2020年10月2日 金曜日

東北遠征2020 3日目

八甲田山

1,584 m

 5時20分起床、6時10分登山開始。仙人岱から小岳、大岳に登り、上毛無岱、下毛無岱と反時計回りに5時間半ほどのコースを周遊した。小岳・大岳からの展望を楽しんでから、八甲田の山々を背景に紅葉と湿原が素晴らしいコントラストを見せる毛無岱の絶景を堪能した。今回の遠征では、紅葉する前に葉が傷んでしまったカエデを至るところで目にしており、八甲田山も例外ではなかったが、それでも八甲田山の紅葉は見事なものだった。何度も足を止めて周囲を見渡していたため、コースタイムを大幅に越えてしまった。遠征の最後を締めるにふさわしい大満足の山行になりました。

 下山後は楽しみにしていた酸ヶ湯温泉のヒバ千人風呂でのんびり3日間の疲れを癒した。15時過ぎには帰路に就き、夜は蔵王PAで車中泊。帰宅は翌日(10/3)の昼過ぎでした。

登山コースデータ
単純標高差 : 659 m
累積標高差 : 875 m
コース距離 : 10.3 km
標準コースタイム : 5 時間 25 分
歩行データ
総歩行時間 : 6 時間 25 分
総行動時間 : 7 時間 25 分

 コースタイム

酸ヶ湯公共駐車場 6:10 ⇒ 仙人岱 8:05 ⇒ 8:40 小岳 9:15 ⇒ 縦走路分岐 9:40 ⇒ 10:25 大岳 10:50 ⇒ 大岳ヒュッテ 11:15 ⇒ 上毛無岱 12:10 ⇒下毛無岱 12:40 ⇒ 酸ヶ湯公共駐車場 13:35

5:20 起床 酸ヶ湯公共駐車場

広々とした早朝の酸ヶ湯公共駐車場。5時台に出発していく登山者がけっこう多かった。

6:10 登山スタート。車道を渡ってすぐの八甲田山神社登山口から鳥居をくぐって入山します。

しばらくは整備されたゆるやかな道が続く。

色づく前に斑点状に枯れ始めているコミネカエデの葉。こうした葉が今回の遠征では目についた。

まだ咲いていたキク科のノコンギク。

道が泥濘になってきたと思ったら、荒涼とした場所に出た。火山性ガスのために樹木が枯れている。

開けた場所までくると、あたりの紅葉が日射しに輝いていた。

紅葉と谷間の向こうに見えた南八甲田連峰。左から櫛ヶ峰(上岳)、下岳、横岳と並ぶ。

綺麗に色づいた紅葉の中を横切って進みます。

紅葉を過ぎると硫黄臭が強くなり、岩ゴロの地獄湯ノ沢に出る。

小さな木橋を渡って地獄湯ノ沢の左岸を上り詰めていく。あたりは火山性ガスが噴出しているため、あまりのんびりとはしていられない。

本来、硫黄は無臭で、卵の腐ったような臭いは硫化水素のものらしい。

早く日射しの届くところへ出たいと思い、せっせと地獄湯ノ沢を上る。

上から眺めた南西方向の地獄湯ノ沢。その向こうは南八甲田・横岳。

地獄湯ノ沢を上り詰めて日射しの届く場所に出た。

見上げた南側の山腹が綺麗に紅葉していた。

いったん樹林帯に入ってひと上りする。

平坦な木道歩きになると、小岳が見えてきた。

8:05 仙人岱

仙人岱ヒュッテとの分岐を分けて、小岳を眺めながら気持ちのよい湿原を進む。仙人岱は大岳と小岳の間に開けた火口原で、休憩用の木のベンチが置かれていた。

左の北側には大岳がそびえ、周囲の景観は素晴らしかった。

8:10 縦走路分岐に到着。

分岐から眺めた大岳。

見事な草紅葉を眺めながら東側の小岳へ向かった。

背丈ほどの笹原とアオモリトドマツの樹林帯を進む。しばらくは眺めのない上りが続いた。

樹林帯を抜けるとハイマツ帯となって、眺めがよくなった。

ハイマツ帯に出たら山頂までは10分程度。

8:40 小岳 1,478m

小岳山頂に到着。先客は1人だけだったので、山頂からの眺めを静かに楽しむことができた。

北西方面には大岳(左)と井戸岳(右)が大きい。

北東方面には下北半島が見えるはずだが、雲が広がっていてわずかに海が確認できる程度だった。

東方面の高田大岳。着いたときは雲に隠れていたが、そのうち均斉のとれた姿が現れた。

南方面の眺め。真ん中左は乗鞍岳、右は櫛ヶ峰(上岳)。

西南西方面。左が櫛ヶ峰(上岳)で真ん中は横岳。手前には硫黄岳と1,338mの小ピークが並び、鞍部付近に仙人岱ヒュッテが見える。右奥には山頂部が雲に隠れた岩木山も幽かに見えていた。

山頂にいた方に写真をお願いした。一眼レフの大きなカメラを持ったその人は、じっと周囲に眺め入り、時折カメラを構えてはまた眺め入るといった感じで、山頂での時間を独り静かに楽しんでいた。

9:15 下山開始。

笹原を一気に下り、樹林帯に入ってからは足元に注意した。

仙人岱の湿原まで戻ってきた。

9:40 縦走路分岐を通過し、大岳へ向かった。

小さな尾根を回り込むように岩ゴロの坂を上る。

平坦な木道を進む。途中に小さな池があった。

山頂まで続く道が見えてきた。

振り返って眺めた小岳。

いったんアオモリトドマツの樹林帯に入る。

すぐに視界が開けていよいよ大岳の上りにかかる。

土砂流失防止用の石棚の間を上っていく。

背後には仙人岱と硫黄岳、南八甲田の山々。

傾斜が緩んだところに鏡沼があった。

山頂直下の坂をせっせと上る。

大岳に向かっている間に、四方で雲が広がり始めていた。

10:25 大岳 1,584m

大岳山頂に到着。

山頂は広いので、適当な場所にザックを下ろして休憩にした。

山頂標で記念撮影。

北方面には井戸岳と赤倉岳がそびえる。眼下の鞍部には大岳ヒュッテが見える。

東方面には左から雛岳、高田大岳、小岳と、「山」の字に三山が並ぶ。

南方面。真ん中に硫黄岳、その奥には乗鞍岳、駒ヶ峰、櫛ヶ峰など南八甲田連峰がそびえる。

西方面には幽かに岩木山が見えていたが、山頂部に雲がかかっていた。

北西方面。田茂萢岳(たもやちだけ)と前嶽の向こうに、青森市と青森湾が見えていた。

八甲田山神社の石で作られた祠。

山頂方位盤。

おにぎりを食べて、ひと通り眺めを楽しんでから 10:50 大岳をあとにした。

西側の眼下に毛無岱の広大な湿原が一望できた。

正面に井戸岳を眺めながら、大岳ヒュッテのある北側の鞍部に下る。

太陽の周りに日暈(ハロ)が出てることに妻が気づいた。天気が下り坂のサインと言われているが、確かに雲が広がりつつあった。

岩ゴロの坂をどんどん下る。

大岳ヒュッテが近づいてきた。

11:15 大岳ヒュッテ(大岳鞍部避難小屋)に到着。小屋のそばに木のベンチが置かれていた。

小屋から眺めた井戸岳。

そのまま先へ進んだ。

樹林帯に入る。ところどころで綺麗な紅葉が見られた。

傾斜が増して、さらに下る。下るほどに鮮やかな紅葉が増えてきた。

11:50 上毛無岱

木道が出てきて上毛無岱に出ると、周囲の景観ががらりと変わった。

紅葉の先に見えた大岳。

足を止めてしばし紅葉に眺め入る。

見事な草紅葉の広がりを進む。

陽光を浴びて鮮やかに輝く紅葉。

積雲が広がって太陽が隠れる時間も増えてきたので、日射しがくると逃さず写真を撮った。

帯となった紅葉の先にそびえる大岳。

しばらく木道を進むと上毛無岱の木造デッキが見えてきた。

上毛無岱の木造デッキと八甲田の山々。

上毛無岱の木道と井戸岳。

木造デッキの少し先にある丸沼。

八甲田の素晴らしい景観を楽しみながらゆっくり先へ進んだ。

上下の毛無岱をつなぐ長い木段まで来た。

眼下に下毛無岱の全景を見渡しながら下る。

湿原歩きのハイライトと言える素晴らしい眺めだった。つい足元がおろそかになるが、木段は急で滑りやすく、実際に滑落事故も起きているようなので要注意。

灌木帯に入る。

281段の長い木造階段を下り、下毛無岱に出た。

12:30 下毛無岱

木道に出てからの紅葉がいきなり鮮やかだった。

下毛無岱もまた素晴らしい景観が広がっていた。

気持ちのよい草紅葉の湿原歩きが続く。

上毛無岱の方を振り返る。

東方面の大岳と井戸岳。雲がますます広がってきたが、空は明るく天気の崩れはなさそうだった。

北東方面の田茂萢岳(たもやちだけ)。

どの方角も景観が素晴らしく、雲にさえぎられていた陽光があたると輝くばかりの美しさが広がる。

綺麗な紅葉をたくさん見てきたが、紅葉の大パノラマが続く八甲田山はスケールがまるで違う。

紅葉した灌木帯を抜ける。

深田久弥は「神の工を尽くした名園」と表現しているが、まさにその通りだと感じた。

時間とともに雲が広がり、湿原に陽が当たると山が日陰になり、山に陽が当たると湿原が雲の影に入るという時間が増えてきた。

歩いてきた木道を何度も振り返った。

下毛無岱の端まで来ると、木道はカーブして正面に大岳が見えるようになる。

名残惜しいがブナやアオモリトドマツの樹林帯へ。

樹林帯でも綺麗な紅葉が見られた。

小さな起伏を越えてさらに進むと、駐車場と酸ヶ湯温泉が見えてくる。

湯坂と呼ばれる急坂を下る。

下山後は酸ヶ湯温泉のヒバ仙人風呂に入ると決めていたが、十分間に合う時間に下りてきた。

人で賑わう酸ヶ湯温泉の前を通り、13:35 酸ヶ湯公共駐車場に到着。素晴らしい紅葉登山を楽しめた満足感でいっぱいだった。

下山後は酸ヶ湯温泉へ。玉の湯で身体を洗ってからヒバ千人風呂でゆっくり山旅の疲れを癒した。貸しタオル付で1,000円/大人1名。

ヒバ千人風呂の写真 (公式HPより)

 300年の歴史を持ち、1945年にはその効能が認められて国民保養温泉地第1号に指定されている。鹿が湯に浸かり傷を癒していたことから「鹿湯」と呼ばれ、その後、酸性の強い湯であることから「酸ヶ湯」と呼び名が変わったと云われる。天井は約4mと高く、160畳もの大空間に柱がない。あふれんばかりの白濁した硫黄泉から湯気が立ち上り、ふんだんに使用したヒバの香りが漂う。4つの源泉が異なる浴槽があり、強酸性の硫黄泉は長く浸かると肌がピリピリしてくる。雰囲気のよさは特筆もので、これまで入ったどの温泉よりも印象深く、この温泉に浸かれるありがたさと幸せを感じた。尚、混浴ではあるが、この写真にはない仕切りが新たに設けられて、女性が入浴しやすいようになっていた。

入浴後はソフトクリームを妻と分け合い、駐車場に戻った。身支度を整えて、15:10 帰路に就いた。

休憩に入ったPAで、綺麗な夕陽を見ることができた。夜は蔵王PAで車中泊。翌日は那須高原SAでお土産などを購入して昼過ぎに帰宅した。天気が心配だったが、素晴らしい東北遠征になりました。