2011年10月9日 日曜日

燧ヶ岳

2,356 m

 3時50分起床、まだ寝ていたいとごねる嫁を促して、予定より早く歩き出した。前夜は御池駐車場に車中泊したが、車の出入りも気にならずによく寝られた。登山道は泥んこで歩きづらく、霜が降りた木道は滑りやすくて危険だったが、前日の疲れを感じることなくよいペースで歩けた。広沢田代で見た御来光と朝陽を浴びて燃えるような草紅葉の景観は、忘れがたい印象を残すものだった。山頂は登山客でごった返しており、俎嵓と柴安嵓の間は渋滞が発生していたが、どちらの山頂も充分な広さがあり、360度の大展望を存分に楽しむことができた。

 下山は長英新道を使い、尾瀬沼経由で沼山峠へ抜けた。バス時間(16:20)よりずいぶん早く峠に着いてしまったが、混み具合や季節によっては30分位の間隔でバスが出るらしく、出発直前のバスに滑り込むことができた。帰りの高速では軽い渋滞に巻き込まれ、5時間近くの運転を要した。21時に帰宅したときは魂を抜かれたように疲れ切っていたが、会津駒ヶ岳と合わせて充実の車中連泊登山となった。

登山コースデータ
単純標高差 : 856 m
累積標高差 : 1,105 m
コース距離 : 13.6 km
標準コースタイム : 7 時間 35 分
歩行データ
総歩行時間 : 7 時間 55 分
総行動時間 : 10 時間 55 分

 コースタイム

御池駐車場 4:30 ⇒ 5:50 広沢田代 6:00 ⇒ 熊沢田代 7:10 ⇒ 8:40 俎嵓(まないたぐら) 9:45 ⇒ 10:05 柴安嵓(しばやすぐら) 10:40 ⇒ 11:00 俎嵓 11:30 ⇒ 11:50 ミノブチ岳 12:00 ⇒ 13:35 浅湖湿原 13:45 ⇒ 14:00 尾瀬沼ビジターセンター 14:20 ⇒ 小渕沢田代分岐 14:40 ⇒ 沼山峠 15:10 ⇒ 尾瀬沼山峠 15:25

4:30 御池駐車場

4:30 昨日に引き続き、暗闇の中をスタート。ウォームアップがてら、ゆっくりと歩いた。

木道がない所はぬかるんで歩きづらい箇所が多かった。熊と会わないようにと祈りながら歩く。

1時間ほど歩くと明るくなってきて、開けた湿原に出た。木道は霜が降りて滑りやすくなっていた。

5:50 広沢田代に到着。

休憩していると、東の空から朝日が昇ってきた。

予想外の御来光に感激。湿原に出るのが10分遅かったら拝めていない。やはり早起きは三文の徳。

草紅葉が朝陽に染まり始めた。

燃えるような色合いに輝く草紅葉。こうした瞬間はただただ圧倒的で、言葉で形容できない。

会津駒ヶ岳で見かけたおじさんに追い抜かれた。お互い顔を覚えていて、鳩待峠まで行くと言っていた。

樹林帯に入るとぬかるんだ急坂となる。

木の階段もあるが段差が高くて歩きづらかった。

背後には広沢田代。左には大杉岳、奥には会津駒ヶ岳も見える。

樹林帯を上り切ると再び湿原に出て、正面に燧ケ岳の堂々とした威容が現れる。

解放感のある木道歩きが続く。

7:10 熊沢田代に到着。

この辺りから追いついてくる足の速いハイカーが増えてきた。

燧ケ岳を仰ぎながら歩く。

木道には滑り止めの横木が打ってあるが、それでも油断できない。

木道の傾きに危険な感じはしていたが、カメラを向けた瞬間、嫁が転んで完全に"落下"した。

怪我がなくて幸いだったが、痛そうな転び方だった。

湿原の南端から樹林帯に入り、石がゴロゴロした急なガレ沢を上って行く。#

ハイマツと笹の急坂をさらに上る。

振り返ると熊沢田代と広沢田代が小さく見えた。

8:40 三角点のある俎嵓(2,346m)に到着。

思ったよりもあっさり着いた。

西側の隣には柴安嵓。

柴安嵓の左には尾瀬ヶ原と至仏山。

柴安嵓の右奥に見えた平ヶ岳。

北側の会津駒ケ岳。

東側には帝釈山や台倉高山など栃木と福島の県境の山々。

南側の眼下には尾瀬沼。その手前はミノブチ岳。

写真を撮って、のんびり眺めを楽しんだ。

休んでいる間に、登山者の数がみるみる増えた。

9:45 あっという間に1時間が過ぎてしまったので、リュックをデポして柴安嵓へ向かった。

鞍部の木道から柴安嵓を見上げる。

50mほどの上り返しで見た目よりも簡単に行けた。

山頂に近づくにつれ、すれ違う登山者が増えてきた。

とにかく人が多くて渋滞が発生していた。

10:05 柴安嵓(2,356m)に到着。順番待ちをして記念撮影。こちらの山頂はもっと広かった。

信じがたい数の登山者で賑わっていたが、山頂は広いので休憩場所には事欠かない。

西南西方面。広大な尾瀬ヶ原の向こうに至仏山。

西側。景鶴山(前)と赤倉山(奥)。

北西側の平ヶ岳。右奥に中ノ岳もうっすら見えるようになった。

団体がどんどん上ってきて、登山者がますます増えた。この混み様には本当に驚いた。

仲よく並んで談笑する高齢者の団体。

ミノブチ岳と赤ナグレ岳の向こうに尾瀬沼。その上に日光白根山が姿を見せた。

柴安嵓から眺めた俎嵓。

10:40 再び俎嵓へ。山頂で動き回っているうちに、随分時間が過ぎてしまった。

所々で渋滞発生。

休みながらゆっくり歩ける上に、リュックがないので疲れない。

11:30 ついに下山開始。

随分のんびりしたが、それでも名残惜しかった。

尾瀬沼とミノブチ岳を眼下に見おろしながら歩く。ここでもハイカーの行列ができていた。

眺めを楽しみながら砂礫の坂を10分ほど下ると傾斜は緩くなる。

11:45 ナデッ窪分岐に到着。

そのままミノブチ岳の方へ進む。

11:50 ミノブチ岳に到着。南には尾瀬沼がよく見えた。

北側には降りてきた俎嵓がそびえ立つ。

10分ほど休んでから長英新道へ入った。

ここからは笹や灌木の道を下っていく。

枯木の目立つ樹林帯を抜けると、山道は粘土質でドロドロのぬかるみとなった。泥水でぐちゃぐちゃの悪路が続く。泥に靴がはまらないように、足場を選んで進んだ。

泥の悪路をひたすら下り続けると、やがて平坦な道となり、紅葉が目につくようになった。

長英新道の後半は早いペースで歩けた。13:35 浅湖湿原に到着。

浅湖湿原の木道を少し歩いてみた。

広大な湿原の南側に見えるのは檜高山だろうか。

北西側には燧ケ岳がよく見えた。

数時間前には、あの頂に立っていたわけだが、信じがたい思いがした。

黄金に輝く草紅葉。

時間にまだ余裕があったので、湿原を眺めながら尾瀬沼ビジターセンターへ向かった。

湿原歩きは本当に心地が良い。

小さな清流で魚が泳いでいた。

14:00 建屋群に到着。

長蔵小屋別館の先には尾瀬沼ヒュッテと尾瀬沼詰所の建物があった。

とりあえずビジターセンターのベンチで休憩した。

正面には燧ケ岳の雄姿。

隣には自然保護の象徴、長蔵小屋。初代主人の平野長蔵は燧ケ岳の登山道を開き、息子・長英は長英新道を作り、孫・長靖は尾瀬の自然を守った。

14:20 バス時間を気にする嫁に促され、少し早いが沼山峠へ向かった。

足早に行く人が多くて、もったいなく思えた。

左手の燧ケ岳と広大な湿原を眺めながら歩く。

木道歩きが気持ちよい。次に来た時は尾瀬ヶ原を存分に歩いてみたいと感じた。

14:40 小渕沢田代分岐に到着。少し肌寒くなり、フリースを着て先へ進んだ。

樹林帯に入ると、緩やかな木道の上りが続く。

ベンチの並んだ場所が沼山峠と気づかなかった。下りになってあれが峠だったと思い当たった。

バス時間より随分早く着きそうだったが、かまわず歩いた。

15:25 尾瀬沼山峠に着くと、ちょうどバスが出るところで、まだ5人乗れると聞いて滑りこんだ。

15:45 尾瀬御池に20分ほどで到着。

洗い場で登山靴の泥を落としてから車へ。

16時過ぎに駐車場を後にして、21時に帰宅。疲れ切ったが、充実の連続登山であった。