記念撮影。

9:20 夫婦の登山者が上ってきたので移動開始。

分岐を過ぎて船明神山のピークへ行ってみた。
9:30 船明神山 1,667m

船明神山のピークと思われる北側端まできたが、ハイマツなどが生い茂っていて、三角点や道標などはなかった。写真は東側の乳首山。

船明神山から眺めた磐梯山方面。

船明神山から眺めた磐梯山と船大明神。

一通り写真を撮して分岐へ引き返した。

分岐から矢筈森方面へ来た道を戻った。

9:50 牛ノ背まで戻ってきた。

牛ノ背を歩いて矢筈森へ。風が強いと吹きさらしとなるルートだが、この日はほぼ無風だった。

5分ほど歩くと峰ノ辻と鉄山の分岐に到着。ロープウェイ(8時半始発)の利用者が山頂に到着する時間となって、一気に登山者の数が増えた。右の小高い山が矢筈森のピーク。

分岐から矢筈森へ向かう。分岐から鉄山までの稜線は「馬ノ背」と呼ばれている。

ルートから外れて矢筈森に上ってみた。踏み跡がいくつもあり、どこからでも上れる。
10:00 矢筈森 1,673m

ものの数分で矢筈森のピークに着いた。ここもまた360度の絶景だった。

ほとんどの登山者はこのピークをスルーするようで、上ってくる人はいなかった。

矢筈森から眺めた沼ノ平火口。輝くばかりに白い火口に赤茶けた土と黒々とした岩壁。遠く磐梯山も見えて、惚れ惚れするような景観の広がりに感じ入った。

船明神山と障子ヶ岩。強烈な日差しが刻むくっきりとした陰影が、噴火口の荒々しさを際立たせる。

北側の鉄山。山頂部の広さと多様性に安達太良山の素晴らしさを実感した。

しばし眺めを楽しんでルートへ下りる。

矢筈森からの下りは、足元が滑りやすかった。

東側の紅葉を斜面に沿って見下ろすと、くろがね小屋の屋根が小さく見えた。

鉄山へ向かう人の列。鉄山山頂にも登山者の姿が見えた。

鞍部まで下ってゆるやかに上り返す。

鉄山の岩稜が近づいてきた。近くまで来ると、その大きさが如実に分かる。

岩峰の東側を巻いて上っていくが、危険なところはまったくない。

広いところまで来ると、もう一段上に岩稜が見えてきた。

今度は岩稜の西側を巻いて、後ろ側に回る。

大きな岩を積み上げたような鉄山の岩稜を右手に見ながら進む。

吾妻連峰を見ながらゆるやかに上る。

鉄山の山頂稜線に出た。
10:30 鉄山 1,709m

鉄山に到着。南端のピークは登山者でにぎわっていた。

山頂部は奥行きがあって広いので、登山者は思い思いの場所で休んでいた。

鉄山からの眺めもまた素晴らしかった。おにぎりを食べてゆっくり休むことにした。

南側。左から乳首、和尚山、船明神山、船大明神。

南西には沼ノ平火口。

西にそびえる磐梯山。

北西には吾妻連峰。右の平らな山が次に向かう箕輪山。

鉄山の東側の断崖。よく見ると、断崖の下にくろがね小屋の屋根が確認できた。

くろがね小屋方面の谷間は綺麗に紅葉していた。右側に篭山と薬師岳が重なって見える。

沼ノ平火口と磐梯山を背景に写真撮影。

10:50 移動再開。鉄山避難小屋を経由して、箕輪山へ向かう。

吾妻連峰と箕輪山を前方に眺めながら、広々とした稜線をゆるやかに下る。いつの間にか北の空に雲が湧き出ていた。

鉄山から避難小屋までは10分ほど。ここまでくると登山者の数はぐっと少なくなった。

11:00 鉄山避難小屋に到着。無人の小屋だが、中をのぞいてみると登山者が独りで食事をしていた。

少し上れば箕輪山に着きそうに見えたが、台地の端までくると鞍部への下りが思いのほか深かった。

鞍部まで急坂を下る。避難小屋から1時間もかからないと思っていたが、それくらいはかかるかもと思い直した。

遠くからだと分からなかったが、箕輪山へ向かう鞍部も綺麗に紅葉していた。安達太良山の他の山とはまるで雰囲気が違った。

シャクナゲなどの深い潅木帯を10分ほど下ると、笹原の鞍部に出た。

鞍部からゆるやかに上り返す。傾斜は徐々に増した。
11:40 箕輪山 1,728m

11:40 安達太良山最高峰、箕輪山に到着。意外にも多くの登山者が休んでいた。

山頂は東西に広く、西側の端でも団体が休憩していた。

南側には乳首山、鉄山、和尚山、船明神山など安達太良山の山々が並ぶ。

西側には磐梯山。左下には箕輪スキー場の大駐車場が見える。

北北西には吾妻連峰。左から西大巓(にしだいてん)、西吾妻山、中吾妻山、中大巓、継森(つぐもり)、真ん中に東吾妻山、前大巓、一切経山(いっさいきょうさん)、吾妻小富士と続く。

菓子パンを食べてひと休み。

12:00 下山開始。時間的には余裕があったが、とりあえず鉄山まで戻ることにした。

シャクナゲの潅木帯を抜けて下ってゆく。

鞍部の紅葉を眺めながらのんびり歩いた。

西側の斜面の紅葉。沼ノ平火口や鉄山周辺の荒々しさとは対照的な優美な景観。

鞍部まで下り、笹平分岐で僧悟台への道を分けて進む。

鉄山避難小屋のある台地まで上り返す。まだ十分余力はあった。

急坂を上り終えて、平坦な台地に出た。避難小屋が近づいてきた。

12:40 鉄山避難小屋を通過。

鉄山へ向かってゆるやかに上る。

広い稜線に出る。

のんびり歩いて、12:55 再び鉄山に到着。

とにかく眺めがよいので、つい同じような写真を何枚も撮ってしまう。今回撮した写真はなんと1,200枚を超えていた。

南側、山頂稜線の先には矢筈森と乳首山。右奥は和尚山。

白毛門に続き、今回も自撮りに挑戦。

13:10 鉄山を後にした。

午後になっても天気は最高。沼ノ平火口を右手に見ながら進む。

馬ノ背を歩いて矢筈森へ。午後になっても多くの登山者が鉄山へ向かっていた。

鉄山を下りてしばらく歩くと、急にお腹が減ってきた。

仕方ないので腰を下ろせそうな岩場でカップ麺を食べることにした。

15分ほどでお腹を満たし、先へ進んだ。

小ピークを越える。

13:50 峰ノ辻分岐に到着。左に折れて、峰ノ辻へ向かう。

峰ノ辻方面へ向かう登山者の列が見えた。

南側を見上げた先には乳首山。山頂付近に登山者の列が見えた。

14:05 峰ノ辻に到着。

ここからの下山路は、くろがね小屋経由と勢至平に別れる。

紅葉が見たいので、くろがね小屋経由で下りることにした。

東側に見えた篭山。篭山の左下には勢至平から下るルートが見える。

大半の登山者は、コースタイムが20分程短い勢至平から下るようだった。

左側を見上げると、稜線下の斜面が見事に紅葉していた。

登山道の周囲も紅葉が鮮やか。

鉄山の東側斜面も一面に渡って紅葉していた。

西側には鉄山の荒々しい岩壁がそびえる。

岩壁の下は花を敷きつめたような見事な紅葉。つくづく素晴らしい山だと感じ入った。

登山道右手、篭山方面の紅葉もまた素晴らしかった。

足を止めて周囲の紅葉を何度も眺め渡した。

下りの傾斜がきつくなって、小屋が見えてきた。

紅葉に彩られた斜面の下に、くろがね小屋が現れた。

くろがね小屋付近から見上げた鉄山の岩壁と鮮やかな紅葉。立入禁止とあったが、周辺は硫黄臭がキツかった。
14:40 くろがね小屋 1,350m

くろがね小屋に到着。泊まり客が多いようで、小屋の回りは登山者でにぎわっていた。

くろがね小屋の入口付近にあるデッキから眺めた紅葉。

5分休んで、14:45 下山開始。

車が通れそうな幅広の道が続いた。

せっせと歩いて、15:05 勢至平からの道と合流。前を歩く登山者の姿が増えてきた。

広い馬車道ではなく登山道を歩いたが、下が湿った粘土質で滑りやすかった。

15:45 あだたら渓谷自然遊歩道入口の道標を通過。

自然遊歩道に入ってからは烏川沿いのルートとなり、橋を何度が渡って進んだ。

遊歩道は小さな滝や岩など、ちょっとした景勝が連続する。写真は「昇龍滝」。

こちらは「魚止滝」。

滝見橋を過ぎると烏川から離れて上りが続いた。

まだ着かないのかなぁと思い始めた頃にゴールが見えた。

温泉などの施設が立ち並ぶ車道をしばらく歩いて、16:10 駐車場に到着。大満足の山行でした。
1時半起床、2時出発。4時45分にあだたら高原駐車場に到着した。奥岳登山口から薬師岳コースで山頂に出たが、安達太良山の東斜面一体が見頃を迎えた紅葉に鮮やかに彩られていた。山頂(乳首山)で360度の大展望を楽しみ、沼ノ平の荒々しい火口を横目にしながら変化に富む山頂稜線を船大明神、船明神山、矢筈森、鉄山、箕輪山と巡って、懐の深い安達太良山群の山歩きを終日堪能した。下山路のくろがね小屋周辺の紅葉も見事だったし、あだたら渓谷自然遊歩道も見どころが多くて思いのほか楽しめた。天気は快晴で紅葉は見頃、しかも山全体の景観が素晴らしく、これ以上ないほど素晴らしい山行となった。
帰りの高速では渋滞によるのろのろ運転が続いて疲弊したが、車列は常に動いていたのでそれほど時間のロスはなく、3時間半ほどの運転で帰宅できた。以前から紅葉の時期に登りたいと考えていた山だが、時節を逃さず登れてよかった。