2017年9月9日 土曜日

東吾妻山

1,975 m

 10時40分、磐梯山を下山して八方台から移動開始。道を間違えて磐梯山の南側を回ってしまったが、12時頃浄土平に到着した。吾妻山の山域は、山形と福島の県境に沿って東部、中部、西部に分けられる。磐梯吾妻スカイラインが走る東部には、広大な駐車場を有する浄土平を拠点として、様々な散策コースが用意されている。臨時駐車場から姥ヶ原へ向かったが、出発直後は下山してくる多くの登山者とすれ違った。丘陵のような東吾妻山の山頂は、遮るものがなく広々としており、一切経山から西大巓(にしだいてん)まで続く吾妻連峰の主脈や磐梯山と裏磐梯の湖畔群などを見渡すことができた。鎌沼周辺の景観も素晴らしく、歩きやすい木道が続くので疲れを感じなかった。温泉に行く時間を考えて、一切経山には登らず、吾妻小富士の火口をのぞいて遠征初日を終了。登山日和に恵まれて、無事に同日2座登頂を果たすことができた。

 その後、ラビスパ裏磐梯の日帰り温泉を利用して、翌日の西吾妻山登山に備えて道の駅裏磐梯で車中泊した。

登山コースデータ
単純標高差 : 395 m
累積標高差 : 465 m
コース距離 : 8.5 km
標準コースタイム : 3 時間 30 分
歩行データ
総歩行時間 : 3 時間 45 分
総行動時間 : 4 時間 30 分

 コースタイム

浄土平P 12:10 ⇒ 姥ヶ原分岐 12:55 ⇒ 13:50 東吾妻山 14:25 ⇒ 姥ヶ原分岐 15:00 ⇒ (鎌沼で5分滞在) ⇒ 酸ヶ平避難小屋分岐 15:40 ⇒ 浄土平P 16:15 ⇒ 16:25 吾妻小富士火口壁 16:30 ⇒ 浄土平P 16:40

 

12時過ぎに浄土平(1,600m)に到着。奥の臨時駐車場(500円)へ誘導されたが、その広さにびっくりした。

12:10 身仕度を整えて登山スタート。登山を終えて下りてくる人たちと大勢すれ違った。

広範囲に群生していたオヤマリンドウ(御山竜胆)。秋の湿原を代表する花のひとつ。

ツツジ科の常緑小低木、シラタマノキ。花期が終わった9月頃、萼が肥大して果実を覆い、白い玉状になる。

浄土平の北西にそびえる一切経山。大穴火口からの噴気が見えるが、硫化水素など火山性ガスの危険が高いので直登コースは登山禁止となっている。

浄土平から西の姥ヶ原へ向かう。徐々にすれ違う人の数が少なくなっていった。

道はよく整備されていて木道が多かった。

しばらく上ると背後に吾妻小富士の火口が見えるようになる。火口壁を沢山の観光客が歩いていた。

30分ほど歩いて背丈を超える笹の道を抜けると平坦な道になった。

左手にはたおやかな東吾妻山。丘陵型の古墳のように形がよい。

姥ヶ原のあたりまで来ると、北側に前大巓(左)と1928m峰(右)が見えてきた。

12:55 姥ヶ原の十字路に到着。朽ちた道標を確認して東吾妻山方面へ。

十字路を左に曲がり南へ向きを変えると、東吾妻山のなだらかな山容が前方に広がる。

木道が終わるとオオシラビソやコメツガの樹林帯となり、足元は泥濘や根張りの荒れた道となった。

山頂に360度の展望が本当にあるのか疑わしく感じられるほど、視界の悪い道が続く。

ゆるやかな樹林帯を30分近く上ると、森林限界を超えてハイマツ帯となり、突然視界が開けた。

13:50 広々とした東吾妻山の山頂に到着。

東吾妻山もほぼ360度の大展望が広がっていた。ちょうど青空も広がってきて気分は最高。

北西方面には吾妻連峰。左から中吾妻山、西大巓、西吾妻山、中大巓、藤十郎、東大巓、昭元山と続く。西大巓と西吾妻山の山頂部に少し雲がかかっている。

北方面。左から烏帽子山、ニセ烏帽子山、兵子(ひょっこ)、前大巓、1928m峰、一切経山。前大巓の手前に鎌沼も見える。ちなみに東大巓から一切経山の稜線は、太平洋側と日本海側を隔てる中央分水嶺の一部を成している。

北東方向の一切経山と吾妻小富士。針葉樹林帯とハイマツ帯が綺麗に別れていて、森林限界が視覚的にはっきり分かる。福島県の森林限界は1,600mから2,000mで、東吾妻山は1,900m付近らしい。

噴煙を上げる一切経山(1,949m)。平安時代中期の武将・安倍貞任(さだとう)が、仏教教典の一切経を山に埋めたという伝説から名付けられたと云う。

すり鉢状の火口を持つ吾妻小富士(1,707m)。麓の福島市側から見ると小さな富士山のように見えることが名前の由来。

南西方向の磐梯山。左隣は赤埴山で、猪苗代湖を挟んで左端に川桁山。右には猫魔ヶ岳や雄国山(おぐにやま)などの山波が続き、その手前には秋元湖、小野川湖、檜原湖などの湖沼群も見える。

磐梯山。午前中はあの頂にいたということに、不思議な感慨を覚えた。

すぐ出発して一切経山へ向かうことも考えたが、とても気持ちのよい山頂なので、のんびりすることにした。

そのうち我々以外はいなくなったので、貸切状態で山頂の滞在を楽しめた。

温泉の終了時間と吾妻小富士の火口をのぞく時間を計算して、14:25 下山開始。

ハイマツ帯から針葉樹林帯へ入る。森林限界を僅かに超えていることで山頂の眺めがある。

下りも荒れた道だが、上りよりも随分短く感じた。

15:00 姥ヶ原の分岐に到着。右は浄土平、左は谷地平へ続くが、真っ直ぐ進んで鎌沼へ向かった。

背後の南側には柔らかな曲線を描く東吾妻山。人工的に盛り土したかのように形がよい。

北側前方には前大巓、1928m峰、一切経山が並び、気持ちのよい木道歩きが続く。

10分ほど歩くと眼下に鎌沼が見えてきた。このあたりの景観は素晴らしかった。

東吾妻山、前大巓、一切経山、蓬莱山(ほうらいさん)に囲まれた鎌沼は、標高1,770mの凹地にあり、鎌の形(三日月形)をしていることからその名が付けられたと云う。

水鳥がすごい勢いで水草を食べていた。

この時間は歩いている人も少なくて、とても静かな木道歩きが続いた。

鎌沼の東側に位置する標高1,802mの蓬莱山。西側から見た山容は東吾妻山とそっくり。

鎌沼の北側まで回ってきた。水面に浮かぶ石がアクセントになって、鎌沼を挟んだ東吾妻山の眺めが素晴らしかった。

陽光に輝くもくもくとした積雲と、それを鏡面のように映し出す鎌沼。よいところだなぁと深く感じ入った。

すっかり満足して鎌沼を後にした。

酸ヶ平(すがだいら)の湿地帯には池塘が点在していた。

前大巓(1,911m)と池塘。

一切経山と池塘と草紅葉。一切経山の麓には酸ヶ平避難小屋が見える。

トイレ完備の酸ヶ平避難小屋。30人程度収容できる無人小屋で、比較的新しいようだ。

一切経山との分岐を右に分けて浄土平へ向かう。

吾妻小富士を前方に見ながら木段を下っていく。

吾妻小富士の火口をお鉢巡りする観光客の姿がよく見えていたが、昼過ぎよりもだいぶん数が減っていた。

浄土平の駐車場と吾妻小富士が近づいてきた。

16:00 姥ヶ原からの道と合流して、広い浄土平をさらに進んで駐車場へ向かう。

北西にそびえる一切経山。山頂から五色沼を眺めて見たかったが、縁があれば登る機会がまたくるだろう。

16:15 車に戻る。ザックを下ろして吾妻小富士へ向かった。写真は浄土平ビジターセンター。

浄土平レストハウスの前を通って道路を横切ると、すぐ吾妻小富士の登山口となる。

木段を上っていく。幅が広いので下りてくる人とのすれ違いに支障はなかった。

火口までは約10分。見た目よりも近く感じた。

16:25 吾妻小富士の火口壁に到着。火口を間近に見るとその大きさが実感できる。

火口の向こう側に見える一番高いところが山頂で標高1,707m。火口の直径は約450mで、火口底までの高低差は約70m。火口壁をぐるっと1周(約1.5km)するには約1時間かかる。

広い火口を左(東側)へ少し歩いてみた。北側にラクダ山(1,577m)が見えた。

次は火口の右(南側)へ少し歩く。16時をまわってもお鉢巡りをしている人はいた。

16:30 下山開始。同日2座登頂を果たせてよい1日になった。

浄土平まで一気に下りた。

16:40 車に到着。広い臨時駐車場に残る車は数台のみ。身仕度を整えて、ラビスパ裏磐梯へ向かった。

18:10 ラビスパ裏磐梯の駐車場に到着。温泉は19:30までなので十分間に合った。夕焼けが綺麗だった。

汗を流した後は、道の駅裏磐梯に移動して車中泊。駐車場が広くてトイレも使いやすかった。