2013年10月13日 日曜日
白峰三山テント泊登山 2日目
間ノ岳・農鳥岳
3,190 m 3,026 m

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コースタイム
北岳山荘 4:25 ⇒ 5:05 中白根山 5:25 ⇒ 6:40 間ノ岳 7:05 ⇒ 農鳥小屋 8:05 ⇒ 8:55 西農鳥岳 9:00 ⇒ 9:40 農鳥岳 10:05 ⇒ 10:45 西農鳥岳 10:55 ⇒ 11:30 農鳥小屋 11:45 ⇒ (途中5分休憩) ⇒ 13:20 間ノ岳 13:35 ⇒ 中白根山 14:25 ⇒ 北岳山荘 14:55
3:00 起床 北岳山荘テント場
テントの外に寝転がって、30分ほど夜空を眺める。眼が慣れると細かい星まで見えてきて、空を埋め尽くす圧倒的な数の星が視覚を超えて感覚的に迫ってくる。そのうち身体は冷え切って、ほとんど忘我の状態に至るが、音もなく現れては消えてゆく流れ星にハッとして、そのつど意識的な想念や感情に引き戻される。何でもないが、一種特別な時間であった。 いったんテントに入って寝袋やマットをしまい、ヘッドライトの明かりでテントを撤収。4時過ぎにはザックを山荘にデポした。山荘内は出発準備のハイカーでごったがえしており、ザックをデポしておく場所には不安を覚えるほど多くのザックがずらりと並んでいた。

4:25 テント場を出発。5:05 中白根山に到着してしばらく日の出を待つが、この時は日の出時間を勘違いしていることに気づいていなかった。

太陽は雲の中だと勘違いしたまま、間ノ岳へ向かう。稜線上は朝から強風が吹き抜けていた。

5:50 前を行くハイカーが走って稜線に出たので目で追うと、ちょうど朝日が上ってくるところだった。

雲海に浮かぶ富士山。

歩いて来た北側の稜線を眺めると、中白根山と北岳が陽光に染まっていた。

用意していたメモを見ると、「日の出 5:50」との記述あり。何故か、日の出は 5:15 と勘違いしていた。後ろは仙丈ケ岳と中白根山。

しばらく眺めを楽しんでから間ノ岳へ向かった。

間ノ岳で日の出を迎えたハイカーも多かったようで、数名のハイカーとすれ違った。

朝陽を浴びながら歩くのは気持ちがよい。世界が美しく見える。

6:40 間ノ岳山頂に到着。強風に吹かれて、鼻水が止まらなかった。

南方向。左に農鳥岳と西農鳥岳。西農鳥岳の奥には笊ヶ岳と布引山、青雉山と並び、真ん中から右へ悪沢岳、赤石岳、塩見岳と南アルプス南部の山峰が連なる。

西側には中央アルプス。左端は恵那山、真ん中付近に南駒ヶ岳と空木岳、木曾駒ヶ岳の上には御嶽山の山頂部が重なって見える。

北方面。左から仙丈ケ岳、甲斐駒ケ岳、北岳。北岳の背後は八ヶ岳。

仙丈ヶ岳の奥には北アルプスがずらりと並ぶ。左は穂高連峰と槍ヶ岳、真ん中くらいに立山・剱岳、右には鹿島槍ヶ岳や五竜岳、白馬三山などが並ぶ。

北東方面の眺め。手前に弘法小屋尾根と池山吊尾根。その奥に高嶺と鳳凰三山が並び、一番奥、高嶺の上に御座山、観音岳の上には小川山、薬師岳の右上には金峰山や国師ヶ岳などが連なる。

順番を待って記念撮影。朝の間ノ岳はハイカーで大賑わいだった。

しばらくしてから広い山頂の東側に移動した。

山頂の東側に農鳥岳へ向こう道が続いている。眺めを十分楽しんで、7:05 農鳥岳方面へ出発した。

間ノ岳から農鳥小屋まで一気に400m下る。帰りの上り返しが心配になるほど下りが続いた。

風がますます吹き荒れて、立ち止まって突風が止むのを待つことも度々だった。

嫁は耳あてと帽子をいっぺんに吹き飛ばされたが、ハイマツにひっかかって拾うことができた。

下っても下ってもなかなか農取小屋が近づいてこない。風が強いこともあって時間が長く感じられた。

鞍部まで降りてきたが、風がとにかく凄まじい。農鳥小屋から先へ行けるか不安を覚えるくらいだった。

8:05 農鳥小屋に到着。

振り返ると間ノ岳が大きかった。北側より農鳥側から見た方が、その巨大さを実感できる。

先行するハイカーが皆、強風をものともせず西農鳥岳へ上って行くので、我々も後に続いた。

西農鳥岳までは約250mの上り返しとなる。

強風にあおられながら、忍耐強く進む。周囲の絶景を楽しむような余裕はなかった。

突風がくると、ザックに当たる風の力で身体が回りそうになる。足場が悪ければ、かなり危険だっただろう。

風が止むと陽射しの暖かさを感じるが、風が吹くと体感温度が一気に下がる。

稜線まで上がると、赤石岳や塩見岳など、南アルプスの南部が見えた。

西農鳥岳に登山者の姿が見えた。右は富士山で、その手前が農鳥岳。

8:55 西農鳥岳(3,050m)に到着。目印はないと聞いていたが、真新しい山頂標が据えられていた。

5分ほど休んで、そのまま農鳥岳へ向かった。

岩頭がいくつかあるが、すべて西側を巻いて進む。農鳥岳までは短い上り下りがあるだけだった。

ルート上から南アルプスの雄大な眺めが広がる。強風に大苦戦してきたが、ここまで来てやっと気持ちが高揚してきた。

途中、ルートが分かりづらい岩場を通る。

いよいよ農鳥岳山頂が近づいていた。

山頂に数名の登山者が見えた。

9:40 農鳥岳(3,025.9m)に到着。

10時半までにと思っていたが、予定よりも早く着いた。

風を避けて、富士山が見える岩場の陰で休憩。少し硬くなったおにぎりを食べた。

東南東の眺め。富士山の右手前は毛無山。さらに左手前は櫛形山。

北方面。左から間ノ岳、北岳、八ヶ岳、鳳凰三山。

八ヶ岳のアップ。左から蓼科山、北横岳、間があいて、真ん中やや右に天狗岳、阿弥陀岳、赤岳と続く。

北西方面には西農鳥岳。その背後には中央アルプスが並ぶ。

南側には大門沢下降点へ向かうルートがあり、広河内岳から黒河内岳へと続く尾根がのびる。その奥には笊ヶ岳と布引山、青雉山などが見える。

10:05 農鳥岳を出発。来た道を戻ります。

蓄積された疲れで、ちょっとした上り返しもきつく感じた。

背後の農鳥岳と富士山。テーブルに乗せたように富士山が見える。

西農鳥岳までに数組の登山者とすれ違った。

10:45 西農鳥岳に到着。居合わせた登山者に写真をお願いした。

西農鳥岳から間ノ岳をのぞむ。農取小屋まで250m下って、400m上り返す。

10分ほど休憩して出発。風は依然として強いものの、早朝よりは弱まっていた。

山頂稜線から下りにかかる。どちらを見ても素晴らしい展望が広がっていた。

前方に間ノ岳の山塊を見ながら下って行く。風がいくぶん緩くなったので、眺めを楽しむ余裕ができてきた。

間ノ岳までの復路は、ハイカーの姿が少なかった。荷物が少ないこともあって、下りは楽に進む。

西側の中央アルプス。陽が高くなり、くっきり見えるようになってきた。

農取小屋の赤屋根を眼下に見ながらどんどん下る。

鞍部まで下りてきた。

11:30 農取小屋に到着。小屋の近くで行動食を食べて、間ノ岳への上り返しに備えた。

富士山を眺めながらしばし休憩。

農取小屋の主人が3匹の立派な甲斐犬を連れて散歩に出て行った。

15分ほど休憩して、間ノ岳へ向かった。

壁のように立ちはだかる間ノ岳の上りにかかる。

ゆっくり一定のペースで着実に上る。嫁が休まず上り続けるので、必死に付いて行った。

傾斜がゆるくなった場所で小休止。

この日は富士山が終日見えていた。

いつしか農取小屋が遠のき、農鳥岳を見下ろす位置まで来たが、上りはまだまだ続く。

だだっ広いガレ場をひたすら上って行く。下から見えていたピークの先にもう一つピークがある感じで、なかなか山頂に着かなかった。

傾斜がゆるやかになり、山頂が近づいてきた。

13:20 間ノ岳山頂に到着。午後になっても山頂はハイカーで賑わっていた。

再び記念撮影。後で見ると看板を逆さまに持っていた。気づかないほど疲れていたようだ。

早朝は逆光ぎみだったが、山頂からは富士山がきれいに見えていた。

これから向かう北側の眺め。仙丈ケ岳、甲斐駒ケ岳、北岳と南アルプスの名峰がずらりと並ぶ。

13:35 間ノ岳を出発。この時点で15時台に山荘に着ける目途が立ち、一安心した。

意外とアップダウンのある稜線だが、どこも抜群の展望が広がっていた。

やはり上りがつらい。いつの間にか腰が痛くなっていた。

仙丈ケ岳と甲斐駒ケ岳の間に中白根山、右に北岳。風が弱まり、3,000m級の稜線歩きを満喫した。

途中からトイレに行きたくなり、腰痛との二重苦となった。

先へ急ぎたいけど、素晴らしい眺めに写真も撮りたいと、気が気じゃない想いで歩き続けた。

やっと中白根山が近づいてきたが、便意と腰痛は増すばかりで、いろんな意味で大変だった。

14:25 中白根山を通過。

南側を振り返り、間ノ岳へ至る稜線を一望する。

前方は仙丈ヶ岳と甲斐駒ケ岳。

中白根山から北岳山荘まで一気に下った。

14:55 北岳山荘に到着。テン場の空きを確保して、すぐトイレへ。危機は回避された。

テント設営後は、嫁が片付けを進める傍らで横になっていた。過去にない腰痛で、明日のことが心配になった。

17時過ぎに、日の入りを眺めようと稜線に出た。稜線から眺めた大盛況のテント場。

北岳が夕陽に照らされていた。

中央アルプスに沈んでゆく太陽。薄雲がかかっていたので、普通に映すことができた。

17:20 日の入り。最後は速度を増したかのようにすっと消えた。

日没を見た後、テントに戻ってアルファ米とレトルトカレーの夕食にした。ずっと洟を垂らしていたせいで、鼻の下がひりひりと痛かった。
食後は歯を磨いて横になったが、胃のもたれと防寒し過ぎの暑さに腰痛も加わってなかなか寝られず、一晩中寝たり起きたりの繰り返しだった。とても長い夜になった。
3時に起床、しばらく星空を眺めてからテントの撤収を開始した。私のザックに持ち運ばないテントやクッカーなどを詰めて山荘にデポし、嫁のザックとサブザックに必要なものだけ入れて農鳥岳ピストンへ出かけた。日の出の時間を勘違いしていたが、間ノ岳へ向かう稜線上から日の出を眺めることができた。稜線上は朝から強風が吹き荒れており、特に間ノ岳・西農鳥岳間では突風に身体があおられることも度々あった。先行するハイカーがそのまま進んでいたので後に続いたが、誰もいなかったら引き返す判断をしていたかもしれない。時間的な余裕もなかったので、体力的にはきびしい山行となったが、終日抜けるような快晴で、3,000m級の稜線から素晴らしい眺めを存分に楽しめた。
北岳山荘へ戻った時にはすでに多くのテントが設営されていたが、この日も比較的よい幕営地を確保できた。テント設営後は疲れてしばらく動けなかったが、テント撤収-行動-設営のサイクルを経験して、テント泊でのロング縦走を具体的にイメージできるようになった。この日も早めに横になったが、胃もたれや腰痛のせいで寝苦しく長い夜となった。