2013年9月21日 土曜日

御嶽山

3,067 m

 0時20分起床、0時45分出発。圏央道ではなく関越道方面へと間違って車を走らせ、出鼻に10分ほど時間をロスしたが、その後は順調に進んで中の湯には4時50分に到着した。山は朝から快晴で、山頂(剣ヶ峰)からはもちろん、森林限界を超えた山道や稜線からの眺めを終日楽しむことができた。東西1km、南北4kmにも及ぶ御嶽山の山頂部は広大で、4つの峰と5つの火口湖、地獄谷に火口原と、登山道からの眺めは変化に富んでいた。飛騨山脈最南端の独立峰として同定しやすく、どこから眺めても美しい山だが、歩いてもひじょうに楽しい山だった。当初は継子岳にも登るつもりでいたが、そうすると日没までに下山できそうもなかったので、五ノ池から三ノ池へショートカットした。それでも行動時間の長さからか、予想以上に消耗してしまい、女人堂からの下りは体力的にキツかった。

 帰りは「せせらぎの四季」に寄って温泉につかり、24時を過ぎてから高速を降りるように、パーキングで1時間半ほど時間調整して帰宅した。長い1日となって体力的には限界に近かったが、これ以上ない大満足の山行となった。

登山コースデータ
単純標高差 : 1,257 m
累積標高差 : 1,525 m
コース距離 : 14.6 km
標準コースタイム : 10 時間 10 分
歩行データ
総歩行時間 : 9 時間 45 分
総行動時間 : 11 時間 25 分

 コースタイム

中の湯駐車場 5:20 ⇒ 7:10 女人堂 7:20 ⇒ 8:45 覚明堂 8:50 ⇒ 9:25 御嶽山(剣ヶ峰) 9:50 ⇒ 11:00 二ノ池本館 11:05 ⇒ 11:10 サイノ河原手前 11:25 ⇒ サイノ河原避難小屋 11:50 ⇒ 摩利支天乗越 12:05 ⇒ 12:25 摩利支天山 12:35 ⇒ 12:50 摩利支天乗越 13:10 ⇒ 13:35 五ノ池小屋 13:40 ⇒ 三ノ池避難小屋 14:15 ⇒ 15:25 女人堂 15:30 ⇒ 中の湯駐車場 16:45

4:50 中の湯 無料駐車場

林道走りが長くて、駐車場に着いたときはホッとした。

5:20 登山スタート。よく踏まれて年季の入った木道が延々と続く。手入れもよく、さすが日本を代表する信仰の山だと感じた。

5:45 樹林の間から朝陽が見えた。

山道の真ん中にひっそりたたずんでいたカエル。寒いからか、動きが鈍かった。

6:05 閉鎖中の八海山支店を通過。裏には小さな祠と釣鐘があった。

ロープウェイ乗り場の分岐を過ぎて、6:15 七合目に当たる行場(ぎょうば)山荘に到着。

山荘と向かい合うように建つ神霊場の覚明社。黒沢口からの軽精進による登拝を可能にした、中興開山の覚明(かくめい)行者を祀っている。

オオシラビソやコメツガの樹林帯から明るいハイマツ帯へ入ると、八合目はすぐ。

7:10 八合目の女人堂(金剛堂)に到着。

綺麗な有料トイレを借りて、ベンチで休憩した。

北側の眺め。標高2,480mの女人堂まで来ると、森林限界を超えて眺めがよくなる。左に乗鞍岳や奥穂高などの北アルプス。真ん中は鎌ヶ峰で、その右は鉢盛山。

西側にはこれから向かう御嶽山の山頂部。女人堂の直ぐ上には阿波ケ岳霊神場があり、「西国開基」と記された鳥居と「西開霊神」「西覚霊神」の像がある。鳥居の前に建つと霊神碑の背後に御嶽山の山頂が見えるようになっている。

7:20 女人堂を出発。山道脇に様々な霊神碑が乱立していた。

ハイマツ帯を抜けて刀利天の鳥居をくぐると、ますます眺望がよくなる。

明治不動の釣鐘をひかえめに鳴らして先へ進む。

黒い火山岩が転がるザレた道を上る。背後の眺めが素晴らしいので、何度も振り返った。

上に九合目付近の石室山荘と覚明堂が見えてきた。紅葉にはまだ数週間早いが、ナナカマドが色づき始めていた。

黒岩と呼ばれる眺めのよい台地を過ぎると、傾斜が増してくる。嫁は苦手な岩ゴロの急登にペースダウンしたが、紺碧の空と大展望にテンションの上がっていた私は、どんどん上った。

8:30 石室山荘に到着。

山頂への道は山荘の中に続いており、ここを含む黒沢口登山道は県道になっている。

岩ゴロの急登を進み、九合目を通過。上で登山客にルートの説明をする男性の大きな声が聞こえていた。

8:45 覚明堂に到着。

大きな声の主である小屋番の男性が出てきて、元気よく話しかけられた。

覚明堂は二ノ池で入定した覚明の埋葬地であり、多くの石碑や石像が並んでいた。

稜線に出ると風が強くなった。前方に福仙菩薩像と御嶽山頂山荘を見ながら進む。

途中、二ノ池へ向かう道と八丁ダルミへ通じる道が合わさる十字路を通過。

山頂直下のザレ場を上る。降りてくるハイカーと何組がすれ違ったが、登ってくるハイカーはまだ少ないようだった。

御嶽山頂山荘に到着。

山荘の間を通って、山頂へ続く石段へ進む。

9:25 違和感を覚えるほど真新しく立派な石段を上って山頂(剣ヶ峰)に到着。

剣ヶ峰(3,067m)の山頂標と記念撮影。素晴らしい登山日和で、気分は最高だった。

山頂には御嶽神社頂上奥社本宮がある。

山頂直下の北西側には、水の涸れた一ノ池と外輪山。お鉢の周囲は1km以上ありそうだ。

北側の眺め。二ノ池の向こうに摩利支天山と継子岳、その奥には乗鞍岳と北アルプスの山並み。

左から薬師岳、笠ヶ岳、剱岳、立山、水晶岳、野口五郎岳、真ん中に乗鞍岳、さらに槍ヶ岳、奥穂高岳、前穂高岳と続き、右端に常念岳。手前は継子岳と継子二峰。

東側の眺め。左から鉢盛山、浅間山、八ヶ岳、金峰山、右端には甲斐駒ケ岳も見える。

左の鉢盛山の上には、うっすら四阿山が見える。真ん中奥には浅間山。

八ヶ岳のアップ。左から蓼科山、北横岳、縞枯山、真ん中あたりに天狗岳、さらに硫黄岳、横岳、赤岳と続き、右端に権現岳と編笠山。八ヶ岳の右にはうっすらと金峰山が見える。編笠山の手前は経ヶ岳。

東南東方面。中央アルプスと南アルプスが重なるように並び、その奥には富士山も見えた。見えるべき山はすべて見えている感じで、ただもう嬉しかった。

奥には左から甲斐駒ケ岳、アサヨ峰、仙丈ケ岳、北岳と続き、間ノ岳と西農鳥岳の頭がかろうじてのぞく。ほぼ真ん中に富士山で、右隣が塩見岳、右には悪沢岳、荒川岳、赤石岳、聖岳と並ぶ。間ノ岳の手前は木曾駒ヶ岳と宝剣岳、塩見岳と悪沢岳の間が空木岳で荒川岳の前が南駒ヶ岳。

南側の眺め。中央奥には恵那山。その右手前は奥三界岳。眼下の稜線上には王滝頂上山荘も見える。

写真を撮っているうちに、どんどんハイカーの数が増えて、山頂は混み合ってきた。

9:50 御嶽神社奥社の南側から裏に回って、一ノ池のお鉢巡りへ出発。最初は急な下りだった。

しばらく進むと地獄谷がよく見えるようになる。硫黄臭は漂っていたが、爆裂火口から噴煙が上がっている様子はなかった。

荒涼とした周囲の景色を眺めながらゆっくり歩いた。

背後の剣ヶ峰が遠くなっていく。

下りの後は上り返し。

剣ヶ峰から先は比較的静かな山歩きが続いた。振り返って剣ヶ峰からのルートを眺めると、鞍部から一ノ池へ下って、なだらかな火口を歩くことも出来そうに見えた。

お鉢の周りは36童子巡りの道になっている。

○○童子と彫られた石碑が次々に現れる。

外輪尾根の上に出ると、眺めのよい稜線歩きとなる。

西側には鋭くそびえる継母岳。遠くには白山も見えた。麓から継母岳へ登り詰める登山道は、昭和59年の長野西部地震で消滅したらしいが、こちらからは往復できそうに見えた。

白山のアップ。日本三霊山の一つなのでいつか登ってみたいが、かなり遠そうだ。

大きな火山岩がゴロゴロする外輪尾根を進む。稜線を吹き抜ける風を避けて、岩陰でのんびり休むハイカーをちらほら見かけた。

どの方角も展望がよいので自然と足が止まる。先はまだ長いと分かっていたが、なかなか前には進めなかった。

外輪尾根西側から東の剣ヶ峰を眺める。水の涸れた一ノ池は月のクレーターを思わせた。

歩いてきた外輪尾根(火口壁)。

外輪尾根が下りに入るとお鉢巡りも終盤。童子巡りの終点から尾根の反対側へ下る。

サイノ河原を眼下に見ながら、北側へ下る。

中央は二ノ池新館で、背後に摩利支天乗越、継子岳、継子二峰、アルマヤ天と外輪山が並ぶ。右には二ノ池と二ノ池本館。継子岳も回るには時間が押していると気付いていたが、心地よい景観の広がりに、足を速めることはできなかった。

絵具を混ぜ合わせたようなターコイズブルーの二ノ池が、標高3,000mの広大な景色と調和していた。テンションがますます上がり、視覚によるポジティブな影響が、物理的なレベルで心身に及んでいると感じた。

二ノ池本館と新館との分岐でどちらに進むか迷ったが、本館まわりでサイノ河原へ進むことにした。

11:00 日本一の高地(標高2,905m)にある二ノ池に到着。神秘的で美しい。

池畔に敷かれた黒いチューブが目についた。二ノ池本館へ水を送っているようだが、もう少し目立たないようにできないものか。

二ノ池本館。

池畔には雪渓が残っていた。

休憩もそこそこにサイノ河原ヘ向かう。

11:10 シャリバテ気味だったので、途中の適当な岩に腰かけて食事にした。おにぎりが美味しかった。

11:25 食べ終えてすぐに再スタート。前方に摩利支天山を眺めながら、石を積み上げた無数の仏塔が点在するサイノ河原を進む。サイノ河原は摩利支天山の火口原といわれている。

サイノ河原を過ぎて少し上ると、避難小屋が近づいてくる。いつの間にか周囲にガスが出始めていた。

11:50 サイノ河原避難小屋に到着。

サイノ河原避難小屋。

すぐそばには白竜教会の社があった。

避難小屋まで上がると、北側の三ノ池と継子岳が見える。改めて御嶽山山頂部の広さを実感した。

三ノ池へ下る三叉路を通過して、摩利支天乗越へ向かう。疲れも出てきて、遠く感じた。

12:05 摩利支天乗越に到着。

ザックをデポして、摩利支天山へ向かった。#

摩利支天乗越から眺めた継子岳方面。ちょうどガスがかかって山頂部は見えなかった。

展望台は後回しにして摩利支天山の山頂へ向かう。

山道は稜線の南側につけられていた。

12:25 摩利支天山(2959.2m)に到着。

岩稜の狭い山頂から、剣ヶ峰と火口原が一望できた。

10分ほど眺めを楽しんで、後からきたカップルと入れ替わるようにして山頂を後にした。

復路は若干下りになるので、すいすい進んだ。

摩利支天乗越の手前にある展望台でも眺めを楽しんだ。こちらの方が山頂より広くてのんびりできる。

西側、摩利支天山の山頂方面。左に見えるのは継母岳。

展望台から見た剣ヶ峰と一ノ池の外輪尾根。眼下にはサイノ河原が広がる。

13:10 五ノ池小屋(飛騨頂上)へ下る。

時間を計算して、継子岳はカットすることに決めた。

歩いているうちにガスが切れて、継子岳が見えてきた。

しばらく下って振り返ると、西側斜面が見事な直線を描いていて、摩利支天乗越がピラミダルに見えた。

五ノ池と継子岳を眺めながら、さらに下る。

東側には三ノ池と外輪尾根。三ノ池は御嶽山最大の池で、その水深は13mといわれる。池畔には神々が祀られて、湖水は信者の御神水とされている。

白っぽい青磁色の五ノ池に五ノ池小屋が映っていた。継子岳と継子二峰をつなぐなだからな稜線を眺めていると、下山が日没後になっても歩いてみたいという思いが、たびたび頭をよぎった。

13:35 五ノ池小屋のある飛騨頂上(2,800m)に到着。頂上とは各登山ルートの頂という意味らしい。

残雪期と降水後にだけ水をたたえる五ノ池。この日はしっかり水が溜まっていた。

継子岳への未練は捨てがたかったが、時間を再度計算してみると、17時前の下山を目指すなら、継子岳を除いたとしても、もう時間的猶予はないと判明した。13:40 素直に三ノ池外輪尾根へ向かう。

北側の継子岳と継子二峰。手前は高層湿原の四ノ池で、複数の小川が流れて高山植物の群生地となっている。

右手に三ノ池を見ながら、解放感抜群の外輪尾根を歩く。下山時間を気にしつつ、何度も足を止めた。

外輪尾根から三ノ池避難小屋のある開田頂上へ下る。途中で中高年の大所帯とすれ違った。

外輪尾根から眺めた東側。左から木曾駒ヶ岳、宝剣岳、三沢岳、熊沢岳、空木岳、南駒ヶ岳と中央アルプスの峰々がずらりと並ぶ。南駒ヶ岳の右は南アルプスの赤石岳と聖岳。

外輪尾根を歩いて三ノ池の南側に来ると、池の向こうに継子岳と継子二峰が見えてきた。

14:15 三ノ池避難小屋に到着。ここから中の湯までのコースタイムは2時間45分。持ち時間がなくなった。

三ノ池避難小屋から女人堂まで三ノ池道を下る。立ち止まることなく、せっせと歩いた。

途中、危ない感じのする桟橋を通過。山道脇にアザミが多くて、何度かちくちく刺された。

ロープのかかった沢を渡る。ロープを使わなくても渡れたが、増水時は大変なのかも。

短い雪渓を通過。踏み跡がしっかりあるのでアイゼンは必要ないが、滑ったらただでは済まない。

雪渓の後は上り返し。嫁のペースが速いと感じていたが、どうやら後ろのハイカーに追いつかれたくなかったらしい。

再び桟橋を上る。

見た目ほど危険な場所でないが、疲れもあるので気をつけて進んだ。

背後の北側にアルマヤ天(左)と雲のかかった継子二峰が見えた。真ん中のくぼんだ付近が開田頂上だろうか。

女人堂が見えたときは、近づいてきた嬉しさと、まだ距離があるという残念さと半々だった。

15:25 八合目の女人堂に到着。ベンチで小休止。行動食のナッツがえらく美味しかった。

15:30 御嶽山に別れを告げて下山開始。ここからは樹林帯に入るので、ひたすら歩くのみ。

木と石で整備された山道をひたすら下る。足の裏に痛みが出てきて難儀した。

16:05 七合目の行場山荘を通過。このあたりはもうへとへとになっていた。

行場山荘は開いていた。

16:15 八海山支店を通過。嫁のペースが落ちないので、一生懸命についていった。

16:45 ついに中の湯駐車場に到着。最後は両足がガクガクだった。頑張った甲斐あって、明るいうちに温泉「せせらぎの四季」にたどり着けた。

高速代を深夜割にするため、帰りは狭山PAで時間調整。嫁は疲れて寝ていたが、何故か私は最後まで眠くならなかった。帰宅は24時20分。お疲れ様でした。