2014年9月28日 日曜日

妙高連山テント泊登山②

妙高山

2,454 m

 3時になるのを待って起床。撤収を開始すべく外へ出ると、手の届きそうな満天の星空だった。結露でテントがぐっしょり濡れて、下が粘土質のためにグランドシートは泥だらけになっていた。そのため片付けに手間取ったものの、何とか5時に出発できた。遅くなるとガスが出てくる恐れがあるので、なるべく早くと思っていたが、この日はガスの心配などする必要がないほどの快晴だった。北峰と南峰の双峰から360度の大展望を心ゆくまで楽しんだ。下りは紅葉の彩りに感嘆しながら歩いたが、いちいち目を止めていたら先に進めないほど見事なまでの紅葉だった。これほど広範囲に及ぶ色鮮やかな紅葉を目にしたのは初めてであり、今回の山行を忘れらないものにしてくれた。今年の目玉の一つであった妙高連峰は、山域全体が紅葉に色づく素晴らしい名峰だった。

 帰りは嵐山小川IC付近から多少渋滞していたが、4時間ほどの運転で帰宅できた。前夜はよく寝ることができたので睡魔に襲われることもなかった。遠方なので簡単には行けないが、いつかまた紅葉の時期に訪れたいと思う。

登山コースデータ
単純標高差 : 1,154 m
累積標高差 : +910 m / -1,705 m
コース距離 : 13.1 km
標準コースタイム : 8 時間
歩行データ
総歩行時間 : 8 時間
総行動時間 : 10 時間 50 分

 コースタイム

高谷池ヒュッテ 5:00 ⇒ 茶臼山 5:35 ⇒ 6:05 黒沢池ヒュッテ 6:20 ⇒ 大倉乗越 6:45 ⇒ 長助池分岐 7:15 ⇒ 8:25 妙高山 10:25 ⇒ 長助池分岐 11:20 ⇒ 12:05 大倉乗越 12:15 ⇒ 12:35 黒沢池ヒュッテ 12:55 ⇒ 富士見平分岐 14:00 ⇒ 14:45 十二曲 14:50 ⇒ 黒沢橋 15:10 ⇒ 笹ヶ峰P 15:50

3:00 高谷池ヒュッテ テント場

満天の星に晴れを確信。テント撤収とザックのパッキングに思いのほか手間取ってしまった。

5:00 高谷池ヒュッテを出発。他のハイカーも次ぎ次ぎに出発していた。

5:35 茶臼山を通過。山頂標のみで展望はなし。

茶臼山を越えると、妙高山と黒沢池が見えてきた。北東側には雲海が広がっていた。

5:50 ほぼ正面から朝日が昇ってきた。

周囲の紅葉が鮮明になって、いっきに世界がカラフルになった。

しばらく下ると大倉山の麓に黒沢池とヒュッテを確認。

6:05 黒沢池ヒュッテに到着。

テント場は小屋のすぐ前で、この日は4張りのみだった。

昨日同様、アタックザックに必要なものを詰めて、ザックを小屋近くの岩場にデポした。

6:20 黒沢池ヒュッテを出発。大倉乗越までは樹林帯の急登が続き、150m近く上り返す。

樹間に火打山が見えた。雲一つない快晴に、気持ちが自然と高揚した。

6:45 休んでいる団体を抜いて大倉乗越を通過。正面にお椀を逆さまにしたような妙高山の山容が現れた。

大倉乗越からは急なクサリ場が続く。

渋滞が起きそうな場所なので、大倉乗越で団体を追い抜いてよかった。

クサリ場が終わると、外輪山の東側斜面を横切るように進む。道が斜めに削られて崩落気味のところもあった。

外輪山の斜面と眼下の長助池(ちょうすけいけ)周辺は、綺麗に紅葉していた。

大岩の下をくぐって外輪山の巻き道が終わると、7:15 長助池分岐に着いた。

分岐から山頂までは標高差400m以上の急坂を一気に上る。空身でもキツい上りが延々続く。

大岩がゴロゴロしていて、歩幅を大きくとる必要が増えた。嫁が苦手とする筋力で上る急登が続く。

途中、木々の間から火打山が見えた。裾野に広がる雲が気になった。

昨日の火打山が頭にあり、是が非でもガスが出る前に山頂へ行きたかったので、ペースを上げて嫁を引っ張った。

山頂部の岩場が見えたところで、「もう先に行っていいよ」と嫁に言われたので、一気に飛ばした。

8:25 妙高山の北峰(2,445.9m)に到着。山頂は遮るもののない360度の絶景だった。

南峰の方にもハイカーの姿がちらほら見えたが、まだそれほど数は多くなかった。

外輪山の東側斜面は綺麗に紅葉しており、その向こうに火打山と焼山がみえた。

雲は雷菱まで来ていたが、しばらくは大丈夫そうに見えた。火打山の左肩は裏火打山。

西南西には北アルプスがずらりと並んでいた。御嶽山の煙が見えると話しているのを耳にしたが、確認できなかった。

左から剱岳、白馬鑓ヶ岳、杓子山、白馬岳、雪倉岳。

左から針ノ木岳、鹿島槍ヶ岳、五龍岳、五龍岳に重なるように立山、さらに別山、唐松岳、剱岳。

しばらくすると嫁も到着したので、まずは記念撮影。

空は雲ひとつない快晴。まさに最高の気分だった。

8:40 ひと通り写真を撮って眺めを楽しんでから、妙高山大神(将軍地蔵)が祀られた南峰(2,454m)へ移動した。三角点と山頂標のある北峰よりも、こちらの方が約8m標高が高い。

あまりに眺めがよいので、同じような写真を何枚も撮ってしまった。

火打山山頂の展望が得られなかったこともあり、妙高山の大展望は格別な喜びをもたらしてくれた。

南西方面の高妻山と乙妻山。その向こうは北アルプス南部。左から大滝山、蝶ヶ岳、常念岳、前穂高岳、奥穂高岳、槍ヶ岳と続く。御嶽山は北アルプスの後だが、蝶ヶ岳付近の上に出ているのが御嶽山の煙かもしれない。

南側には八ヶ岳と南アルプスが雲海に浮かんでいた。八ヶ岳は左から赤岳、阿弥陀岳、蓼科山。南アルプスは左に鳳凰三山、間をおいて甲斐駒ヶ岳、北岳、間ノ岳、仙丈ヶ岳と並ぶ。

同じく南側、南アルプスと北アルプスの間。中央アルプス(左)と鉢盛山の頭が見える。

南峰から眺めた北峰側。山頂の展望をしみじみと静かに楽しむ方もいれば、テンション高くおしゃべりが止まらない方もいて、皆それぞれに山頂での時間を楽しんでいるようだった。

時間とともに南峰もハイカーが増えてきたが、山頂が広いので休憩場所には事欠かない。

岩に埋められたレリーフ。どちらも観音様のようだ。

北東側は波打つような雲海が広がっていた。

9:30 再び北峰に戻ってきた。人の減ったタイミングを見計らって、北峰の山頂標で記念撮影。

北峰からみた南峰側。山頂の眺めを満喫してからおにぎりも食べて、もう下りてもよいところだったが、気持ちがよいのでもうしばらく山頂に滞在することにした。

南東方面。左から御飯岳(おめしだけ)、土鍋山、中央に四阿山(手前)と浅間山(奥)が重なっていて、浅間山の右には黒斑山、篭ノ登山、湯ノ丸山と続く。時間とともに雲海が消えてゆき、信濃町の町並みが見えるようになってきた。

東南東方面。左に烏帽子岳と岩菅山、真ん中右は横手山と草津白根山、右端は御飯岳。

10時を過ぎると南東側の雲海がほとんどなくなって、野尻湖がはっきり見えるようになった。

東側の雲海もかなり少なくなってきた。

北東側の雲海もみるみる消えて、日本海側に広がる町並みが見えるようになった。下山を遅らせてよかった。

南側には富士山のシルエットも幽かに見えた。

北峰山頂のすぐ下にあった洞窟には小さな祠があった。

10:25 山頂での滞在を満喫して下山を開始した。

下りは圧倒的な紅葉に、ただもう感嘆しながら歩いた。

どちらを向いても素晴らしい紅葉。

朝の上りと同じルートなのに、日差しを受けた紅葉が鮮やかに輝いて、別世界を歩いているようだった。

下ってゆくのが惜しいほどの見事な紅葉が続いた。

数m下っては写真を撮るという繰り返しで忙しかった。

紅葉のトンネルを歩いているような場所が何カ所もあって、木洩れ日も淡く色づいているように見えた。

これほどの紅葉を見られるとは思ってもみなかった。有り難いと感謝の気持ちが湧いてきた。

神々しいまでの艶やかさ。これはもう神様の住まう山と言ってよいでしょう。

陽光を受けたナナカマドの赤が鮮烈で、それ自体が強い光を発しているように見えた。

紅葉を眺めて足元がおろそかにならないように気をつけた。

紅葉のおかげで長い急坂もあっという間に感じた。

平坦な道となり、11:20 長助池分岐を通過。

下から仰ぎ見た妙高山。忘れがたい紅葉の連続だった。

外輪山の巻き道に出ると、遠景と近景それぞれに見事な紅葉を楽しめた。

紅葉を撮りながら歩くので、下山するハイカーに次ぎ次ぎと抜かれた。

今回の山行で撮った写真は1,500枚を超えていて、後から確認するだけでも大変だった。

すり鉢状になった外輪山(大倉山)と長助池周辺の紅葉。

長助池に人影があり、テントも1張りあるように見えた。下から見る紅葉も見事なものだっただろう。

外輪山の巻き道からみた妙高山。ずっしりとした量感のある均整のとれた山容は、越後富士の名にふさわしい。

山道は削れて斜めになっているのでよそ見をするのは危険だが、つい周囲の景観美に目が行ってしまう。

巻き道が終わるとクサリ場の急登。

一定間隔を維持して上って行く。

大倉乗越までの急登は短く感じた。

12:05 大倉乗越に到着。

大倉乗越の端から大倉山と長助池を一緒に望めるのだが、何度も写真を撮る直すおじさんハイカーがその場を占領し続けていた。まあいいかと先へ進もうとした矢先に下りていったので、戻って写真を撮った。

キャパシティのある広々とした山頂と大展望、そして神々しい紅葉の美しさ。今回の山行で妙高山の大ファンになった。

ここでも記念撮影。

12:15 大倉乗越を出発。

昼過ぎになって、火打山方面はガスが出てきた。

黒沢池ヒュッテの手前も鮮やかな紅葉が広がっていた。

12:35 黒沢池ヒュッテに到着。テーブルベンチでデポしたザックをパッキングし直した。

ヒュッテ前から眺めた黒沢岳方面。

ヒュッテ近くの岩場にデポされたザックがたくさん並んでいた。

12:55 黒沢池ヒュッテを出発。飲料水が減った分だけザックは軽くなっているはずだが、やはり重たかった。

振り返って黒沢池ヒュッテを眺める。カラフルな紅葉の中にたたずむ青い八角形のドーム屋根が印象的だった。

美しい紅葉はまだ続く。

数分歩いて樹林帯を抜けると、またもや素晴らしい景色が広がっていた。

笹原と草紅葉に覆われた広大な黒沢湿原の真ん中に木道がひかれ、左右には黒沢岳と妙高外輪山の彩色豊かな紅葉が屏風のように広がっていた。

黒沢岳側の眺め。青空の下で紅葉に囲まれた高層湿原を歩く心地よさには格別のものがあった。

妙高外輪山側の眺め。多彩な魅力を持つ妙高の豊かさに改めて驚かされた。

黒沢の源流と思われる細い水流を渡る。

再び樹林帯に入る。まだまだ紅葉は続く。

黒沢池ヒュッテから1時間もしないうちにザックの重さがこたえてきて、昨日からの疲れを一気に感じた。

14:00 富士見平分岐に到着。ここから下山するハイカーの姿がぐっと増えた。

分岐からはほとんど木道歩きとなる。

岩ゴロの急坂も数ヵ所通過。

14:45 十二曲に到着。小休止してから先へ進んだ。

ある程度間隔を空けて歩いていたのに中高年の団体に先を譲られてしまった。後ろに付かれるのはこちらも嫌なのだが…。

だらだら歩くと余計に疲れるので、途中から気合いを入れ直して歩くことに集中した。

15:10 黒沢橋に到着。ここまで来れば笹ヶ峰まであと1時間弱なので、そのまま先へ進んだ。

頑張って木道を歩くも、追いついてきたハイカーに何度も抜かされた。健脚が多い。#

かなり足にきていたので、登山口の門が見えたときは嬉しかった。

15:50 笹ヶ峰に到着。秋の妙高連峰・1泊2日のテント泊山行は、格別に素晴らしいものとなった。