2018年9月22-23日 土・日曜日

1泊2日テント泊登山

木曽駒ヶ岳

2,956 m

 22日9時に自宅を出発。八王子IC付近で渋滞に巻き込まれたものの、13時半に菅の台バスセンターに到着した。バス路線の雨量規制で千畳敷に入るのが遅くなってしまったが、暗くなる前に頂上山荘に着いてテント設営を終えた。山登りというより軽いトレッキングの範疇だが、久しぶりのテント装備がずしりと重たかった。夜はそれほど寒くなくて、よく寝ることができた。

 翌23日は、木曽駒ヶ岳山頂で日の出を拝んでから360度の大パノラマを満喫した。テントを撤収した後、ザックをデポして宝剣岳と伊那前岳にも登ったが、切り立った岩稜と開放感のある尾根歩きと、対照的な山登りを楽しむことができた。下山時の八丁坂では渋滞が発生するほどの混雑ぶりだったが、千畳敷から眺める中央アルプスの景観は素晴らしく、花の時期にもう一度来てみたいと感じた。出発前は人出の多さと渋滞を案じつつ、トラブルを楽しむつもりで臨んだが、そうした姿勢が様々な面でとても有効であると実感した。いつもよりもコストはかかったが、3連休の貴重な晴れ間を活かして、またひとつ素晴しい山に登れた。昼前に千畳敷駅に着いたので、それほど待たされることなくロープウェイ、バスと乗り継いで、菅の台には13時頃に到着した。帰りの高速は小仏トンネル付近が数キロ渋滞していた以外はスムーズに進み、17時に帰宅できた。

登山コースデータ
単純標高差 : 356 m
累積標高差 : 605 m
  1日目 : + 285 m / - 65 m
  2日目 : + 320 m / - 540 m
コース距離 : 6.6 km
  1日目 :  1.7 km
  2日目 :  4.9 km
標準コースタイム : 5 時間 25 分
  1日目 :  1 時間 40 分
  2日目 :  3 時間 45 分
歩行データ
総歩行時間 : 4 時間 40 分
  1日目 : 1 時間 15 分
  2日目 : 3 時間 25 分

 コースタイム 1日目

千畳敷駅 16:25 ⇒ 宝剣山荘 17:15 ⇒ 中岳 17:30 ⇒ 頂上山荘 17:40

 コースタイム 2日目

頂上山荘 5:00 ⇒ 5:15 木曽駒ヶ岳 6:15 ⇒ 6:30 頂上山荘 7:25 ⇒ 7:40 中岳 7:50 ⇒ 8:00 宝剣山荘 8:05 ⇒ 8:25 宝剣岳 8:45 ⇒ 9:05 宝剣山荘 9:10 ⇒ 9:40 伊那前岳 9:55 ⇒ 10:25 宝剣山荘 10:40 ⇒ 11:25 剣ヶ池 11:45 ⇒ 千畳敷駅 11:50

木曽駒ケ岳 1日目

嫁の仕事が朝8時に片付いたものの、出遅れてしまったので木曽駒ヶ岳か北八ヶ岳へテント泊で出かけるか、翌日に日帰り登山へ出掛けるかで迷う。高速の渋滞やバス乗り場の混雑が気がかりだったが、一番行きたい山へ行こうと木曽駒ヶ岳に行先を決定。9:00 急いで準備を整え、自宅を出発した。

13:30 菅の台バスセンター

13:30 菅の台バスセンターに到着。すると、係員の方に「バスが路線雨量規制で始発から動いておらず、今日動くかどうかは15時に出る行政の判断次第です」と知らされた。トラブルも楽しもうと出てきたが、本当にトラブルに見舞われてしまった。とりあえずバス・チケット購入の行列に並んだ。

天気の回復具合から、土砂崩れでもない限りバスの運行再開は間違いないと思えたので、道路の点検を何故もっと早くしないのかと疑問を感じた。15時のバスで日帰りはもう無理なので、宿泊かテント泊の登山者のみが列に並んでいた。

14:50 チケットの販売開始。バスの運行は15時から再開されて、15:30 4台目の臨時バスに乗ることができた。

曲がりくねった狭い林道を走って、16:00 ロープウェイ・しらび平駅に到着。バスの乗客全員がそのままロープウェイに乗車。

7分30秒で標高差950mを駆け上がり、標高2,640mの千畳敷駅に到着。車内はぎゅうぎゅうのすし詰めだった。

テント場のある頂上山荘までのコースタイムは1時間40分。暗くなる前にテント設営を終えられるかは微妙なところだった。

16:25 千畳敷駅を出発。山荘宿泊のツアー団体が歩き始めていたので、先頭の人たちを急いで追い抜いた。

屏風のような岩壁に囲まれた圏谷内は、すでに日陰となっていた。

急峻な宝剣岳の周囲をガスが流れていく。立ち並ぶ岩峰の圧倒的な迫力に、明日の山行が楽しみになってきた。

剣ヶ池からの散策コースと合流すると、八丁坂の急登となる。テント装備のザックがずしりと重たかった。

健脚ハイカーに追い抜かれながら、九十九折の急登をせっせと上る。

千畳敷カールを振り返ると、ずらりと並ぶ南アルプスが見えた。

眼下には登山者の列が続く。斜度がきつくなって、嫁のペースが落ちてきた。

先行してよいテント場を確保したいという思いにかられるが、それほど混んでいるわけがないと思いなおす。

17:10 稜線(乗越浄土)に出た。北西方面に中岳と木曽駒ヶ岳が見えた。左は天狗荘。

南西方面には鋭角な宝剣岳がそびえる。

東方面には伊那前岳へと続く稜線がのびていた。

南方面にはずらりと南アルプスの山並。

農鳥岳と塩見岳の間に富士山の頭も見えていた。

日没は近いので休む間もなく先へ進む。

17:15 宝剣山荘(2,870m)を通過。収容人数は300名。

宝剣岳(左)と天狗岩(右)。

南西側の三角形は三沢岳。

乗越浄土に出てからはなだらかな道が続いた。テント場は中岳の向こう側にある。

天狗荘の横を通って中岳へ向かう。天狗荘も収容人数300名。

背後には夕陽をあびる宝剣岳の尖峰。

中岳の上りにかかる。登山自体が1ヶ月ぶりということで、テント装備のザックがとにかく重たい。

17:30 中岳(2,925m)を通過。

中岳を越えると眼下に頂上山荘のテント場が見えた。日没前に着きそうなのでホッとした。

テント場を上から眺めた感じでは、スペースはまだかなり残っていた。

日没間近に中岳と木曽駒ヶ岳の鞍部に到着した。

登山規制の解除が進みつつある御嶽山。

17:40 駒ヶ岳頂上山荘(2,870m)のテント場に到着。嫁が手続きをしている間に平らなスペースを探す。

テント場の奥の方に平らに整地された場所を見つけて、18時前にテント設営を終えた。強い風が時折吹き抜けていたので、ペグの打ち込みは入念にしておいた。

18時をまわるとあっという間に暗くなった。明日の行動食が多めに買ってあったので、バーナーは使わずにおにぎりなどで夕食を済ませた。

月明かりが煌々としていた。宴会をしている隣のテントがずっと騒々しかったが、21時には静かになった。寒さはそれほどでもなかったので、思いのほか快適に寝ることができた。

3:00 外に出て星空を眺めた。月はすでに沈んでいたものの、夜空は明るくて星はそれほど見えなかった。

木曽駒ケ岳 2日目

4:20 起床 駒ヶ岳頂上山荘テント場

星空を眺めてからなかなか寝られず、じっと朝になるのを待っていたが、4時過ぎになるとテントを撤収する人や出発の準備をする人で、外が騒がしくなってきた。
4:20 嫁を起こして出発の準備をした。朝の冷え込みはそれほどではなく、風も気になるほどではなかった。
5:00 登山開始。前夜、頂上山荘の受付で日の出時刻は5時半過ぎと聞いていたので、時間に少し余裕をもってスタートした。昨日と違い、軽食と飲料水を入れたアタックザックのみだったので、身体がとても軽かった。

5:15 木曽駒ヶ岳に到着。山頂はなだらかで、広々としていた。

東側には南アルプスの峰々がずらりと並んでおり、その左端が明るくなってきたので、よく見える場所に陣取った。

北東の雲海に浮かんでいた八ヶ岳。木曽駒から眺めると、北の(左端)の蓼科山から南(右端)の三ツ頭までずらりと見える。

5:35 日の出時刻になって陽は昇ってきたが、地平線の低い帯雲が邪魔をしてクリアな日の出は見られなかった。

5:45 低く伸びた雲の上に太陽が出てきた。

山頂が一気にモルゲンロートに染まった。

何度経験しても、山頂で眺める日の出には格別の味わいがある。昨日バス待ちをしている時には、日没前に幕営できるか分からなかったので、車中泊をして翌日に日帰りすることも考えたが、やはり昨日のうちにテント場まで登っておいてよかった。

広い山頂を歩き回って、360度の大展望を満喫した。

山頂には古来より2つの神社からあり、こちらは東側(伊那側)にある伊那駒ヶ岳神社。

西側(木曽側)にある木曽駒ヶ岳神社。それぞれに里宮があり、神社庁にも登録されている。

山頂標の文字はよく読めなかったが、下に「木曽駒ヶ岳」と書かれた板が置かれていた。

南方面の眺め。真ん中に空木岳と南駒ヶ岳、左側に宝剣岳、右に三沢岳。右端奥に見える丸い山容は恵那山。

宝剣岳から空木岳へ続く稜線を見ると、距離があってアップダウンも大きいので、ここから縦走するのはかなり大変そうに見えた。

三沢岳と恵那山。次に木曽駒ヶ岳へ来ることがあったら、三沢岳にも登ってみたい。

西方面。中央が木曽前岳でその右が麦草岳。眼下には頂上木曽小屋が見える。小屋の標高は2,900mで、収容人数は200名。

雲海を挟んで麦草岳の上に見えた御嶽山。

御嶽山の右には乗鞍岳と北アルプスの峰々が並んでいた。

北側に見えた北アルプスの山塊。

大きく裾野を広げる乗鞍岳。

左から笠ヶ岳、抜戸岳(ぬけどだけ)、双六岳を挟んで真ん中あたりに奥穂高岳と槍ヶ岳、さらに立山、大天井岳、常念岳と続く。立山の手前は鉢盛山。

どの方角も遠望が利いて、素晴しい展望が広がっていた。

風が強いので、伊那駒ヶ岳神社の石垣に隠れて軽食を食べた。

朝の展望がいまひとつの場合は、テントをそのままに宝剣岳と伊那前岳に登って、昼過ぎにもう一度木曽駒ヶ岳に登ることも考えてたが、申し分のない大展望を得られた。

6:15 下山開始。頂上山荘のテント場へ向かう。

15分でテント場に到着。撤収が遅いともう1日分料金(1人1,000円)がかかるので、すぐに撤収開始。

30分ほどでテントの撤収を完了した。

前日のスタートが遅くなったために余った行動食を今朝の食事に回したので、今回はアルファ米やカップ麺を用意する必要がなくなった。食材や水が減らず、ザックの重さは往路とあまり変わらない感じがした。

頂上山荘のテント場は、千畳敷駅から2時間弱で来られる上に木曽駒ヶ岳の山頂までは20分と、抜群のロケーションにある。平らに整地されたスペースも多く、とてもよいテント場だった。バス&ロープウェイの往復で3,900円かかるのがネックだが、いつかまた来たい。

7:25 のんびり中岳へ向かう。

7:40 中岳の岩場から眺めを楽しんだ。

北側の木曽駒ヶ岳と頂上山荘。

南側の宝剣岳と空木岳方面。

東側の伊那前岳。

中岳山頂には登山道を挟んで東西に岩場がある。東側から見た中岳山頂。

西側の岩場から見た中岳山頂。

7:50 中岳を出発。宝剣山荘の方から登山者が続々と上ってきていた。

遠目から宝剣岳の一番高い岩場に立つ登山者の姿が見えていたので、自分もあそこに立ちたいと考えていた。

前日は宝剣山荘から中岳の上りをキツく感じたが、下りで歩くと驚くほど近かった。

宝剣山荘の分岐近くにザックをデポして、ストックもしまった。

8:00 宝剣山荘に到着。

8:05 宝剣岳へ向かう。幼稚園の年長くらいの子どもが親と一緒に登っていて、山慣れもしていないようなのでとても気になった。

下りてくる登山者が多くて若干渋滞したが、ちょうど上は人が少なくなっているようだった。

8:25 宝剣岳(2,931m)に到着。

8:25 宝剣岳(2,931m)に到着。

宝剣岳から眺めた北側の木曽駒ヶ岳方面。

東側の伊那前岳。その向こうには八ヶ岳と南アルプスの北側が見える。

南東の眼下には千畳敷カールが広がり、その奥には駒根市街地と南アルプスの山並。

南側の眺め。左には檜尾岳から熊沢岳、東川岳と空木岳へ続く稜線が伸び、右には三角の三ノ沢岳。奥には恵那山も見える。

グリップのきく岩から手を離さなければ、足場のでっぱりにつま先が届かない。手を放す瞬間がちょっと怖かった。

8:45 人が増えてきたので下山開始。タイミングを見計らってクサリ場を下る。クサリ場は2、3ヶ所のみで距離は短い。

あっという間に安全な場所まで降りてきた。

陽が高くなり、ますますクリアに見えてきた御嶽山。

天狗岩。宝剣岳へ向かう人が増えてきた。

9:05 宝剣山荘に到着。

9:10 ザックをデポする場所を少し移動して、次は伊那前岳へ向かう。乗越浄土では大勢の人が休憩していた。

伊那前岳の方へ少し進むと、人は一気にいなくなった。

露岩が積み重なった小さなピークを巻いて進む。

稜線上に大きな岩ゴロが積み重なるが、宝剣岳とは違ってなだらかな尾根道が続いた。

九合目と記された道標の横をとおる。前方には南アルプスの山並。

開放感抜群の尾根歩きが続く。登山者は少なかったが、せっかく乗越浄土まで来て、この尾根を歩かないのはもったいない。

小ピークには巻き道がついているので、アップダウンは少なかった。

紅葉したウラシマツヅジ。すでに枯れている葉も目についた。

石碑などが立ち並ぶ「勒銘石」を通過。

勒銘石を過ぎると伊那前岳の山頂が見えてきた。

9:40 伊那前岳(2,883m)に到着。

伊那前岳も360度の大展望。登山者も少ないので、のんびり眺めを楽しんだ。

西側の眺め。歩いてきた稜線の左に宝剣岳、右に中岳と木曽駒ヶ岳。

宝剣岳(右)の左側にはサギダルノ頭、島田娘と続く。島田娘の下方には千畳敷駅が見える。雪解け時期に馬の雪形が見られることが駒ヶ岳の名の由来だが、島田娘も島田娘の雪形が見られることが名の由来となっている。

島田娘の左側には、檜尾岳から熊沢岳、東川岳と、中央に見える空木岳と南駒ヶ岳へ続く稜線が伸びている。

南東側には南アルプスがずらり。

左から甲斐駒ヶ岳、アサヨ峰、仙丈ケ岳、北岳、間ノ岳、農鳥岳、富士山、塩見岳。

左から塩見岳、悪沢岳(東岳)、中岳と前岳、中央左に赤石岳、中央右に聖岳と兎岳、さらに仁田岳(にっただけ)や易老岳(いろうだけ)などを挟んで光岳、右端に池口岳。

北東には八ヶ岳の峰々が一望できた。その左には浅間山、右には甲武信ケ岳なども雲海に浮かんでいた。

左から蓼科山、北横岳、縞枯山、茶臼山、丸山、真ん中あたりに中山、さらに天狗山、根石岳と南八ヶ岳の山が並び、夏沢峠を挟んで、硫黄岳、横岳、赤岳、権現岳、三ツ頭と南八ヶ岳の峰々が続く。

北側には馬ノ背から将棊頭山へ向かう稜線が延び、その向こうに北アルプスの山々が並ぶ。

宝剣山荘付近の喧騒はどこへやら、静かな山頂で中央アルプスの素晴しい眺めを楽しんだ。

9:55 下山開始。来た道を引き返す。

復路ものんびり歩を進めて、開放感抜群の稜線歩きを楽しんだ。

九合目を過ぎたところの小ピーク。岩を立てて並べたようなギザギザの露岩が印象的だった。

宝剣岳、サギダルノ頭、島田娘と屏風のように並ぶ岩峰の南東には、まさにスプーンで削ったような千畳敷カールが広がる。

混雑する山は敬遠しがちだが、立山や尾瀬などと同様に、木曽駒ヶ岳もまた混雑に見合うだけの魅力にあふれていると感じた。

眺めを楽しみながら歩いていると、乗越浄土まではあっという間。

宝剣岳の山頂に立つ人の姿が見えた。ますます混雑しているようだった。

10:25 宝剣山荘に戻ってきた。乗越浄土は登山者だらけ。

近くの岩場をうろついていたイワヒバリ。

10:40 下山開始。少し名残惜しいが、ロープウェイは午後になると待ち時間が長くなるので、早めに移動を開始した。

傾斜のキツい八丁坂を下る。前後にハイカーが並んでいるので、流れに合わせて進んだ。

下りだけではなく、上ってくる登山者も多いので、狭いところは渋滞が発生していた。

八丁坂を過ぎて遊歩道との合流地点に近づくと、人がバラけてきた。

サギダルノ頭と島田娘を見上げる。千畳敷から眺めると覆いかぶさってくるような迫力がある。

分岐から剣ヶ池につながる遊歩道に入った。

紅葉は始まっていたが、例年より赤色が少ないと誰かが話していた。

伊那前岳の南側の紅葉。

何度も立ち止まって、千畳敷カールを覆う岩壁を眺める。

千畳敷からも宝剣岳の山頂に立つ登山者の姿が見えた。

11:25 剣ヶ池に到着。池の近くは広場のようになっていて、多くの人でにぎわっていた。

腰を下ろしてしばし休憩。

島田娘(左)と宝剣岳(右)。雪解け時期になると、左の岩峰下に島田娘の雪形が見えるという。

千畳敷カールと宝剣岳。

剣ヶ池から眺めた南アルプス。千畳敷駅周辺の景観は素晴しく、遊歩道だけ歩いて帰る観光客がいるものうなずけた。

11:50 剣ヶ池から5分足らずで千畳敷駅に到着。駅の周りは綺麗に紅葉していた。12時過ぎにロープウェイに乗り、ほとんど時間のロスなくバスに乗り換えて、13時頃に菅の台バスセンターに到着した。初日はどうなることかと思ったが、今回も素晴らしい山行になった。