2012年10月14日 日曜日
鳳凰小屋テント泊登山 2日目
観音岳・薬師岳
2,841 m 2,780 m

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コースタイム
鳳凰小屋 3:50 ⇒ 鳳凰小屋分岐点 5:00 ⇒ 5:40 観音岳 6:30 ⇒ 7:05 薬師岳 7:20 ⇒ 7:25 薬師小屋 7:30 ⇒ 7:40 薬師岳 7:50 ⇒ 8:35 観音岳 9:25 ⇒ 鳳凰小屋分岐点 9:50 ⇒ 10:30 鳳凰小屋 11:30 ⇒ 12:20 五色ノ滝(上) 12:25 ⇒ 12:55 白糸ノ滝 13:00 ⇒ 13:50 鳳凰ノ滝 13:55 ⇒ 14:30 南精進ヶ滝 14:35 ⇒ 青木鉱泉P 16:05
3:00 起床 鳳凰小屋テント場

目が覚めたら11時。その後はあまり寝られず、なかなか進まない時計を何度も確認していた。がさごそうるさい人もいて、嫁もあまり寝られなかったようだ。3時になるのを待ってから嫁を起こして、早立ちの身支度を始めた。
テントを出ると、あちこちで明かりがともっており、出発の準備をしているハイカーが多かった。3:50 鳳凰小屋を出発。周りは真っ暗闇なので、いつも以上にゆっくり上った。出発してすぐに追いついてきた女性3人組が前を歩いていたので、多少なりとも心強かった。

5:00 鳳凰小屋分岐点に到着。樹林帯を抜けた鞍部は風が強くて、体感温度が一気に低下した。分岐点で3人組は休憩に入ったが、じっとしていると凍えるような寒さだったので、我々はそのまま進んだ。

鞍部から白砂の急登となった。ルートを見失わないように、踏み跡とペンキ印を探しながら慎重に上った。いったん灌木帯に入って岩尾根に出ると、観音岳の山頂は目の前だった。

5:40 観音岳の山頂に到着。日の出時刻には十分間に合った。

北西方面には高嶺、赤抜沢ノ頭、地蔵岳と並び、その後ろには甲斐駒ケ岳。

東の朝焼け。左から御座山、小川山、金峰山、国師ヶ岳と続く山塊が雲海に浮かんでいた。右奥には唐松尾山と雲取山、御座山の上には日光白根山と男体山の頭も見えていた。

東の雲海に浮かぶ大菩薩嶺の上あたりに、朝日が昇りそうな気配を感じたのだが…。

6時近くになっても日の出は見られず。帯雲の向こうに日は昇ってしまったようだ。待っている間に身体は冷え切ってしまった。

北側に八ヶ岳。その右奥は浅間山。ほぼ真ん中の奥、縞枯山の右には根子岳と四阿山もちょっとだけ見えていた。

寒さにはめっぽう強い私だが、薄着のために実は歯がガチガチなりそうなくらい凍えていた。

こじんまりした観音岳の山頂標と記念撮影。

6:30 パンを食べてから薬師岳へ向かった。

富士山を眺めながらの稜線歩きは抜群の解放感だった。

平坦な白砂の斜面を行く。早朝はうす雲が広がっていたが、どの方角にも遠望はきいた。

薬師岳に集合していた大きな団体と入れ替わるような形になって、山頂に人が少なくなった。

7:05 薬師岳に到着。広い白砂の山頂は、さまざまな形の花崗岩が点在して巨大な庭園のようだった。

雲の切れ間から光が差して、富士の裾野を幻想的に照らしていた。神々しさを感じる瞬間だった。

薬師岳の山頂標にカメラを置いてタイマー撮影した。背景は白峰三山。

薬師岳小屋の屋根が、砂払岳の手前の樹林帯に埋もれるようにして見えた。

トイレに行きたくなったので、白砂の斜面を下って、砂払岳との鞍部にある薬師岳小屋へ向かった。

ハイマツとダケカンバの樹林帯を下っていくと、ものの5分で薬師岳小屋に着いた。

小屋よりも立派に見える水洗トイレをお借りした。今年新設されたらしい。

のんびり引き返します。7時半を過ぎると青空が広がりだした。

紅葉の向こうに富士山と砂払岳。

7:50 再び観音岳へ。青空が広がって、稜線からの眺めは一段と素晴らしいものとなった。

緩やかに上り返すことになるが、景色がよいのでまるで苦にならない。

観音岳の左奥は仙丈ケ岳。

稜線の西側には白峰三山。左奥から千枚岳、悪沢岳、中岳、広河内岳、農鳥岳、西農鳥岳、間ノ岳、北岳と続く山並み。右奥には南駒ヶ岳や空木岳などの中央アルプスも見える。

白砂の斜面を上って、8:35 観音岳に戻ってきた。

時間はたっぷりあったので、お湯を沸かしてコーヒーを飲むことにした。これがまた格別に美味しかった。

早朝とは違って日差しが暖かだった。嫁はのんびり過ごし、私は岩場を行ったり来たりして眺めを楽しんだ。

北側の眺め。左に地蔵岳のオベリスク。真ん中には八ヶ岳。

陽が高くなって、八ヶ岳の陰影もくっきり見えるようになってきた。

東の金峰山方面。小川山の手前には瑞牆山の岩稜も見えていた。

北西側には甲斐駒ケ岳。その背後には北アルプスがずらり。手前には高嶺、赤抜沢ノ頭、地蔵岳が並ぶ。

甲斐駒の右に並ぶ北アルプス。左端に穂高と槍ヶ岳、ほぼ真ん中に立山と剱岳、右に鹿島槍ヶ岳、五龍岳、そして白馬岳。手前には赤抜沢ノ頭とオベリスク。

甲斐駒ケ岳の右奥に、穂高連峰と大キレット、槍ヶ岳もくっきり。

北には美ヶ原と妙高連山も見えていた。

山頂は常に登山者でにぎわっていた。

あまりにも眺めがよいので、同じような写真を何枚も撮ってしまった。

9:25 ずっと山頂で眺めを楽しんでいたかったが、帰りの時間もあるので下山開始。

下りの稜線歩きも、素晴らしい眺めの連続。先へ進むのが惜しいくらい、どの方角も眺めがよかった。

観音岳を振り返る。右には農鳥岳、間ノ岳、北岳の白峰三山。

風化した岩稜帯から白砂の斜面を下って行く。

未明にはルートの周囲が分からなかったので、確認するように見渡しながら下った。

いったん灌木帯に入って、また白砂と岩ゴロの道へ出る。

正面には北岳と仙丈ケ岳。鳳凰三山の稜線歩きがこれほど素晴らしいとは想像していなかった。本当に素晴らしいと、しみじみ感じた。

下りながら、かなりの急登を上ってきたのだと実感。

暗闇の中を強風に凍えながら上ったことが、不思議と遠い過去のように思えた。

9:50 鳳凰小屋分岐点に到着。ここからは樹林帯の下りとなる。

紅葉を楽しみながら下る。

暗闇の上りではあまり感じなかったが、コースは急な下りの連続で、大きな段差もたくさんあった。

梯子までくると小屋はもう間近。

鳳凰小屋の周りは綺麗に紅葉していた。10:30 分岐点からのコースタイム通りに、40分で鳳凰小屋に着いた。

ほとんどのテントは撤収済みだった。我々も一息入れてから作業に取りかかったが、撤収に1時間近くかかってしまった。荷物は食料分だけ減ったはずなのに、やっぱりザックはパンパンだった。

11:30 鳳凰小屋を出発。ドンドコ沢源流の河原を歩く。

オベリスクを振り返る。

正午近くになって徐々に雲は上がってきたが、富士山もよく見えていた。

小屋からのコースタイムは4時間弱。最悪17時までに下山できればよいと、ゆっくり下った。

12:20 五色ノ滝(上)に到着。重いザックを下ろして5分休憩。短い時間でもザックを下ろすとかなり違う。

五色ノ滝からは急下降が続く。膝に負担をかけないように、ストックを最大限利用して下りた。

12:55 白糸ノ滝に到着。ここでも5分の休憩。

大きな段差が多くて難儀した。よくこの急坂を上ってきたと思いながら下った。

13:50 鳳凰ノ滝で5分休憩してからさらに下り、沢まで下りてきた。後ろからのハイカーに何人も追い抜かれたが、ゆっくりペースを維持。

14:30 南精進ヶ滝に到着。ここでも一休み。昨日は感じていた左膝の鈍痛が不思議となかった。

南精進ヶ滝を過ぎると傾斜はゆるくなり、小さなアップダウンを繰り返しながら高度を下げて行く。

1時間近く歩くと、九十九折の急坂が現れた。こんな坂を上っただろうかと訝りながらどんどん下る。

急坂を下り切って15分ほど歩くと「小武川第三砂防堰堤」に出た。ここまでくればあと少しと元気が出た。

いったん沢の右岸に渡って迂回路を歩き、また沢を渡って左岸へ戻る。

迂回路を通過してからは平坦な道が続く。

16:05 青木鉱泉に到着。テント泊を無事に終えて、満足感で一杯だった。

駐車場に残っている車は少なかった。2日分の駐車代1,500円を払って我々も青木鉱泉を後にした。

帰宅後、左膝を確認。水が溜まった膝まわりが肥大化して、立つと膝蓋骨が垂れ下がる感じだった。これにはぎょっとなった。
3時に嫁を起こして3時50分に鳳凰小屋を出発した。出発して間もなく女性ハイカー3人組が追いついてきたので、その後は先行する彼女らとの距離を保ちながら上った。鳳凰小屋分岐点からしばらくはルートが分かりづらかったが、迷うことなく日の出時刻前に観音岳へたどり着いた。帯雲に遮られて御来光は拝めなかったが、薄明の空から徐々に明けて行く山頂からの眺望は素晴らしかった。前日に地蔵岳へ登れたことで時間に余裕があったので、稜線と山頂からの絶景をのんびりと心行くまで楽しむことができた。テント撤収では少し手間取ったものの、ほぼ予定通りの時刻に下山開始。滝の入口で休憩しながら下ったが、大きな段差が多くてひじょうにキツかった。何とか青木鉱泉にたどり着いたが、左膝は水がたまってパンパンになっていた。
帰りもナビに出ない舗装路を進もうと思ったが、曲がる場所を間違えて悪路を10分ほど走るはめに。高速は大月ICから小仏トンネルまで25kmの渋滞で、帰宅は21時となった。最後はくたびれ果てたものの、達成感と充実感で一杯のテント泊登山となった。