2016年8月7日 日曜日
雨飾山
1,963 m

|
||||||||
|
コースタイム
雨飾高原キャンプ場 4:15 ⇒ 荒菅沢 6:00 ⇒ 笹平 7:30 ⇒ 8:00 雨飾山 8:55 ⇒ 笹平 9:20 ⇒ 10:20 荒菅沢 10:30 ⇒ 雨飾高原キャンプ場 11:40
登山前日

9時過ぎに自宅を出発して、13時過ぎに白馬村に入った。

13:30 大出公園の駐車場に到着。5台分の狭い駐車場だが、運よく停めることができた。

最初の撮影スポット、大出の吊り橋を渡る。樹木が邪魔で白馬岳の眺めはいまひとつと感じた。

せっかくなので近くの水車小屋まで歩いた。

水車小屋。気温が高くて歩くだけで汗をかいた。

大出の吊り橋まで戻って、次は純喫茶カミニートの向かいにある展望台まで歩いた。展望台からの眺めは素晴らしかったが、白馬岳には雲がかかっていた。

姫川で水遊びをする人たち。

14:10 次は白馬八方第5駐車場に車を停めて、白馬大橋へ向かった。

掲示板の簡略な地図で場所を確認してから白馬大橋へ。とにかく暑くて日差しが強烈だった。

14:20 白馬大橋に到着。

橋の下を流れる松川と山頂部がのぞいた白馬岳。松川で犬と泳いでいる人がいた。

橋の脇から川まで下りられたので、しばらく河原で遊ぶことにした。

小さな子どもでもいれば、一日楽しく遊べそうな場所だった。

削られて丸くなった石をいくつか見つけた。手のひらサイズのものをひとつだけ持ち帰ることにした。

青鬼の村落にも寄ったが、白馬岳は依然雲の中だった。14:10 雨飾高原キャンプ場に到着。

管理棟は登山者専用サイトから階段を上がったところにあった。2名分1,400円の幕営料を払って、テントを設営した。

テントは我が家を含めて5張りのみ。この後ひと張り増えたが、スペースが空いていて快適だった。

道路を挟んで建つトイレ兼休憩小屋。

いつものように豚の角煮とアルファ米で夕食を済ませた。芝生はバッタだらけだったが、蚊は少なかった。

綺麗な夕焼けを期待して待ったが、それほど染まることなく日暮れとなった。

そのうちガスが出てきた。携帯が通じたので娘に電話をして、19時頃には横になった。
雨飾山登山当日
イビキの強烈なおじさんがいて、一晩中信じられないほどうるさかった。あれほどの大音量が延々続くのは初めての体験だった。その上暑くて寝苦しかったが、0時を回ると今度は肌寒くなり、寝袋を出した。翌朝、テント内の荷物を車内に運び入れる際に、駐車場までおじさんのイビキが響き渡っていることに気がついた。隣のテントは同行者のようだったが、あのイビキを隣で聞きながら寝られたのだろうか。とにかく桁外れのイビキだった。
3:00 雨飾高原キャンプ場

目覚まし時計で起床。外は満天の星空だった。 テントを撤収してから出発するつもりでいたが、夜露でかなり濡れていたので、テントは下山後に片付けることにした。

暗闇の中、4:15 登山スタート。夜明けにはまだ間があるが、なるべく早く出ることにした。

登山道で何度かカエルを見かけた。小さな沢ではイワナも見たが、きちんと撮影できなかった。

平坦な下り基調の後は緩やかな上りとなった。5時近くになって、ヘッドライトのいらない明るさになった。

薄暗い山道脇にたくさん咲いていたジャコウソウ(麝香草)。名前は麝香だが匂いはしないようだ。

登山口から山頂までを400m毎に11分割した標識があった。距離よりも標高で分割した方がよいと思うが、そちらの方が難しいのかも。

ヤマアジサイ(山紫陽花)もたくさん咲いていた。

オオカメノキ(大亀の木)の赤い実。ガマズミ属の落葉低木。ムシカリとも呼ばれる。

5:20 ブナ平を通過。ブナにつけられた赤マークの位置からすると、冬はかなりの積雪があるようだ。

しばらく上ると開けた場所に出た。ずっと無風に近い樹林帯が続いていたので、風が通って心地よかった。

ツルニンジン(蔓人参)。高麗人参と同じような効能があるといわれ薬用にもされる。

荒菅沢源流部の奥壁、布団菱が見えた。雲ひとつない青空に期待が高まった。

しばらく下りが続き、復路の上り返しがキツそうに感じた。

6:00 荒菅沢に到着。

沢沿いは空気がひんやりしていて、つかの間の涼を得た。#

荒菅沢から布団菱を見上げる。深田久弥はこの沢沿いを直登して雨飾山に登っている。

ミヤマシシウド(深山猪独活)かな? セリ科は見分けが難しくて分からない。

湿った場所を好むサワオトギリ(沢弟切)。

荒菅沢からは梯子を交えた急登となる。

梯子の次はクサリ場。

ヨツバヒヨドリ(四葉鵯)。キク科フジバカマ属。

樹間に見えた布団菱。まだ雨飾山の山頂部は見えない。後発の登山者数名に追い越されたが、思ったよりも登山者は少なくて静かな山歩きが続いた。

ソバナ(蕎麦菜)。キキョウ科ツリガネニンジン属。葉が互生、萼裂片は鋸歯がなく反り返りがない。

下は滑りやすい粘土質で、足場となる岩石がないところは滑りやすかった。

森林限界を超えると一気に視界が開けて、布団菱(左端)の右奥にやっと雨飾山の山頂が見えた。登山道は笹平に出る右側の尾根につけられており、日差しを背に受けての上りとなった。

ヤマハハコ(山母子)。キク科ヤマハハコ属。

トリカブト(鳥兜)。キンポウゲ科トリカブト属。日本三大有毒植物のひとつ。

コース上もっとも厳しい急登が続く。

また梯子。

やっと稜線に出て、ここからは雄大な眺めと高山植物を楽しみながらの登山となった。

ハクサンシャジン(白山沙参)。ツリガネニンジンの高山型。ヒメシャジンなどと違って葉が輪生している。

7:30 笹平を通過。

笹平の名前の通り、笹原に覆われたたおやかな台地が広がっていた。

笹平に出ると北西側の展望が一気に開けて、糸魚川市と日本海が見えた。

北側には鬼ヶ面山と鋸岳の岩稜。鋸岳の右上は烏帽子岳と鉢山。鉢山の右上は鉾ガ岳。

南側の眺め。左に地蔵山と高妻山。高妻山の右、ほぼ中央には堂津岳と戸隠山が重なって見える。右は東山。

ミヤマコゴメグサ(深山小米草)。名前の通り、見過ごしてしまいそうな小ささ。

シモツケソウ(下野草)。バラ科ソモツケソウ属。

正面の雨飾山に向かって笹原を進む。高山植物のピークは過ぎているようだったが、それでも多くの花が咲いていた。

新潟側・雨飾山荘からのコース合流点を通過。

笹平のゆるやかな起伏を進む。

群生していたタテヤマウツボグサ(立山靫草)。シソ科ウツボグサ属。

ミヤマアキノキリンソウ(深山秋の麒麟草)とウメバチソウ(梅鉢草)。

オオバギボウシ(大葉擬宝珠)。大ぶりの花なので存在感があった。

なだらかな笹原の台地をさらに進む。とても心地よい時間だった。

山頂直下の急登にさしかかると、斜面一帯にお花畑が広がっていた。

マルバダケブキ(丸葉岳蕗)。キク科メタカラコウ属。

タカネニガナ(高嶺苦菜)。キク科ニガナ属。

高山植物が咲き乱れる急斜面を上る。

タカネナデシコ(高嶺撫子)。ナデシコ科ナデシコ属。

ダイモンジソウ(大文字草)。ユキノシタ科ユキノシタ属。

急登だが標高差は60mちょっとなので短く感じた。

ヤマホタルブクロ(山螢袋)。キキョウ科ホタルブクロ属。

8:00 雨飾山に到着。山頂は「猫の耳」と呼ばれる双耳峰で、北峰にザックを置いて50mほど先の南峰へ移動した。

南峰の山頂標で、単独ハイカーのおじさんとお互いの写真を撮りあった。

北峰に戻って食事にした。周囲は360度の絶景。南側には左から乙妻山と高妻山、堂津岳、雲のかかった戸隠山、少し空いて東山と黒鼻山が見える。右手前は大渚山(おおなぎやま)。

南西側には北アルプス北部の山々がずらりと並ぶ。左から鹿島槍ヶ岳、五龍岳、唐松岳、白馬三山、雪倉岳、朝日岳。

左から唐松岳、白馬鑓ヶ岳と杓子岳、真ん中に白馬岳、右に雪倉岳。

左から鹿島槍ヶ岳、五龍岳、唐松岳。右端に白馬鑓ヶ岳。鹿島槍ヶ岳の左に爺ヶ岳が幽かに見える。

北西側には糸魚川市と日本海。白馬岳に水源をもち糸魚川市を流れて日本海に流れ込む姫川の流域がよく見える。

北側の眺め。鬼ヶ面山と鋸岳が山裾まで見える。鋸岳の右上は烏帽子岳と鉢山。鉢山の右上にはうっすら鉾ガ岳。

北東側には歩いてきた笹平が一望できる。笹平の上は昼闇山(ひるくらやま)。

東側には金山と天狗原山が大きく、その左上には煙を噴く焼山と火打山が見える。

北峰の石仏は糸魚川地方の羅漢上人が刻んだもので、雨乞いと豊作を願って頂上まで運んだと云われる。

静かな山頂で1時間近くのんびり過ごした。

目の前のクガイソウ(九蓋草)にミヤマシジミが留まっていた。

山頂で飛び交っていたベニヒカゲ。

8:55 身仕度を整えて下山開始。ここ最近の登山では、一番長く山頂に滞在した。

山頂直下の急登を下る。上ってくるハイカーの数が増えてきた。

広々とした眺めを楽しみながら下る。上空に小さな雲が出始めていたが、天気はまだまだ持ちそうだった。

緑の台地を上から眺める。何とも言えずよい光景だった。

急坂なので気は抜けないが、余力は十分だった。

オタカラコウ(雄宝香)。キク科メタカラコウ属。メタカラコウにそっくりだが、葉や舌状花の数が異なる。

V字谷の奥には荒菅沢。山頂直下の急登を下ったところから、深田久弥が登った直登ルートが一望できた。

ハクサンフウロ(白山風露)。花びらがへたり気味のものが多かったが、すっきり咲いているものを見つけた。

あっという間に雨飾山山頂が遠ざかる。団体ハイカーともすれ違って、ますます登山者が増えてきた。

9:20 笹平を通過して、再び急な下りに入る。日差しをまともに浴びて、気温の上昇を如実に感じた。

東側から眺める雨飾山山頂部と布団菱。

落ちるような急坂を下る。日差しがキツくてとにかく暑かったので、これから雨飾山へ向かう人は上りで地獄を見るのではなかろうかと感じた。夏山は早出するに限ると再認識。

前方には金山と天狗原山。ふたつの山を分ける大倉沢の谷がよく見えるようになった。いつしか左奥の火打山は雲に覆われて、焼山にも雲が這い上がりつつあった。

樹林帯に入る前に布団菱と雨飾山山頂部を見上げる。雨飾山の上空にも雲が広がり始めていた。

樹林の下りに入ると風がなくなり、ますます暑くなってきた。上りよりも汗をかいて疲労を感じるようになってきた。

10:20 荒菅沢の渡渉地点に到着。

暑さで完全にバテていたので、荒菅沢を上がった所にあるベンチで休憩。日陰で風が通るので気持ちよかった。

10分休んで出発。しばらく続く上り返しをせっせと歩いた。

布団菱がよく見えるところまで来ると雨飾山の方角が雲に覆われていた。やはり夏山は早出するに限る。

大汗をかきながらどんどん下る。朝方は泥濘だった場所も少し乾いて歩きやすくなっていた。

羽が少し傷んでいたサカハチチョウ。

11:00 ブナ平を通過。

木道まで来るとゴールは近い。暑さに参っていたが、元気が出てきた。

木道に尻尾の長い立派なカナヘビを発見。その後、びっくりするほど大きなカナヘビとオニヤンマを見かけた。

早朝は撮り逃したイワナが同じ場所にいた。ここを縄張りにしているようだ。

木道付近にはバッタ類がたくさんいて、我々が通ると飛び退くのであちこちでガサガサ音がした。

11:40 登山口のキャンプ場に到着。

靴を履き替えて20分ほどでテントを撤収。12:15 雨飾高原キャンプ場を後にした。

12:50 白馬村から眺めた白馬岳は完全に雲に覆われていた。事故渋滞もあったが17時半に無事帰宅した。
6日(土)9時過ぎに自宅を出発。13時過ぎに白馬村に入り、白馬大橋など撮影スポットを数カ所回ってから16時過ぎに雨飾高原キャンプ場に到着した。その日は登山者専用サイトで前泊して、翌7日(日)3時に起床して夜明け前に登山をスタートした。
前半の樹林帯は風が通らず朝でも蒸し暑く、荒菅沢からは梯子を交えた急登が延々と続いた。笹平に出ると高山植物が一気に増えて、日本海側の眺めも開けて一気にテンションが上がった。変わりやすい天気が続いているので、ガスが出ることを危惧していたが、山頂から素晴らしい展望を楽しむことができた。高山植物も思いのほか沢山見ることができた。時間とともに気温が上がり、下りでは上り以上に汗をかいた。荒菅沢まで下りたときにはもう山頂にガスが出始めていたので、早出して正解であった。温泉につかり信州蕎麦を食べて帰るつもりでいたが、お腹をこわして娘が家で寝込んでいるのでキャンセル。帰りの高速は2箇所で事故渋滞が発生しており、のろのろ運転が続いて睡魔との闘いとなったが、17時半に帰宅できた。