2014年9月27日 土曜日

妙高連山テント泊登山①

火打山

2,462 m

 0時40分起床、自宅を1時に出発。笹ヶ峰には4時20分到着した。登山口近くの駐車場に入ると、ちょうど車1台分空いていて首尾よく停めることができた。久しぶりのテント泊装備がずっしりと重く、高谷池ヒュッテのテント場まで遠く感じた。紅葉は見頃を迎えており、コース上の至るところで自然の彩色美に魅入られた。とりわけ「天狗の庭」周辺の景観美は素晴らしいものだった。残念ながら山頂手前でガスが出てしまい、頂の展望はほとんど得られなかったが、それでも充分満足の行くテント泊登山初日となった。高谷池ヒュッテに戻るとテント場は大混雑していたが、端っこのよい場所にテント設営していたので、食事をするスペースに困ることはなかった。ヒュッテ前で宴会をしているグループや、テント場の学生グループが21時頃までうるさかったが、疲れもあってこの日は比較的よく眠ることができた。

 ちなみに、同日に御嶽山が噴火しており、そのニュースを山頂でたまたま耳にした。そのときは半信半疑だったが、義父からのメールで事実と知った。嫁は夜中に隣のテントから聞こえるラジオに耳をすませて、御嶽山の状況をある程度分かっていたようだが、私は下山後に戦後最悪の火山災害となる惨状を知った。

登山コースデータ
単純標高差 : 1,162 m
累積標高差 : +1,245 m / -450 m
コース距離 : 11.3 km
標準コースタイム : 6 時間 10 分
歩行データ
総歩行時間 : 6 時間 35 分
総行動時間 : 11 時間 15 分

 コースタイム

笹ヶ峰P 4:55 ⇒ 黒沢橋 6:05 ⇒ 十二曲 6:45 ⇒ 7:50 富士見平分岐 7:55 ⇒ (撮影待ち10分) ⇒ 8:50 高谷池ヒュッテ 9:40 ⇒ 9:55 天狗の庭 10:00 ⇒ ライチョウ平 10:40 ⇒ 11:10 火打山 14:40 ⇒ ライチョウ平 15:05 ⇒ 天狗の庭 15:50 ⇒ 高谷池ヒュッテ 16:10

4:20 笹ヶ峰 無料駐車場

4:55 登山スタート。まだ暗いが、出発するハイカーが何人もいた。木道が続いたので安心して歩けた。

緩やかな坂が続いて、ウォーミングアップになったが、木道の滑り止めが歩幅に合わなくて少し歩きづらかった。

6:05 黒沢橋を通過。今回のザックの重さは18kg。いつもと変わらないが、最初はずっしり重く感じた。

登山道はよく整備されていて、木道の作りもひじょうにしっかりしていた。

黒沢橋を過ぎると上りがキツくなってきた。ゆっくり上って、6:45 十二曲をクリア。

綺麗な紅葉が、そこかしこで見られた。例年のピークは10月に入ってからだから、今年は少し早いようだ。

樹間から北アルプスが見えた。鹿島槍ヶ岳から白馬山までよく見えていた。

左奥に剱岳、その右には白馬鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳と続く白馬三山。

木段に馴れると岩ゴロの急登は上りづらく感じる。荷揚げをするつもりで頑張った。

高度が上がるにつれて紅葉が鮮やかとなり、よい一日になりそうな予感が高まった。

7:50 富士見平の分岐に到着。しばし休憩して、左の高谷池ヒュッテ方面へ向かう。

この日は暑くもなく寒くもなく、うっすら汗をかく程度で登山にはちょうどよい気温だった。

分岐を少し進むと、登山道の周囲は素晴らしい紅葉の連続となった。鮮やかな色彩にテンションが上がった。

正面右の北東側に見えた黒沢岳も綺麗に色づいていた。

小屋泊まりらしき軽装ハイカーにどんどん抜かれたが、写真を撮りながらゆっくり歩いた。

色鮮やかな紅葉に囲まれて、最高の時期に来れたと感じた。

見事なグラデーションの紅葉。これだけ広範囲に鮮やかな紅葉を目にするのは初めてなので、何とか全体をカメラに収めたいと思うが、とても収まらない。

登山スタートからすでに3時間を過ぎていたが、素晴らしい紅葉に疲れを忘れた。

火打山の山頂にかかった雲が取れるのを、立派なカメラを構えた関西弁のおじいさんと一緒にしばらく待ったが、結局クリアには見えなかった。左の形のよいのは焼山。

8時半をまわって開けた笹原に出ると、高谷池ヒュッテはすぐだった。

8:50 積雪対策の三角屋根が特徴的な高谷池ヒュッテに到着。

高谷池ヒュッテの前から火打山が見えた。高谷池となだらかな山腹が続き、その先に悠々とした火打山がそびえる。

ヒュッテ前は小屋泊まりのハイカーでにぎわっていたが、テント場はまだ空いていた。場所をすばやく吟味して、食事の際に必要なスペースを残して端っこに幕営。腰を下ろせる丸太と岩も確保しておいた。

15分ほどで設営完了。下は平だが、湿った粘土質なのが気になった。

9:40 アタックザックに必要なものを詰めて、火打山へ向かう。荷物が減って身体が軽かった。

高谷池の東側を巻くようにして進むと、池の反対側(北側)から三角のヒュッテが見えた。高谷池の湿原と草紅葉が絵に描いたような景観を作り出していた。

南側には高妻山と乙妻山、その右奥にはうっすら北アルプスが見えた。

影絵のような奥穂高岳と槍ヶ岳が雲海に浮かんでいた。

山腹に広がる紅葉を分けるように延びる木道を進むと、その先に火打山が徐々に大きくなってくる。

広々とした山腹全体が見事に紅葉していて、火打山の深々とした懐に抱かれるような印象を受けた。

9:55 天狗の庭に到着。この辺りの景観がまた、とりわけ素晴らしかった。

湿原と池の向こうに色とりどりの紅葉が広がり、その先には名峰・火打山が悠揚とそびえる。

さらに木道を進むと、池に映る「逆さ火打」に不意を打たれた。完璧な調和を思わせる光景にしばし魅入られた。

余韻さめやらぬまま、木道を進む。

天狗の池を過ぎると上りが始まる。火打山の背後から湧き出る雲が気にかかってきた。

振り返るとなだらかな湿原の向こうに雲が広がり出していた。

山の天気は変わりやすい。10時半を回るとみるみるガスで出てきた。

10:40 ライチョウ平を通過。ガスが出て雷鳥が現れそうな雰囲気だったが、今回は雷鳥を見ることはなかった。

ライチョウ平を過ぎると稜線はハイマツ帯となったが、見事な紅葉も見られた。

ガレ場の木道を上る。山頂部はガスに覆われてしまった。

11:10 火打山の山頂に到着。残念ながら、どの方角も真っ白だった。

時間はたっぷりあったので、至仏山の時と同じく、ガスが切れるのをゆっくり待つことにした。

一瞬、北側のガスが切れて日本海が見えた。

30分ほどすると少しガスが切れてきたが、山の上にかかった雲が取れなかった。

11:50 ガスが流れて麓が見えた。天狗の庭付近の湿原を確認。

高谷池から続く木道がくっきり見えたがそれも一瞬だった。この後、御嶽山噴火のニュースを誰かが話しているのを耳にした。

昼過ぎになると、そこそこ広い山頂もハイカーで混み合ってきた。ガスが切れると皆一様に色めき立つ。

ガスが切れても雲が邪魔して遠望がきかないという状況が続く。そのうち諦めて下りていくハイカーが増えてきた。

ときおり真上に青空が広がるのだが、遠望はきかない。太陽も雲に隠れる時間帯が長くなってきた。13時を過ぎるとハイカーの姿も少なくなってきたが、諦めずに待ちを決め込んだ。

岩にカメラを置いてセルフ撮影。14時を回り、山頂に残るハイカーの数は僅かとなった。

14:40 山頂で3時間半も粘ったが、下山を開始することにした。真っ白なガスの中を下りてゆく。

下りるほどに明るくなってきて、いつの間にかガスの下に出た。

山頂では終日晴れの予報を恨めしく感じていたが、あながち外れでもないようで、下界はそこそこ晴れていた。

雷菱(かみなりびし)の向こうに町並みが見えた。

さらに下ると、大倉山の向こうに頭をのぞかせる妙高山が見えた。

15:05 ライチョウ平を通過。

ライチョウ平からは、素晴らしい眺めを楽しみながらの下りとなった。

紅葉に包まれた天狗の庭とその先の山並みを眺めながら、ながらかな稜線を下る。

高妻山には雲がかかったままだった。

木段の下りは歩きやすくて早く感じた。

15:50 天狗の庭を通過。火打山の山頂部にはまだガスがかかっていた。

左右に広がる紅葉を楽しみながら木道を歩く。付近でライチョウの鳴き声を聞いた気がした。

高谷池まで戻ってきた。翌日登る予定の妙高山を見ながら、明日の天気予報が崩れた気がしてしょうがなかった。

16:10 高谷池ヒュッテに到着。小屋内に掲示された明日の天気は「晴れ」のままだった。

すぐに食事にした。本日の献立はアルファ米と豚の角煮、ドライカレー。入り口前のスペースと丸太が役に立った。

テント場は大混雑。人が通れるスペースが僅かに残るのみとなっていた。

日暮れには火打山が見えていた。雲が多いのを気にしつつ、18時過ぎには横になった。