2013年8月10日 土曜日
浅間山 (前掛山)
2,568 m (2,524 m)

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コースタイム
車坂峠P 4:40 ⇒ 6:05 トーミの頭 6:10 ⇒ 7:00 湯ノ平口 7:05 ⇒ 前掛山登山口 7:20 ⇒ 8:25 掲示板 8:30 ⇒ 8:55 前掛山 9:05 ⇒ 9:20 シェルター 9:40 ⇒ 前掛山登山口 10:20 ⇒ 11:00 Jバンド(鋸山) 11:30 ⇒ 12:10 仙人岳 12:20 ⇒ 蛇骨岳 12:40 ⇒ 13:15 黒斑山 13:20 ⇒ 13:35 トーミの頭 13:40 ⇒ 車坂峠P 14:25
4:10 車坂峠 駐車場

車坂峠に到着。ビジターセンターの駐車場はまだ半分以上空いていた。

4:40 近くの簡易トイレに寄ってから登山スタート。上りは表コースから行くことにした。

車坂山を越えてから鞍部まで下り、また上りが続く。

キク科のミネウスユキソウ。

オミナエシ科のハクサンオミナエシ。

タデ科のオンタデ (雄株)。

樹林帯を出たり入ったりしながらガレ場を上って行く。

キク科のヤマハハコ。

5:50 かまぼこ型の避難小屋に到着。

避難小屋は大きなドラム缶を横にした感じで、中はがらんどう。

タデ科のオンタデ (雌株)。

避難小屋から数分で、浅間山が正面に現れた。その右は剣ヶ峰。ダイヤモンド富士ならぬダイヤモンド浅間といった感じで、強烈な逆光だった。

キキョウ科のヒメシャジン。

北側へガレの急坂を上って行く。途中で中コースとの合流点を通過した。
6:05 トーミの頭

トーミの頭に到着。露岩のピークは360度の展望が開けており、北側の外輪山も一望できた。

東の眼下には、これから向かう草すべりルートが見えた。落ちるような急斜面に道がつけられている。

キク科のタムラソウ。

マツムシソウ科のマツムシソウ。

草すべりの分岐から湯ノ平高原へ下る。

ゴマノハグサ科のトモエシオガマ。

キク科のマルバタケブキ。

ナデシコ科のタカネナデシコ。

キク科のキオン。

高山植物に目を配りながら、草の急坂を九十九折に下っていく。

マメ科のイワオウギ。

シソ科のイブキジャコウソウ

マメ科のシャジクソウ。

キキョウ科のヤマホタルブクロ。

草すべり周辺は高山植物がたくさん咲いていて、写真を撮るのに忙しかった。

足場はしっかりしているが、落ちたら止まりそうもない場所もあるので慎重に進む。

バラ科のシモツケソウ。

ゴマノハグサ科のクガイソウ。

徐々に傾斜が緩くなってきた。

フウロソウ科のハクサンフウロ。

外輪山と浅間山の間にある湯ノ平まで下りてきた。

振り返った西側には、トーミの頭を含む鋭く切り立った外輪山(第一火口壁)。

草地から低い木々の樹林帯へ入って行く。硫黄の匂いが鼻についた。

ユリ科のクルマユリ。

7:00 湯ノ平口の分岐に到着。小休止してから北側の前掛山登山口へ向かった。

セリ科のミヤマシシウド。

キキョウ科のハクサンシャジン。

樹林帯を15分ほど歩いて、Jバンドとの分岐となる前掛山登山口を通過。

北東にのびた登山道を進むと、徐々に草木が減って火山らしい荒涼とした景色に変わった。

屏風のように広がる外輪山。真ん中あたりが第一外輪山の最高峰、黒斑山。

第一外輪山の北側稜線には蛇骨岳、仙人岳、鋸山と呼ばれるピークが並ぶ。

いよいよ浅間山の上りにかかる。

浅間山の山腹につけられた登山道は、ジグザグではなく斜め上方へ真っ直ぐのびている。

背後の西側に第一外輪山の全貌が捉えられるようになった。山腹を直線的に巻いていくようなコースだからか、上るほどに浅間山の大きさがよりダイレクトな感覚として伝わってきた。

前掛山と避難用のシェルターが見えてきた。

8:25 掲示板(釜山分岐)に到着。本来の山頂である釜山(2,568m)は、現在立入禁止となっている。

掲示板の近くには土管のようなシェルターがあった

2基の避難用シェルターと第二火口壁。

こちらの壁は下のシェルターより厚みがあり、大きな噴石にも持ち堪えられそうだ。

上空を旋回していたトンビ。

釜山の西側を覆うように第二火口壁がそびえる。一番高いところが前掛山。警戒レベル1の現在、前掛山まで入山が許可されており、前掛山をもって浅間山の登頂に代えるのが一般的。釜山登頂への誘惑を振り切って、前掛山へ向かった。

前掛山へ向かう第二外輪山の稜線歩きは、眺めがよくて素晴らしい解放感だった。左側の第二カルデラは下からまったく見えないが、思いのほか大きかった。空にはイワツバメが飛び交っていた。

第二外輪山の稜線から眺めた第一外輪山。

シェルターから前掛山までは30分もかからなかった。稜線上は風が吹いていて涼しいくらいだった。
8:55 前掛山 2,524m

前掛山に到着。先客2名がともに山頂標のすぐ横で休んでいたため、やむなく一緒に写真撮影。

三角点のある前掛山の南側にもロープが張られていて、稜線の先は立入禁止になっていた。

前掛山から眺めた釜山。釜山分岐からは20分程度で登れそうだが、山頂火口の中心から500m以内に入ると、災害対策基本法の明確な法令違反となる。噴煙はほとんど見えなかったが、見えないガスほど危険なものはない。

第一外輪山も早い時間に回りたかったので、10分ほど眺めを楽しんでから下山を開始。

南東側から雲がもくもく湧き出していたので、午後には天気が崩れそうな気がしていた。

第二外輪山の稜線から、第一外輪山の全体がよく見渡せた。その手前は第一カルデラである湯ノ平と賽ノ河原だが、カルデラ形成以前の浅間山は、湯ノ平付近に中心火道を持つおよそ2,800mの成層火山であったと考えられている。

噴火と山体崩壊を繰り返して現在の姿に至った浅間山だが、その噴火の歴史を調べると、ほぼ毎年といえる時期もあるほど頻繁に噴火していることが分かる。まさにAランクの活火山であり、警戒レベル1の現在でも油断はできない。

9:20 シェルターまで戻ってきた。

お腹が減ってきたので、シェルターの近くで昼食を取ることにした。

9:40 シェルターを出発。シェルター付近にはオンタデがたくさん咲いていた。

10時近くとなり、登ってくる登山者が増えていた。第一外輪山の北側は嬬恋村方面。

第一外輪山を眺めながら山腹をどんどん下りていく。

南側から雲が湧き出ては消えて行く。一度大きな音が聞こえて雷かと驚いたが、何かの違う音だった。

傾斜がゆるくなり賽の河原付近まで下りてきた。

10:20 前掛山登山口の分岐に到着。

北側に折れてJバンド方面へ向かった。

低木が点在する荒涼とした賽ノ河原を北へ進むと、第一外輪山の荒々しい岩壁が徐々に近づいてくる。

見上げると、Jバンドの西側にある岩峰・虎ノ尾に人の姿が見えた。

10:40 三ツ石と呼ばれる3つの大岩を過ぎると、いよいよJバンドの急登が始まる。

三ツ石付近からJバンドの稜線に出るまでの高度差は約120m。一気に上るつもりで火口壁に向かった。

時折振り返ると、緩やかに裾野をのばす浅間山がそびえる。山頂部に見えているのは第二外輪山。

切り立った火口壁を上って、どんどん高度を稼いでいく。

Jバンドは、昭和26年に外輪山から賽の河原に安全に下りられるルートとして開拓され、浅間山側からJの形に見えるため、Jバンドと命名されたらしい。

高度が上がると、賽ノ河原から湯ノ平へ続くルートが遠くまで見渡せるようになる。
11:00 Jバンド

Jバンドに到着。西には虎ノ尾、仙人岳と続く第一外輪山の稜線が波を描いてのびていた。

鋸岳(2,254m)とさらに大きい浅間山。第二外輪山(前掛山)と釜山の重なりも見えるようになり、溶岩が流れた跡と云われる縦縞模様もよく見えた。数人のハイカーが釜山へ登っているのが目視できた。

北側、嬬恋村の眺め。うす雲が広がって遠望はきかなかったが、四阿山(左奥)の輪郭が幽かに見えた。

西側、第一外輪山の裾野の奥には、西籠ノ登山、湯ノ丸山、角間山、鍋蓋山、村上山と並ぶ山塊が見えた。ほぼ真ん中に見える角間山の左手前は桟敷山。

浅間山の左隣(北側)に、うっすら見えるのは浅間隠山ではないかと嫁が指摘。私は違うと思ったが、帰宅後に調べてみるとその通りだった。

鋸岳まで行ったり来たりして眺めを堪能してから、11:30 移動再開。

虎ノ尾付近の切れ落ちた断崖絶壁。冬期に雪庇ができるとかなり危険なのではなかろうか。

東側にはたおやかに裾野をのばす雄大な浅間山。

南西側には第一外輪山の稜線が曲線を描いている。

少し歩いては雄大な眺めに足を止め、そのつど写真を撮るので、なかなか先へ進めなかった。

その荒々しく切れ落ちた第一外輪山の岩稜帯をすすむ。

どの山域とも似ていない景観の広がりに、静かな歓喜を覚えつつ歩いた。

切れ落ちた岩稜立つ。

飽くことなく稜線からの眺めを楽しんだ。

そのうち仙人岳の山頂が見えてきた。

昼になっても天気に変化は見られなかったので、のんびり坂を上る。
12:10 仙人岳 2,319m

仙人岳に到着。先客のカップルが1組休んでいた。

仙人岳から眺めた浅間山。Jバンドからコースタイム20分のところを40分もかかってしまったが、時間に余裕があったので、ここでも10分休んで先へ進んだ。

白ゾレと呼ばれる崩落気味の場所を通過。

第一外輪山を歩くハイカーは、予想以上に少なかった。

気持ちのよい稜線歩きが続く。虫もさほど気にならないし、言うことなしであった。

ちょっとした岩場を上る。左奥には黒斑山とトーミの頭が見える。

心地よい稜線歩きが続く。
12:40 蛇骨岳 2,366m

蛇骨岳に到着。何組かのハイカーが岩場で休んでいた。

蛇骨岳を少し進んだところから見た浅間山。山腹を斜めに走る登山道がよく分かる。山頂部の右は第二外輪山の前掛山だが、遠目ではほとんど一つの山に見える。

浅間山の左には第一外輪山の稜線が鋸の歯のように見えた。

蛇骨岳からしばらく進むと前方に黒斑山が見えてきた。

蛇骨岳から黒斑山までは、樹林帯を入ったり出たりしながら進んで行く。

右が黒斑山で左奥は剣ヶ峰。黒斑山の左下に見える突起はトーミの頭で、休んでいるハイカーが目視できた。
13:15 黒斑山 2,404m

黒斑山に到着。トーミの頭方面から来たおばあさんに、「前はね、この先まで行ったの」といきなり話かけられてびっくりした。おばあさんはここで引き返すらしかった。

第一外輪山の稜線を振り返る。

浅間山山頂部のズームアップ。先ほどはあそこにいたのだと、ちょっとした感慨を覚えた。5分休んで先へ進んだ。

黒斑山のすぐ先には火山活動を監視するカメラと避雷針があった。

再び樹林帯を出入りしながら進む。

13:35 トーミの頭に到着。ついにここまで戻ってきた。

下山するまで浅間山が見れたのは嬉しい誤算だった。天気の急変もなく、よい山行になった。

逆光だった早朝と違い、浅間山と麓の湯ノ平高原がよく見えた。

北東側には黒斑山からJバンドまで続く第一外輪山。草すべりルートを上ってくるハイカーの姿が眼下に見えた。

13:40 下山開始。トーミの頭から車坂峠まで1時間で下れるので、気持ちは軽かった。前方は槍ヶ鞘。

下りは中コースを選択。樹林帯で眺めはないが、車坂峠への最短コースとなる。

ツツジ科のギンリョウソウ。

キク科のカタネニガナ。

岩ゴロで歩きづらい場所もあったが、傾斜がゆるやかになってからは、よいペースで歩けた。

樹林帯を抜けて正面の西側が開けた。右は籠ノ登山と水ノ塔山、左は高峯山。真ん中の奥は三方ヶ峰と思われる。

最後はなだらかな道が続く。

14:25 車坂峠に出た。思ったよりもトーミの頭から時間がかからなかった。

ビジターセンターは観光客や登山者で大賑わい。自販機でコーラを買って、14:35 帰路についた。
1時半起床、2時出発。車坂峠には4時10分に着いた。下界は35度を超える猛暑だったが、出発点が1,900m超の高地なので、暑さはそれほど気にならなかった。午後からは雷の恐れもあったので、先に前掛山へ登り、後から外輪山をゆっくり歩いた。富士山に近い単調さをイメージしていたが、コースは変化に富んでいて飽きさせず、山道脇のさまざまな高山植物も目を楽しませてくれた。遠望はきかなかったものの、Jバンドからトーミの頭まで浅間山を眺めながらの稜線歩きは解放感があって心地よかった。浅間山の均整のとれた美しい山容と、荒々しい外輪山とのバランスが見事で、その素晴らしい景観に何度も足が止まった。早出したことで後から来た多数のハイカー集団に巻き込まれることもなく、比較的静かな山歩きが楽しめたのもよかった。
帰りの高速もすいすい走り、予定どおり17時に帰宅した。暑さ、混雑、天候、渋滞と、不確定要素は多々あったが、すべては杞憂に終わって、あらゆる面で満足度の高い山行となった。