2015年8月23日 日曜日

石鎚山

1,982 m

 四国遠征2日目。前日に金刀比羅宮観光を終えてから登山口のある土小屋に移動して、駐車場で車中泊した。5時起床、5時45分登山開始。早朝に出ていた霧は時間と共に消えて、最高の登山日和となった。人が少ないうちにと早出したが、思惑どおり誰もいない時間帯に二ノ鎖と三ノ鎖をクリアして、弥山(みせん)から天狗岳への稜線上も写真を撮りながらマイペースで歩けた。遠征最大の目玉であった石鎚山山頂で360度の大展望を目にした時、四国遠征の大成功を確信した。登山道の脇に咲く高山植物も目を楽しませてくれた。事前の期待がすべて満たされたと言える充実の山行となり、感謝の気持ちが湧いてきた。

 正午過ぎには下山して次の目的地である道後温泉へ向かったが、石鎚山登山の満足度が大き過ぎて、その後の予定はどうなってもよいくらいに感じていた。

登山コースデータ
単純標高差 : 490 m
累積標高差 : 780 m
コース距離 : 9.2 km
標準コースタイム : 4 時間
歩行データ
総歩行時間 : 5 時間 20 分
総行動時間 : 6 時間 25 分

 コースタイム

土小屋P 5:45 ⇒ 休憩所 6:50 ⇒ 8:00 二ノ鎖小屋 8:10 ⇒ 9:00 弥山 (石鎚神社) 9:10 ⇒ 9:25 石鎚山 (天狗岳) 10:00 ⇒ 10:15 弥山 (石鎚神社) 10:25 ⇒ 二ノ鎖小屋 10:40 ⇒ 休憩所 11:30 ⇒ 土小屋P 12:10

5:00 土小屋 無料駐車場

運転の疲れと寝不足のため、前夜は車中泊と思えないほどぐっすり眠れた。早朝は深い霧が出ていた。

5:45 登山スタート。車道を少し歩いて登山口へ。早朝は少し肌寒いくらいだった。

登山道は広くてよく整備されていた。

霧は出ていたものの空は明るかったので、これは晴れると歩きながら話していた。

6:30 樹間から石鎚山が見えた。

しばらくすると見晴らしのきく尾根に出た。

次から次へと霧が流れていった。

霧が消えると紺碧の空が広がっていた。

6:50 休憩所を通過。静かな山歩きが続いた。

西側に見えた石鎚山。素晴らしい山行になるという予感にわくわくした。

他のハイカーはいないので、距離を空けて写真撮影。急登のない比較的楽な上りが続く。

霧雲がかなりのスピードで尾根を越えてゆく。風の流れが見えると感じた。

タカネオトギリソウ。山道脇で何度も見かけた。

ミヤマアキノキリンソウ。

木段や桟橋もよく整備されていた。

徐々に近づく石鎚山。

山頂の右肩に石鎚神社が目視できた。

特徴的な形のツリフネソウ。

群生していたレイジンソウ。トリカブト属で有毒。

キク科のコモノギク。

何度も見かけたイヨフウロ(シコクフウロ)。

東稜基部付近の桟橋を歩く。このあたりは高山植物が沢山咲いていた。

前方に山頂部の岩稜が見えてきた。

陽当たりのよい場所にミソガワソウが群生していた。

シソ科イヌハッカ属のミソガワソウ。

花を楽しみながらゆっくり進む。

8:00 鳥居をくぐり、表参道コースとの合流地点である二ノ鎖小屋(1,820m)に到着。

石鎚山の上空をヘリコプターが何度か行き来していた。

北東側、表尾根の向こうには、雲海に浮かぶ大森山(手前)と瓶ヶ森(奥)が見えた。

二ノ鎖小屋。隣で建物の基礎工事をしていた。

鳥居をくぐって二ノ鎖へ向かう。一ノ鎖は表尾根にあるので、我々は二ノ鎖からとなる。

私がある程度足場のよい所まで先に登って、後から嫁が登るというパターンで、お互いの写真を撮った。

二ノ鎖は65m。鎖を頼らないで登れる所も多いが、足場がなくて腕力で登る所もあった。

かなり太い鉄鎖は重みで振れることがない。整合部の輪に手が入るのでしっかり握れる。

嫁は鎖の輪に足先を入れられるので、登りやすいと言っていた。

下を見るとかなりの高度感だが、3点支持で登れば雨でも降らない限り問題なく登れるレベルと感じた。

若干心配だったが、嫁はスムーズな動きで登ってきた。

鉄鎖のすぐ脇に咲いていたシラヒゲソウ。

鎖が細くなると終わりは近い。

15分ほどで二ノ鎖を登り終えた。

二ノ鎖の上から見た石鎚山(天狗岳)の岩壁。

石鎚神社が鎮座する弥山を見上げると、直下に延びる三ノ鎖が見えた。

樹林帯を上って三ノ鎖の基部へ。

三ノ鎖小屋(1,900m)は閉鎖中だった。

次は67mの三ノ鎖に挑戦。

三ノ鎖はさらに斜度を増す。足場が少ない所は腕力で身体を上げていく。

足場のよい所で嫁が登ってくるのを待つ。なかなかの高度感です。

時折足の置き場に迷いながも、嫁は安定したペースで登ってくる。

順番に登ると倍の時間がかかるが、誰もいないのでマイペースで登れた。

一番苦戦した所。三角のあぶみは足を置けない位置にあるものが多く、自分で動かして足を入れた。

遠征計画と長距離運転のことばかり考えて、石鎚山の鎖場はほとんど忘れていたが、刺激的かつ貴重な体験となった。

色鮮やかなミヤマリンドウ。

まだまだ三ノ鎖は続く。

土小屋ルートは近くて簡単過ぎるが、この鎖場のおかげで山登りという感じがしてきた。

所要時間15分。ついに三ノ鎖も登りきった。

三ノ鎖を登った先は石鎚神社頂上社の裏手にあたり、柵に囲まれた鳥居が鎮座していた。

9:00 日本七霊山の一つ、石鎚山(弥山 1,974m)に到着。南東側には天狗岳が映像で見ていた通りにそそり立っていた。

石鎚神社山頂社。祭神は石鎚毘古命(いしづちひこのみこと)。社殿の中には三つの御神徳(神の恵み)を表す三体の御神像、玉持ちの御神像、鏡持ちの御神像、剣持ちの御神像が祀られている。

天狗岳の山頂付近に登山者の姿が見えたが、弥山には誰もいなかった。

弥山に祀られていた小さな祠。

石鎚神社の奥には頂上山荘がある。

西側の眺め。西ノ冠岳(にしのかんむりだけ)まで稜線が延びており、その向こうは松山市と海が広がる。

南西側の眺め。左に五代ヶ森、真ん中に二ノ森と鞍瀬ノ頭、堂ヶ森、右端に西ノ冠岳。

南側の眺め。右端に五代ヶ森、真ん中手前は面河山。

南東側には天狗岳へと続く稜線が延びる。距離にして約200m。尖った天狗岳山頂に人の姿が見えた。

東側の眺め。中央手前に大森山、その上に瓶ヶ森(かめがもり)と西黒森。瓶ヶ森の左奥は笹ヶ峰で、右には伊予富士や東黒森も見える。

9:10 天狗岳へ移動開始。

最初からなかなかの岩場を下る。

やせ尾根を進む。左右は切れ落ちているが、思っていたほどの険しさはなく、普通に歩けた。

いよいよ天狗岳山頂が近づいてきた。

いったん尾根の右へ巻いて進む。

再び岩尾根に出ると、天狗岳の先鋒が目の前に。

あまりに素晴らしい眺めなので、距離を取ってお互いの写真を撮ることにした。

一足先に天狗岳山頂へ。北東側はすっぱり切れ落ちている。

やせた岩稜に立つ嫁の向こうには弥山山頂の石鎚神社。圧倒されるような眺めに感嘆した。

9:25 嫁も西日本最高峰・天狗岳(1,982m)に到着。

後からきた若者に山頂の祠で写真を撮ってもらった。

南東側には天狗岳と同じ高さの南尖峰(みなみせんぽう)。ちなみに石鎚山は弥山、天狗岳、南尖峰の総称である。

北側には二ノ鎖小屋から延びる表参道ルートが見えた。その向こうには石鎚神社成就社が小さく見える。

天狗岳の岩場でおにぎりを食べながら、しばし至福の時を過ごした。

ここまでの快晴は予想していなかったので、沸き立つような喜びと感謝の念で一杯だった。

10:00 弥山へ移動開始。一日居てもよいくらいの気分だったが、午後の予定も考えて下りることにした。

まだ数えるほどだったが、天狗岳へ上ってくる登山者の姿も見られるようになった。

天空に浮かぶような石鎚神社。四国に来てよかったとしみじみ感じた。

弥山へ戻る途中も、写真を沢山撮った。

弥山手前の鎖場を上る。

10:15 弥山に戻ってきた。

登山者の数は増えてきたが、予期していたような混雑は最後までなかった。

頂上山荘は石鎚神社が経営する山小屋で、一般登山者は神職が常駐する5月初めから11月3日まで宿泊できる。下山路の巻き道は頂上山荘の脇から入る。

山頂で見たキアゲハ。

10:25 下山開始。

下山路の巻き道もよく整備されていて、上りと下りの登山者が無理なくすれ違えるようになっていた。

10:40 あっという間に二ノ鎖小屋に到着。巻き道の方がかなり楽という印象を受けた。

鳥居まで下って右の土小屋ルートへ入った。

下りでは上ってくる登山者とたびたびすれ違った。

気持ちのよい木道歩きが続く。

どんどん下って、石鎚山を一望できる場所に出た。

石鎚山山頂の岩峰。

開放感のある眺めを楽しみながら下る。左に瓶ヶ森、伊予富士と東黒森、右端の三角は岩黒山。

11:30 休憩所を通過。

鶴ノ子ノ頭の左側に国民宿舎の広い駐車場が見えた。

12:05 土小屋手前の車道に出た。

帰りは石鎚神社の土小屋遥拝殿を通った。

土小屋の無料駐車場はほぼ満車になっていた。

自販機で炭酸飲料が買い、12:10 駐車場に到着。

駐車場から眺めた石鎚山。もう二度と来ることはないかもしれないと思うと、感慨深いものがあった。この後、道後温泉と松山城をまわるため、松山市へ向かった。