2018年7月15日 日曜日
白馬岳テント泊登山 2日目
白馬岳
2,932 m

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コースタイム
白馬大池キャンプ場 3:45 ⇒ 4:10 雷鳥坂の途中 4:50 ⇒ 5:10 船越ノ頭 5:25 ⇒ 6:30 小蓮華山 6:35 ⇒ 三国境 7:30 ⇒ 8:25 白馬岳 9:25 ⇒ 9:35 白馬山荘 10:45 ⇒ 11:10 白馬岳 12:15 ⇒ 三国境 13:55 - (ライチョウ観察10分) ⇒ 15:10 小蓮華山 15:30 ⇒ 船越ノ頭 16:30 ⇒ 白馬大池キャンプ場 17:05
1:00 星空観察
テントの前に広げた敷物に仰向けとなり、満天の夜空を眺めた。天空を横切る流れ星に心の歓声を上げ、ひとつの星も見逃さないように視線を巡らせる。無限の小さな輝きに包まれて、意識は夜の中に溶け込み、いつしか自分という存在が消えていく。静謐で心満たされるひと時だった。もう少し寝ておいた方がよいと思い、2時頃テント内に戻ったが、その後は一睡もできなかった。無呼吸症候群と思われる登山者のいびきがあまりに苦し気で、思わず聞き入ってしまった。

3時頃には出発の準備をし始める人が出てきて周囲が騒がしくなってきたので、嫁を起こして身支度を整えた。

3:45 予定よりも早くテント場を出発。白馬大池が眺められる場所までゆっくり上った。

4:10 フレームに他の登山者が入らない場所で日の出を待った。本格的な一眼レフと三脚をかまえて日の出を待つ人の姿もあった。

日の出時刻は4時半頃のはずだが、地平線に雲が広がっていて時間になっても太陽は出てこなかった。

4時40分をまわって、雲の上に太陽が顔をのぞかせた。

何度経験しても日の出の光景は感慨深い。雷鳥坂で多くの登山者が日の出を眺めていた。

モルゲンロートに染まる小蓮華山(左)と雪倉岳(右)。素晴しい一日になるという予感にテンションが上がった。

4:50 登山再開。船越ノ頭へ向かう。

前日は身体が重くて遠く感じた船越ノ頭だが、この日はとても近くに感じた。
5:10 船越ノ頭

船越ノ頭に到着。小蓮華山へと向かう稜線上に、登山者の姿が点々と見えた。左に杓子岳と鑓ヶ岳が重なって見える。

早朝から雲ひとつない快晴で、遥か先まで遠望がきいた。鑓ヶ岳の奥には北アルプスの峰々が並び、南側には雲海が広がっていた。

北西側には雪倉岳、朝日岳、長栂山、五輪山、黒負山と続く稜線が一望できた。

5:25 小蓮華山へ向かう。朝方はけっこう風が強かった。

列になって登るツアー団体が朝から目についた。白馬大池も混んでいたが、白馬岳周辺はもっと混んでいると思われた。

開放感抜群の稜線歩きが続く。

ユウノシタ科のコウメバチソウ。ウメバチソウにそっくりだが、仮雄しべの数が7~11裂と少ない。(ウメバチソウは12~22裂)

ツツジ科のミネズオウ。図鑑で覚えた花と実物が一致しなかったが、後で調べてわかった。

しばらく上ると鑓ヶ岳の右に白馬岳が見えた。手前にはハクサンイチゲのお花畑。

フウロソウ科のハクサンフウロ。花弁がへたって元気のなさそうなものが多かったが、形のよいものを見つけた。

キク科のタカネヤハズハハコ。頭状花は淡いピンク色で、全体が白い綿毛に覆われている。別名タカネウスユキソウ。

タデ科のウラジロタデ。オンタデに似るが、葉裏が白っぽい。しかも白馬岳にはウラジロタデしか咲いていないらしい。

カヤツリグサ科のワタスゲ。初夏の尾瀬でよく見られるワタスゲが、ここでも見られた。

東側を振り向くと、雲海を歩いているような登山者の姿があった。小さなアップダウンが続いたが、眺めのよさと次々に現れる花の色どりで、まったく疲れを感じなかった。

キンポウゲ科のハクサンイチゲ。あちらこちらで大きな群生をなしていた。

バラ科のミヤマダイコンソウ。黄色い花で似たものは多いが、本種は円形の大きな葉ですぐ見分けがつく。

群生するミヤマダイコンソウの中に、ユキノシタ科のミヤマダイモンジソウが咲いていた。

船越ノ頭を出て1時間。やっと小蓮華山の山頂が近づいてきた。この辺りからすれ違う団体ハイカーの数も増えてきた。
6:30 小蓮華山

小蓮華山(2,766m)に到着。山頂には大きな鉄剣と石仏が安置されていた。

南側には(右から)白馬岳、鑓ヶ岳、鹿島槍ヶ岳と遠近法の手本のように三角の頂が並び、景観に壮大な奥行きを感じさせる。

西から北西側には、鉢ヶ岳から雪倉岳、朝日岳と続く稜線がのびる。その向こうには富山湾と日本海。

5分ほど山頂の眺めを楽しんで先へ進んだ。

白馬岳まで展望抜群の稜線歩きが延々続く。ルートは見た目よりも起伏があり、進むほどに周囲の景観がどんどん変わった。

ガレた道を緩やかに上る。

日本海側を眺めながら、小ピークの北側を巻くようにして進む。

ひと山越えて白馬岳が近づくと思ったら全然近づいていない。ピークを超えるごとに見えていなかった鞍部の奥行きが見えるようになるので、かえって遠くなったように錯覚するのだ。

稜線上はときおり突風のような強い風が吹き抜けていた。日差しは強烈で、サングラスなしでは眼が痛くなるような眩しさだった。

刻々と変わる前後左右の眺めが素晴らしく、何度も立ち止まって広大な展望を見渡した。

三国境の手前までくると、その先の小ピークが降りてくる団体ハイカーの行列で渋滞していた。

7:30 三国境に到着。北西側には鉢ヶ岳から雪倉岳、朝日岳へと続く稜線が一望でき、そちらへ向かう登山者もいた。

三国境の道標。

それほど疲れは感じていなかったので、そのまま先へ進んだ。

シロウマタンポポ。ミヤマタンポポの変種で、総苞の外片に小角突起がある事で区別する。確認はしていないが、シロウマタンポポということにしておく。

ナデシコ科のクモマミミナグサ。ミヤマミミナグサの変種で、花弁は中ほどで2つに分かれている。

ゴマノハグサ科のミヤマシオガマ。ヨツバシオガマやタカネシオガマに似るが、小葉が更に細かく切れ込んでいることで区別できる。

小ピークを超えるとまたひと山見えてきた。時間的にもう山頂が見えるはずだが、偽ピークが続く。

多くの登山者とすれ違いながらせっせと上る。

徐々に高度を上げて、鉢ヶ岳の先に朝日岳がよく見えるようになってきた。左側の富山湾方面にはうっすら黒部川も見えていた。

越えてきた小ピークの右に小蓮華山が見える。その奥は妙高連山。

小ピークの上、海の向こうには、遠く佐渡島が見えていた。

イワベンケイの雌株。雄株は黄色の花を咲かせる。

ツツジ科の常緑小低木、アカモノ。

いよいよ白馬岳の山頂が近づいてきた。山頂には大勢の人影が見えていた。
8:25 白馬岳

ついに白馬岳(2,932m)に到着。これ以上ないほどの快晴に遠望も利いて、最高の日に登頂することができた。

山頂標と方位盤の周りは登山者で大賑わい。皆さん登頂の喜びにあふれていた。

南側の眺め。眼下には白馬山荘、左は杓子岳と鑓ヶ岳、右には立山と剱岳。真ん中奥には奥穂高と槍ヶ岳、水晶岳や黒部五郎岳など、北アルプスの名峰がずらりと並ぶ。

日本最大の収容人数(800人)を誇る白馬山荘。その奥にはひとまわり小さい白馬岳頂上宿舎も見える。

左手前の斜めに切ったような斜面を持つのが杓子岳で、真ん中が鑓ヶ岳。その左上の双耳峰が鹿島槍ヶ岳で、双耳峰の間に見えるのが常念岳。鹿島槍ヶ岳の右には、大天井岳、前穂高岳、奥穂高岳、槍ヶ岳と名だたる名峰が並び、右端には乗鞍岳も見える。左奥の雲海に浮かぶのは中央アルプスの木曽駒ヶ岳。

南南西にそびえる立山と剱岳。立山の左には黒部五郎岳、剱岳の右には大日岳も見える。

西南西方面、大日岳の右奥には加賀の名峰・白山もくっきり見えていた。

南東側の眼下に広がる大雪渓。

目を凝らすと、大雪渓を上る登山者の列が小さく見えた。

西側には旭岳が大きい。その左奥には猫又山、釜谷山、毛勝山と並ぶ山塊、右には清水岳が見える。

北西側には朝日岳と雪倉岳。その奥には日本海が広がる。

北側には歩いてきた小蓮華山まで続く稜線が一望できる。

北東側の眺め。小蓮華山の右上には雨飾山、さらに焼山、火打山、妙高山と妙高連山が並び、地蔵山を挟んで乙妻山と高妻山。

東側。左の高妻山の右隣に見えるのが戸隠山。その上の雲海に浮かぶのは岩菅山で、右へ横手山と白根山、四阿山と続く。右端には浅間山も頭をのぞかせている。

南東の雲海上には八ヶ岳と富士山まで見えた。富士山の手前の棚のような山は美ヶ原高原。左端は金峰山と朝日岳。

南南東の雲海上には南アルプスがずらりと並んでいた。左から鳳凰三山、甲斐駒ヶ岳、北岳、間ノ岳と仙丈ケ岳、間を少しおいて塩見岳、荒川岳、中岳と前岳、赤石岳、聖岳。気温の高い日が続いていたので、ここまで遠望が利くとは思わなかった。

時間はたっぷりあったので、山頂で眺めを楽しみながらのんびり過ごした。

強風に汗が冷えてきたのでストームクルーザーを着用。少々の風はあったが、最高のコンディションと言えた。

登山者が減った瞬間を見計らって記念撮影。

一番高いところにあった山頂方位盤。これを見ながら山座同定するのもまた楽し。

9:25 山頂の眺めを1時間楽しんでから白馬山荘へ向かった。

白馬山荘は山頂から10分ほど下った場所に位置している。
9:35 白馬山荘

標高2,832mにある白馬山荘に到着。山荘は3つの宿泊棟と、レストランや売店の入った「スカイプラザ白馬」からなる。写真は第2新館で、この奥に第3新館がある。前日の宿泊者は出払った後らしく、山荘の周囲は人が少なくて静かだった。

左奥は受付棟と第1新館、右がスカイプラザ白馬。白馬山荘の開設は1906年(明治39)で、宗教登山に由来しない山小屋としては日本最古のものである。ちなみにすべて含めた日本最古の山小屋は、立山室堂。

スカイプラザ白馬の喫茶営業は10時からだったので、第2新館前のテーブルベンチでしばし眺めを楽しんだ。立山・剱の眺めが素晴らしく、この地に山小屋を創設した松沢貞逸の卓越した慧眼を感じずにはいられなかった。

左には白馬三山の杓子岳・鑓ヶ岳、右には立山と剱岳。眼下には白馬岳頂上宿舎も見える。

西側正面には旭岳。旭岳から白馬岳を眺めてみたい気もしたが、山と高原地図には旭岳の山頂に至るルートは記載されていない。

10時にスカイプラザ白馬が開いたので、ケーキ・セットを注文。山で食べる甘味とコーヒーは格別だった。

10:45 レストランが少し混んできたこともあり、店を出て再び山頂へ向かった。

山荘の裏に咲いていたキンポウゲ科のミヤマオダマキ。

ナデシコ科のミヤマツメクサ、あるいはタカネツメクサ。花弁のすじが目立つのでミヤマツメクサかな。
11:10 再び 白馬岳

白馬岳の山頂に戻ってきた。まだまだ時間はあるので、再び山頂でのんびりすることにした。

白馬山荘の方へ向かう登山ツアーの集団。中には40人もの大所帯も見かけたが、大人数なのにすれ違う登山者を延々と待たせる集団にも遭遇した。無理な計画でトラブルに見舞われた登山ツアーの話も耳にしたし、けしからんツアーガイドが多くならないことを願う。

富山湾の方を眺めると、朝方より黒部川と能登半島がよく見えた。日本海を眺めていることに不思議な感慨を覚えた。

隣で休んでいた登山者が空の虹色現象に気がついた。環水平アークだろうか。

マメ科のシロウマオウギだと思うが、イワオウギかもしれない。接写がないので決め手なし。

キキョウ科のイワギキョウ。チシマギキョウに似るが、本種は花弁に毛がなく上向きに咲く。

山頂の西側はなだらかな斜面だが、東側が切り立った断崖になっており、氷河期に大きく削られたのが原因と言われている。

東側の雲海がとれて、白馬沢(左)と大雪渓(右)が白馬尻あたりで合流し、北俣川から松川へと流れ下る谷筋がよく見えた。

方位盤の付近から眺めた山頂の南側。広大な山波を眺めてぼんやりしたり、写真を撮ったりしているうちに、1時間が過ぎてしまった。

12:15 下山開始。もう少し山頂に居たかったが、下りもコースタイムを大幅にオーバーすることを見越して早めに出発した。

見たことのない小さな花がひっそり咲いていたので撮っておいたが、オオバコ科のヒメクワガタだった。

花弁の紫のすじと長く飛び出た雄しべと雌しべが特徴的なオオバコ科のミヤマクワガタ。

ミヤマクワガタの密集した群生を何ヶ所かで目にした。

復路も高山植物に目を配りながら、天空散歩のような稜線歩きを楽しんだ。

絨毯のように密集した葉をもつ白い花は常緑小低木のイワウメで、その中でマメ科のオヤマノエンドウが場所を争うように咲いていた。

ウルップソウもよく見かけたが、時期的に終わりかけなのか、元気な花が少なかった。

バラ科のミヤマキンバイ。ミヤマダイコンソウと並んで、いろんなところで群生していた。

ユキノシタ科のシコタンソウ。小さな五弁花の内側に黄と赤の細かい斑がある。

キンポウゲ科のツクモグサ。白馬岳にはツクモグサが咲くと知っていたので、歩きながらずっと探していてやっと見つけた。最初はツクモグサかどうか確信を持てなかったが、後から来た女性ハイカーに「ツクモグサですよね」と声をかけられてはっきりした。

こちらもツクモグサ。花の開き方で見え方が随分違う。開花が早い花なので、もう終わりかけていた。密集する葉の形が特徴的なので、いったん見分けがつくと花が落ちた後の葉も容易に見分けることができた。

キク科のミヤマアズマギク。アズマギクの高山型亜種。鮮やかな紫の色付きに目を引かれた。

強烈な日差しを浴びながら稜線を歩く。日焼け止めを塗っていたのに、嫁は首や顔が赤く焼けていた。

花を見つけては写真を撮って歩いたが、接写のピントがなかなか合わない。しゃがむ時間が長くなると立ち眩みがひどくなるので難儀した。

復路も開放感抜群の稜線歩きが続く。午前中は数多く見かけた団体ハイカーの姿も、この時間になると見なくなった。

シコタンソウの見事な群生。ここは我々の場所だと言わんばかりに咲き誇っていた。

アブラナ科のミヤマタネツケバナ(別名ミネガラシ)。似たような白い花がたくさんあるが、葉の形で見分けがついた。

アブラナ科のヤマガラシ(別名ミヤマガラシ)。葉が不揃いだなぁと思って調べてみると、根生葉は羽状に中裂から全裂し、頂小葉は丸くて大きく、茎葉は耳形で基部は茎を抱く、と分かった。

キンポウゲ科のシナノキンバイ。花弁のように見えるのは萼で、本当の花弁は中央部のしべ状に退化した部分。ミヤマキンバイよりもひと回り大きいので、見た感じで見分けがつく。

13:55 三国境を通過。稜線の南側からもくもくと湧き出したガスは、しばらくすると消えていた。

小さなアップダウンが続く。さすがに上りはキツくなってきた。

記念になる石を持ち帰ろうと、途中から石を探しながら歩いた。取捨選択を繰り返して、蛇紋岩らしき黒緑色の石をポケットに入れた。

何かにカメラを向けている登山者たちがいたので、もしやと思ったら子どもを連れたライチョウだった。

あとはライチョウに会えたら完璧だと話していたので嬉しかった。子どもがハイマツの中に消えてしまい、母ライチョウも辺りを探していた。

しばらくライチョウの親子を観察してから先へ進んだ。ライチョウの親子はどんどん遠くへ移動していたので、後からくるハイカーは気づけなかったかもしれない。ラッキーな出会いだった。

行きと同じで、ひと山越えると見えていなかった次の小ピークまでの鞍部が見えてきて、その遠さを実感するということが続いた。

赤い岩石帯を通過したが、何故ここだけ赤いのか不思議に感じた。 酸化しただけではなく、マグマに焼かれて変成したようにも見える。

小ピークの北西側を巻くように進む。

小ピークを過ぎてまた距離を実感。小蓮華山はやっぱり遠い。

14時半をまわって、白馬岳周辺もガスに覆われる時間帯が増えてきた。

やっと小蓮華山が近づいてきた。山頂で数名のハイカーが休んでいるのが見えた。
15:10 小蓮華山

小蓮華山に到着。復路もコースタイムを大幅にオーバー。こんなに遅くなるとは思わなかった。

雪倉岳と朝日岳周辺も雲の動きが活発になっていた。

19時過ぎまで明るいので、17時くらいまでにテント場に着けばよいと、小蓮華山でものんびり休憩した。

船越ノ頭へ至る稜線。雲に届きそうなところを歩く登山者の姿が点々と見えた。15:30 小蓮華山を出発。

キク科のウサギギクが一輪残っていた。

嫁が見つけたミヤマキンポウゲ。花弁に蝋のような艶がある。

群生するユリ科のコバイケイソウ。今年はコバイケイソウの当たり年だと通りすがりの登山者が話していた。

アカモノとはちょっと違う小さな鈴のような花を見つけたが、ツツジ科の常緑小低木、コケモモだった。

船越ノ頭を眼下に見ながら九十九折に下っていく。

アブラナ科のハタザオやナズナの類いは種類が多くて見分けにくい。茎葉は卵状楕円形で切れ込みは浅く、無柄で茎を抱き込んでいる。茎や葉に星状毛が密生しており、根生葉はへら型で浅い鋸歯がある。ということで、ウメハタザオではなかろうか。

ナデシコ科のホソバツメクサか? ミヤマツメクサなどとちょっと雰囲気は違うが、確信はなし。

朝からの行動時間が12時間を超えて、さすがに疲れてきたが最後まで稜線の展望と高山植物が目を楽しませてくれた。

小ピークを過ぎるほどに遠くなるんじゃないかと感じた船越ノ頭も、やっと近くに見えてきた。

群生していたキク科のヤハズハハコ。

ナデシコ科のイワツメクサ。5弁花だが中央が深く裂けて、10枚あるように見える。

小蓮華山から随分歩いてきた。今日も気温が高かったので、午後になるともっと雲が出てくるだろうと思っていたがそうでもなかった。
16:30 船越ノ頭

船越ノ頭を通過。時間も時間なので、休まず先へ進んだ。

白馬大池と山荘が近づいてきた。テント場の混雑具合が少し気になってきた。

食虫植物の一種、タヌキモ科のムシトリスミレ。不気味とまでは言わないが、どことなく不穏なたたずまいを感じる。

またもやライチョウの親子に遭遇。その名の通り、雷鳥坂は本当にライチョウが多いようだ。

上から見ると、昨日よりもテントの数は減って、サイトにある程度のスペースが生まれていた。テントの出入り口前までびっしり張ってあったら食事の準備が大変だと思っていたのでホッとした。
17:05 白馬大池

白馬大池テント場に到着。かなり疲れていたが、最高の一日になったという充実感で満たされていた。

今日の分の幕営料を払って、すぐ夕食の準備をした。

若い頃から山岳会に入って山に登っているという年配のお隣さんと話をしながら食事を終えて、19時過ぎには横になった。すぐ寝入ったが、23時頃に肩の痛みで目が覚めた。素晴らしい山行の後は、長く厳しい夜が待っていた。
1時にテントの外に出て満天の星空を心ゆくまで眺めた。その後は寝られなくなり、3時に嫁を起こした。4時前に早出して白馬大池をのぞめる場所で日の出を眺め、そのまま白馬岳へと向かった。小蓮華山から三国境を経て白馬岳へと続く稜線歩きは、これぞ北アルプスと思えるスケール観で、歩くほどに変化する別天地の景観と色とりどりに咲き誇る足元の高山植物に心を奪われた。
山頂で360度の壮大な眺めを心ゆくまで見晴るかし、スカイプラザ白馬では美味しいケーキとコーヒーを味わった。復路も花を探しながらのんびり歩いたが、雷鳥坂で2度もライチョウの親子を見ることができて、望むものはすべて得られたと感じる至福の1日となった。
17時過ぎにテント場に戻ると、初日よりは混雑度が緩和されていた。年季の入った隣のベテラン登山者とちょっとした話をしながら夕食をすませて、この日も明るいうちに横になった。寝不足とたまった疲れですぐ眠りに落ちたが、23時過ぎに左肩の痛みで目が覚めた。忘れた頃に石灰性腱板炎の症状が出てしまい、テント泊2日目の夜は昼間と正反対にツラくて長い試練となった。