2011年9月24日 土曜日

北沢駒仙小屋テント泊登山 2日目

甲斐駒ヶ岳

2,967 m

 4時15分に目が覚めたので、すぐ準備をして5時前に歩き始めた。若干出遅れたと感じていたが、夜明け前の北沢沿いの山道は分かりづらく、先行していた団体の踏み跡を追えたのはよかった。前日と異なり、早朝から団体ハイカーが続々と登ってきて山は大賑わい。危険箇所では渋滞も発生したが、マナーのしっかりした団体ばかりなのであまり気にならなかった。心配していた身体の疲労も問題はなく、充分な睡眠をとれたからか、前日よりも体調はよいと感じた。山頂はまさに360度の大絶景。見えない山がないと思えるほど、すべての方角で遠望がきいた。大きな贈り物をもらったような、そんな気持ちにさせられる無上の眺めであった。仙水峠から上って双児山経由で下りるコースは変化に富んでおり、特に細かいガラスを固めたような花崗岩の白い斜面は印象的だった。唯一の難点は、コース上どこにも用を足せる場所がないことだろう。

 余裕をみて下山を開始し、テント撤収等の帰り支度もスムーズにできたので、15時半には北沢峠のバス停に並べた。帰りの高速では、大月-小仏間の渋滞にはまってしまったが、結局4時間半の運転で済んだ。車中泊、テント泊、アルファ米の夕食、2日間連続の3,000m級登山と、初物づくしとなったが、経験値を一気に上げる、忘れられない山行となった。

登山コースデータ
単純標高差 : 987 m
累積標高差 : 1,180 m
コース距離 : 8.5 km
標準コースタイム : 7 時間 10 分
歩行データ
総歩行時間 : 7 時間 30 分
総行動時間 : 9 時間 35 分

 コースタイム

北沢駒仙小屋 4:50 ⇒ 5:40 仙水小屋 5:45 ⇒ 6:20 仙水峠 6:25 ⇒ (休憩 10分) ⇒ 8:05 駒津峰 8:25 ⇒ 9:50 甲斐駒ケ岳 10:55 ⇒ 12:05 駒津峰 12:15 ⇒ 12:50 双児山 12:55 ⇒ 13:30 中間点 13:35 ⇒ 長衛荘 14:15 ⇒ 北沢駒仙小屋 14:25

4:15 起床 北沢駒仙小屋テント場

4:50 暗闇の中をスタート。最初に沢を渡る箇所が何度か続き、ルートがひじょうに分かりづらかった。

ウォームアップのつもりでゆっくり歩いた。途中で丸太橋を渡ったが、滑りそうで怖かった。

50分ほど歩いて仙水小屋に到着。軽い朝食にアンパンなどの行動食を食べた

薄暗いシラビソの樹林帯を歩く。

シラビソの樹林帯を抜けると、ゴーロと呼ばれる岩塊の斜面が現れる。

北東側に大きく迫る摩利支天の白い山容。左奥が甲斐駒ヶ岳の山頂部。

6:20 ゴーロを20分ほど歩くと仙水峠に着いた。峠は休憩中の団体ハイカーでにぎわっていた。

5分ほど休んでから登山再開。

さすがに人気の百名山。人の多さに驚きながら、せっせと上る。

仙水峠から駒津峰までは480m以上の上りとなる。足の状態を確かめながら歩いた。

いつしか摩利支天より甲斐駒ヶ岳の方が大きく見える位置まできた。

樹林帯を抜けてハイマツ帯に入ると、背後の景色が開ける。

眺めのよさに疲れもふっとんだ。

他のハイカーと抜きつ抜かれつしながら進む。

8:05 駒津峰に到着。多くの登山者が休んでいた。

駒津峰から眺める北東側の甲斐駒ヶ岳は見事なピラミッド型。ゴツゴツした白い岩肌が荒々しくも美しい。

南東側。鳳凰三山の右上に富士山がわずかに見えていた。右端はアサヨ峰。

南側には北岳と間ノ岳。左手前はアサヨ峰と悪沢山。

南西側には仙丈ヶ岳。右手前は双児山。

北側。鋸岳の向こうには北アルプスがずらりと並んでいた。

小休止してパンをほおばった。雲ひとつない快晴に、嬉しくてわくわくした。

8:25 登山再開。

駒津峰からはヤセ尾根の険しいコースとなり、場所によっては渋滞が発生していた。

六方石を過ぎると、スムーズに歩けるようになった。前のハイカーに歩調を合わせて進んだ。

しばらく進んで振り向くと六方石の全貌が見えた。その前には渋滞の原因となっていた中高年団体。

岩稜の直登コースではなく、南斜面の巻き道コースへ。

広大な眺めを楽しみながら、ざらめのように白く輝く花崗岩の道を歩く。

摩利支天にも寄りたかったが、時間的に厳しくなりそうなので寄らずに山頂部へ向かった。

後ろからは続々と上ってくる団体ハイカー。花崗岩は、御影石という名前でも知られる白くて鉱物の粒が粗い岩石で、火山岩と同じくマグマが冷えて固まったものだが、花崗岩は地底の深いところでゆっくり冷えたものなので結晶が大きい。

ペースを守りながら上る。

嫁はかなりバテ気味だったが、山頂はもう間近。

9:50 山頂部に到着。まずは石碑などがある隣のピークへ向かった。

隣の山頂を眺める。これ以上ない快晴にテンションが上がった。

大国主命や駒嶽大権現などの石碑が祀られていた。

少し下がった所にある駒ヶ岳神社の奥社。

ひと通り見てから多くの登山者で賑わう山頂へ移動した。

わらじが奉納されている駒ヶ岳神社。主祭神は大己貴神(おおなむちのかみ)=大国主命。

とりあえず山頂標を入れて記念撮影。

山頂は広いので人が多くてもスペースは十分。適当な場所を確保しておにぎりを食べた。

北西側にずらりと見えた北アルプス。手前は鋸山。

左から霞沢岳、笠ヶ岳、西穂高岳、奥穂高岳、北穂高岳、南岳、大喰岳、槍ヶ岳、右端に水晶岳。

左から常念岳と野口五郎岳、燕岳、真ん中あたりに竜王岳と立山がならび、さらに剱岳、蓮華岳と続く。

左から爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳、五龍岳、唐松岳、白馬三山。

北北西側に見えるのは美ヶ原高原。右に車山高原(霧ヶ峰)も見える。

北北東側には蓼科山から赤岳まで、八ヶ岳の全貌が見えた。

左から天狗岳、硫黄岳、阿弥陀岳、横岳、赤岳。天狗岳の左後ろは浅間山。

東側は奥秩父の山々。真ん中右に小川山、三宝山、金峰山などが見える。

南東側には鳳凰三山と富士山。

南側は、北岳、間ノ岳、悪沢岳、赤石岳、塩見岳、兎岳、中盛丸山、小河内岳と続く南アルプスの山並みが一望できた。手前はアサヨ峰と悪沢山。

南西側は仙丈ケ岳が大きい。手前は駒津峰と双児山。

西側には中央アルプスと御嶽山。

御嶽山の右奥には白山も見えていた。御嶽山の手前は大棚入山。

眺めがよいので何枚も写真を撮った。

山頂で一番高い岩にも登ってみた。

陽が高くなってきて、山頂はますます人が増えてきた。

10:55 名残惜しかったが、テント撤収のことも考えて、早めに下山を開始した。

素晴らしい眺めの連続に気分は爽快。名だたる名峰を遠望しながら下った。

前日の同じ時間にはガスが出ていたが、この日はガスの出る気配は皆無だった。

忙しく写真撮影をしながら下る。

花崗岩の白い岩肌は、陽光に輝いて眩しかった。

アサヨ峰と悪沢山の向こうに北岳と間ノ岳。ざらつく砂礫の白い斜面は、どこか異国を思わせた。

奥には富士山と鳳凰三山。眼下には摩利支天を眺めながら下る。

トラバース気味に山の斜面を進む。

仙丈ヶ岳もこの日は最後までくっきり。

六方石の向こうには中央アルプスと御嶽山。

11:40 六方石に到着。

窮屈な岩の切れ目を通る。

前後の団体と距離を保つようにペースを維持。

駒津峰への上り返しがこたえた。若干渋滞気味になったが、適度に休めてよかった。

威風堂々たる甲斐駒ヶ岳の雄姿。迫力があって実に格好よい。

12:05 登山者で賑わう駒津峰に到着。

10分ほど休憩してから双児山へ向かった。

とてつもなく大きな荷物を背負った人がいた。歩荷だろうか。

駒津峰からの下りも素晴らしい眺めの連続だった。

駒津峰から鞍部まで160mほど下る。

足の疲れは意外なほど感じなかった。

鞍部からは60mほどの上り返し。

さすがに上りはキツく感じたが、開けたところに出ると双児山はすぐだった。

12:50 標札だけのこじんまりした双児山に到着。甲斐駒ヶ岳と駒津峰が遠くなってきた。

双児山付近から眺めた悪沢山とアサヨ峰。

昼を過ぎてもガスが出る気配はなく、どこまでも見晴るかすことができた。5分ほど休憩してから下り始めた。

双児山から北沢峠までは600m以上の下りとなる。

双児山と北沢峠の中間点に 13:30 到着。さすがに疲労が出てきた。

朝から抜きつ抜かれつしていた若者集団と、下りでも一緒になった。もう完全に顔見知り。

14:15 長衛荘に到着。よいペースで下れたので時間に余裕ができた。

14:25 北沢駒仙小屋のテント場に到着。となりは撤収して次の人が設営を始めていた。

カラフルなテントが並ぶ。すぐ横の沢で足裏を冷やしてから撤収開始。シュラフやマットを片付けてテントを畳んだ。

30分ほどでテントの撤収を終え、15:15 北沢駒仙小屋を後にした。

長衛荘前のバス停へと向かう。食糧と飲料水が減っても、ずしりと荷物は重かった。

15:30 バス停に並ぶ。順番が不明瞭だったが、列をさばくおじさんが団体の先に40分発のバスへ案内してくれた。

16:25 満ち足りた達成感と心地よい疲労を感じつつ、仙流荘に到着。経験不足で不安もあったが、今回のテント泊登山は大成功に終わった。