2014年4月27日 日曜日

将監小屋テント泊登山②

竜喰山・飛龍山

2,012 m  2,077 m

 テント泊2日目は、将監峠から尾根沿いを竜喰山、大常木山と登って、それから飛龍山へ向こう予定でいたが、稜線を行くハイカーは少ないようで、竜喰山から先は赤テープが少なくなり、踏み跡が判別できない区間もあった。結局、大常木山のすぐ手前の岩稜帯でルートを見失い、そこから南斜面を下って一般ルートに合流した。15分ほど道なき道を進んだが、焦燥に駆られてひじょうに長く感じられた。後で大常木山の山頂まで数m登るだけだったと知り悔しい思いをした。大ダルからはトラバース気味の雪道が延々続いて足にきたが、禿岩からの大展望に疲れも吹き飛んだ。飛龍山の山頂は樹林に囲まれてどこがピークか判然とせず、その地味な印象とルート上に魅力的な展望地がある点で、和名倉山や唐松尾山に通じるものを感じた。

 帰りの道路はすいすい進み、2時間ちょっとの運転で帰宅。今回は2日とも「山と高原地図」の一般ルートではない稜線沿いを進んでトラブルに見舞われたが、事前に十分な情報があればまったく問題なかったと思われる。個人サイトの情報をあてにする場合は、詳しい地形図を確認したり、複数サイトの情報を照らし合わせるなど、下調べを徹底することが大切だと再認識した。

登山コースデータ
単純標高差 : 807 m
累積標高差 : +1,095 m / -1,555 m
コース距離 : 14.2 km
標準コースタイム : 8 時間 30 分
歩行データ
総歩行時間 : 9 時間
総行動時間 : 10 時間 50 分

 コースタイム

将監小屋テント場 5:30 ⇒ 将監峠 5:40 ⇒ 6:05 1,883mピーク 6:10 ⇒ 6:50 竜喰山(りゅうばみやま) 6:55 ⇒ 1,999mピーク 7:30 ⇒ 8:20 大常木山(手前) 8:30 ⇒ 一般ルート合流 8:45 ⇒ 大ダル 9:10 ⇒ 10:05 禿岩 10:30 ⇒ 飛龍権現 10:35 ⇒ 飛龍山 11:00 ⇒ 飛龍権現 11:20 ⇒ 大ダル 11:55 ⇒ 13:25 将監小屋テン場 14:30 ⇒ 民宿みはらしP 16:20

4:00 将監小屋テント場

午前3時に隣のテントで「時間です! 起きてください! 時間です! 起きてください!」と電子音声の目覚ましがしばらく鳴り続けた。テントでは音は筒抜けだから、テン場の多くの人がその音で目が覚めただろう。 やっと中の男性が時計を止めたと思ったら、数分後に同じテントからいびきが聞こえてきた。そして4時過ぎに寝坊したと気付いたらしく、「あー くそっ!」と大きな声を響かせ、急いで撤収を始めた。いい歳のおじさんだったが、彼にとっては周囲の存在はないに等しいもののようで、マナーを守る上で必要とされる他者に対する想像力が欠如しているように見えた。自分はそうならないように気を付けたい。ちなみにそれ以外はまったく静かなテン場であった。ぐっすり寝ていた嫁を起こして、私はパンで嫁はカルボナーラの朝食をとった。

5:30 ザックに必要なモノだけ入れて出発。隣に幕営していた迷惑おじさんはすでにいなかった。

将監峠まで上がりチェーン・スパイクを装着。右に折れて竜喰山方面へ進んだ。

防火帯が右にカーブする場所で、笹に覆われた登山道へ入る。事前情報がなければ見逃していたかもしれない。

最初はヤブこぎに近い状態。クマザサが胸元まで伸びており、足下が見えないところもあった。

ヤブこぎに加えて、かなりの急登が続いた。

1,883mピークの上に出ると、展望がひらけた。南側には富士山。富士山の手前は大菩薩嶺。

西側には唐松尾山と西御殿岩。

小ピークの向こうに竜喰山が見える。

竜喰山までは踏み跡がしっかりあり、ルートを示す赤テープもきちんと整備されていた。

小ピークを越えて竜喰山が近づいてきた。

山頂へ続くの急登。平らな足の置き場がないので、ふくらはぎに負担のかかる上りだった。

尾根筋に出て傾斜がゆるくなった。

6:50 竜喰山に到着。眺めはなく、木の根元に山頂標が置いてあった。

6:55 移動開始。

しばらく進むとルート上に立派な鹿の角が落ちていた。汚れ一つなかったので、拾って帰ることにした。

この日は富士山が終始見えてきた。

前方に小ピークが見えて、この時は大常木山かと思っていた。

鞍部にテントサイトのような場所があった。

急登を登る。このあたりから踏み跡が乏しくなった。

7:30 樹林に囲まれた小ピークに到着。後で調べてみると、大常木山手前の1,999mピークだった。

少し進むと開けた場所に出て、ここでも落ちたばかりと思われる鹿の角を拾った。

南側の富士山。

富士山の前に大菩薩嶺。早朝よりもクリアに見えるようになった。

尾根の樹林帯を進む。

前方に大きな飛龍山が見えてきた。

8:20 岩稜帯に突き当たったが、踏み跡も赤テープも見当たらないので、とりあえず上る。すると前方にもっと険しい岩が現れた。行けなくもないが戻るとなると危険に思えたので、巻き道がないか探す。岩の右側を少し進むがありそうもない。左を見ていた嫁もなさそうだと言う。 実はその岩の上が大常木山の山頂で、直登するか、左に巻き道を進んでルートを少し戻れば、簡単に山頂にたどり着いたのだが、昨日のこともあったので、このときはリスクを避けて右の稜線を下りて一般ルートに合流することを選択してしまった。 嫁に「左も一応見てみて」と言われた時にきちんと自分で再確認するか、ザックをデポして無理にでも岩の上に出てみればよかったと悔やまれてならない。 気分的に決着がつかないので、いつかもう一度訪れて、きちんと大常木山に登らなければならないだろう。

獣道のような踏み跡などをたどり、安全に行けそうな道を探しながら徐々に南側斜面を下った。

8:45 一般ルートに合流して緊張から解放された。時間にすればそれほどでもないが、ひじょうに長く感じた。

稜線を南側を巻いて進む一般ルートは、さすがに歩きやすかった。

飛龍山が間近に見えてきた。

9:10 大ダルと思われる場所を通過。積雪でルートを見失いそうになった。

背後には大常木山。大ダルからしばらく進むと、西側の眺めが開けた。

左に南アルプス、右に黒金山、国師ヶ岳と北奥千丈岳が並ぶ。

南アルプス。右から仙丈ヶ岳、北岳、間ノ岳、真ん中あたりに農鳥岳、左に悪沢岳と赤石岳。

飛龍山の西側を巻いて進む。雪の斜面が歩きづらくて、足首が疲れた。

雪上に現れたルリビタキ。

雪の巻き道が延々と続く。直登すれば山頂は近いのに、遠回りしているようで長く感じられた。

10:05 禿岩に到着。素晴らしい眺めが広がっていて、疲れを忘れた。

東側。左から高丸山と鷹ノ巣山、榧ノ木山(かやのきやま)、大岳山、御前山、三頭山と奥多摩の山々が並ぶ。

南側には、雁ヶ腹摺山、富士山、大菩薩嶺。

西側。左にうっすら南アルプス、右に黒金山、北奥千丈岳と国師ヶ岳。

北西側。左から甲武信ヶ岳、三宝山、雁坂嶺、唐松尾山と西御殿岩、ほぼ真ん中に竜喰山、さらにリンノ頭、東仙波、吹上ノ頭、和名倉山と続く。

左は北奥千丈岳と国師ヶ岳、右に甲武信ヶ岳、三宝山、雁坂嶺。その間に冠雪した八ヶ岳が僅かに見えていた。

富士山のアップ。

眺めはよいし、鹿の角も拾ったし、なんだか山の神様に感謝したい気持ちになった。

他のハイカーは誰もこなかったので、おにぎりを食べてゆっくり休んだ。

10:30 禿岩を後にして、飛龍山の山頂へ向かう。

10:35 飛龍権現に到着。ザックをデポして、ここからは手ぶらで上った。

飛龍権現からしばらくは急登が続いた。

斜面が緩やかになると北側前方に飛龍山の山頂が見てきた。

11:00 飛龍山に到着。樹林に囲まれて頂という感じがしない、静かな山頂だった。

写真だけ撮ってすぐに下山開始。

11:20 飛龍権現を通過。雪の巻き道をどんどん進んだ。

11:55 大ダル付近を通過。テント撤収が何時になるか気になっていた。

左に飛龍山。さっきまで山頂にいたとは思えないほど遠くに見えた。

ルート上にいくつか桟橋がかけられていた。帰りはほとんど他のハイカーに会わなかった。

テント撤収が遅くなったと思いながら、将監小屋の青い屋根を目指して足早に歩いた。

13:25 将監小屋に到着。テン場には我が家のテントだけが残されていた。

建設中のバイオ・トイレ。寝袋やエアマットを片付けていなかったので、撤収に少々手間取った。

14:30 将監小屋を出発。

前日からの疲労が蓄積されて、帰りの林道歩きは長く感じられた。

外来種のソウシチョウを見かけた。

15:45 牛王院下の分岐を通過。ザックが重くて腰が痛く、あばらが圧迫される感覚に苦しめられた。

16:05 道を横切ろうとするヒバカリを発見。テンションが上がって一瞬疲れを忘れた。

ストックで行く手をふさぐと、威嚇するようにこちらへ向かってきた。

車道が見えてきた。今年初のテント泊登山は楽しく充実したものになった。

16:20 民宿みはらしに到着。駐車代金を払って、三ノ瀬を後にした。