2017年9月9日 土曜日

磐梯山

1,816 m

 2時起床、2時半出発。八方台駐車場には5時半到着。駐車場にはすでに10台前後の車が停まっており、警備員の姿も複数あって山の混雑を予感したが、登頂時の頂には誰もいなかった。山頂は遮るもののない360度の大展望が広がっており、安達太良山と吾妻山はもちろん飯豊山や朝日岳など東北の名峰を一望することができた。午後は東吾妻山に登る予定だったので少し早めに山頂を後にしたが、快適な時間を過ごすことができた。

 風が涼しくて登山には丁度よいくらいの気温だったので、疲れをそれほど感じることなく下山。8月の信じられない雨続きで1ヶ月以上も山に登れなかったので、体力面を若干心配していたが、十分な余力を残した状態で東吾妻山の登山口となる浄土平へ向かった。

登山コースデータ
単純標高差 : 622 m
累積標高差 : 725 m
コース距離 : 7.5 km
標準コースタイム : 4 時間 15 分
歩行データ
総歩行時間 : 4 時間
総行動時間 : 4 時間 40 分

 コースタイム

八方台P 5:55 ⇒ 中ノ湯跡 6:30 ⇒ 7:40 弘法清水小屋 7:50 ⇒ 8:20 磐梯山 8:40 ⇒ 9:05 弘法清水小屋 9:10 ⇒ 10:10 中ノ湯跡 10:15 ⇒ 八方台P 10:35

 

標高1,194mの八方台P。警備の方々が停め方などを指示していた。トイレでは小さな子が暗くて恐いと泣いていた。

道路を挟んだ駐車場の前に八方台登山口がある。5:55 登山開始。

しばらくはブナ林の平坦で広い道が続いた。

八方台コースは標高差が少なくて短時間で登れるため、最も利用されている。

6:30 硫黄の臭いがたちこめる中ノ湯跡に到着。視界が開けて前方に磐梯山の山頂が見えた。よく見ると、山道の水たまりからぷくぷくと気泡が出ていた。

左手には中ノ湯跡の廃屋。少し進むと裏磐梯登山口からの道と合流した。

中ノ湯跡からは傾斜がきつくなる。

急坂を上っていくと見晴らしの利く場所が複数あって、裏磐梯の眺めがよかった。雲ひとつない快晴にテンションが上がった。

登山にちょうどよい位の気温で、風も出ていたので、立ち止まると少し肌寒いくらいだった。

ダケカンバなどの樹林帯や深い笹やぶを上る。途中、お花畑との分岐を左に分けてさらに直進。

7:40 2軒の茶屋がある弘法清水(1,630m)に到着。

早朝から営業中の岡部小屋。小屋の前には弘法清水(湧き水)も出ていた。

小屋の近くは休憩に最適な広場のようになっていて、北から東側の眺めがよい。目の前には荒々しい櫛ヶ峰、その左は吾妻連峰で、右には安達太良山がそびえる。

吾妻連峰の左、北側には檜原湖(ひばらこ)も見えた。檜原湖の手前はお花畑の道で、右隣の尖峰が天狗岩。

南側には磐梯山の山頂部。

アンパンを食べてひと休み。後ろは弘法清水小屋。休んでいるうちに小屋の人が上ってきて開店準備を始めた。

キク科のヤマハハコ(山母子)。白い花弁のように見えるのは葉が変化した総包片で、花は中央の黄色部分。

今回の福島登山でよく目にした花のひとつ、ウメバチソウ(梅鉢草)。5枚の花弁に緑色の脈が目立つ。

7:50 登山再開。弘法清水から山頂までは0.5km。最後の急登を上る。

切れ落ちた磐梯山の東側斜面。

荒々しい岩壁の下には沼ノ平と赤埴山(あかはにやま)が見えた。

山頂まではもう僅か。すでに登頂を終えて、下山する登山者と何度かすれ違った。

キク科のゴマナ(胡麻菜)。胡麻の葉に似ているから名付けられた。

ユキノシタ科のダイモンジソウ(大文字草)。名前どおり花の形が大の字。変種が多く、地域差があるらしい。

キク科のウスユキソウ(薄雪草)。エーデルワイスと総称されるウスユキソウ属のなかで、もっとも広く分布する。

キク科のミヤマアキノキリンソウ(深山秋の麒麟草)。この時期でも花が多いので驚いた。

いよいよ山頂が近くなってきた。ちょうど誰もいなくなっていて、無人の山頂に立つのがまた嬉しかった。

8:20 岩がゴロゴロした磐梯山山頂に到着。独立峰だけあって、山頂は360度遮るもののない大パノラマ。

北側眼下には檜原湖などの裏磐梯湖沼群。右は明日登る予定の西大巓に(にしだいてん)と西吾妻山。

檜原湖の奥には山形県と新潟県の県境上にある朝日連峰の山波も見える。

北東側の手前には櫛ヶ峰、奥には左から西大巓、西吾妻山、東大巓、継森、中吾妻山、家形山、一切経山、東吾妻山、高山と、吾妻連峰がずらりと並ぶ。

櫛ヶ峰の麓に櫛ヶ沼と櫛ヶ池が見える。

東方面。左は安達太良山、右には大滝山塊と雲海に呑み込まれそうな川桁山(かわげたやま)。手前の眼下には磐梯山と櫛ヶ峰と赤埴山(真ん中右)に囲まれた沼ノ平が広がる。

安達太良山。左から鬼面山(きめんざん)、箕輪山、鉄山、矢筈森、安達太良山、右に和尚山と、安達太良連峰の最北端から最南端まで一望できる。

南の猪苗代湖側には雲海が広がっていた。猪苗代湖は見れなかったが、陽光に輝く雲海の広がりは神々しいまでに壮観だった。

南西側にも雲海は広がっていたが遠望は利いて、栃木の那須連峰、日光連山、燧ヶ岳と会津駒ヶ岳などが見えていた。

茶臼岳と三本槍岳がほとんど並んでおり、右の尖ったのが旭岳(赤崩山)。

真ん中は太郎山、その左に女峰山、帝釈山、男体山が重なっており、右は日光白根山。

東北最高峰の燧ヶ岳となだらかな会津駒ヶ岳。その右の平ヶ岳には少し雲がかかっている。手前は会津若松市。

西方面。山頂の数メートル下には頂上岡部小屋ある。シーズン中の販売のみで宿泊は不可。

北西方向。手前は猫魔ヶ岳。猫魔ヶ岳は磐梯山から西に伸びる尾根続きの山で、その昔、化け猫が住みついて人を食ったという伝説が名前の由来と云う。現在は南北斜面にスキー場が広がるリゾート地域になっている。雲海の奥に見えるのは飯豊連峰。

飯豊連峰。左のピークが大日岳で、右のピークが飯豊山。

最高の日に登れたことに感謝。福島まで車を飛ばしてきた甲斐があった。

人が増える前に記念撮影。

磐梯明神を祀った石の祠。

ハイシーズンには山頂下で行列ができると言うが、2時間ほどでこの展望が楽しめるのだから、人気があるのも頷ける。

小さなブーケのようなイワインチン(岩茵陳)。これまたキク科。

徐々に人が増え始めた。名残惜しいが、午後には東吾妻山に登るので早めに下山の準備をした。

8:40 下山開始。最初は広大な裏磐梯を眺めながら下る。登山者がどんどん上ってきていた。

眺めのない樹林帯をせっせと下る。

9:05 弘法清水まで戻ってきた。暑くなってきたのでウィンドシェルを脱いだ。

弘法清水は中学生の団体などで賑やかだった。簡単に登れて展望抜群、危険は少なく茶屋もあるので、磐梯山は小中学生などの初心者団体登山に最適ではなかろうか。

復路はお花畑を経由して下山した。

分岐で右の天狗岩方面へ向かうと裏磐梯登山口へ下ることができる。

北東方面の櫛ヶ峰(1,636m)。1888年(明治21)の水蒸気爆発によって、標高1,760mと推定される小磐梯が山体崩壊して消滅した。えぐれたように崩落した櫛ヶ峰の北西斜面に、そのとき起きた岩屑なだれの名残が見てとれる。土石流や火山泥流によるせき止めにより、檜原湖や五色沼など大小様々な湖沼が生じて今ある裏磐梯の景観が形成されたというから驚きである。

振り返って見た磐梯山の山頂部。花の季節ではないのが残念だが、見晴らしが利いて気持ちのよい道が続いていた。

オンタデだと思ったが、メイゲツソウ(ベニイタドリ)かもしれない。どちらもタデ科だが見分けるのが難しい。

山道脇にはヤマハハコが群生していた。

9:20 八方台コースに合流。

まだ疲れはなかったので、快調に下った。

10:10 中ノ湯跡に到着。廃屋と温泉跡を覗いて行くことにした。

中ノ湯の名前で分かるように、往時は上ノ湯と下ノ湯も加えた3箇所の湯治場があったが、1888年の大噴火で上ノ湯と下ノ湯は埋没。地盤が残った中ノ湯は営業を続けていたが、1990年代後半に廃業してしまった。

硫黄臭が強い廃屋の近くには濁った乳白色の温泉跡があった。水面にはぶくぶくと無数の気泡が湧き出ており、いまだに源泉が湧出していると分かる。秘湯マニアが浸かりにくることもあるらしいが、沢の水が流れ込んでいるために温度は低いようだ。

周囲のいろんな所から気泡が出ていた。登山道のすぐ脇でなければ、足湯でもしたいところだった。

中ノ湯跡からは平坦な道が続く。木洩れ日の中を気持ちよく歩いた。

10:35 八方台登山口に到着。時間はほぼ予定どおり。

この後靴だけ替えて、同日2座目となる東吾妻山に登るべく、登山口のある浄土平へ向かった。