2019年4月6日 土曜日
祖母山
1,756 m

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コースタイム
一の鳥居駐車場 6:15 ⇒ 6:55 北谷登山口 7:00 ⇒ 8:10 千間平 8:15 ⇒ 国観峠 9:00 ⇒ 9:50 祖母山 10:55 ⇒ 二面岩 11:20 ⇒ 風穴 12:00 ⇒ 北谷登山口 12:50 ⇒ 一の鳥居駐車場 13:20

6:15 駐車場を出発。朝までに練馬ナンバーと川崎ナンバーの車が入ってきた。我が家同様、百名山狙いだろうか。

登山口まで林道歩きが続く。3月末終了予定だった工事は2週間ほど延長になっていたが、しばらく終わりそうもない状態だった。

6:55 北谷登山口に到着。ここにも重機が入っていた。

なだらかに上りが続く千間平コースで登る。

標高の低いところはスギやヒノキの植林帯が続く。展望のきかない薄暗い感じ、倒木や落ちた枝葉の重なり方や苔むした感じが、奥多摩の山に驚くほど似ていた。

山頂までのコース距離は5.3kmで、530m毎に立派な標識が立てられていた。現在地が分るのでとても助かる。

3合目あたりから背丈ほどもある熊笹が出てきた。

アセビの群生。

登山口からほぼ1時間。単調な上りが続く。

4合目を過ぎたところに展望台の標識があったので、短い坂を上って展望台に寄り道した。

展望台は北から西の眺めがよかった。北側には登ってきたばかりの九重連山。左が久住山系で右が大船山系。その右には由布岳と鶴見岳が見えるが、祖母山側から眺めると思った以上に近い。

西には阿蘇山がよく見えてきた。

展望台からコースに戻り、5合目と熊本・大分・宮城の県境となる「三県境」を通過。六合目の手前で樹間に祖母山が見えてきた。ちなみに山頂は宮城と大分の県境で、祖母山は宮城県最高峰である。

7合目の前後は、登山道が深々と掘れていた。雨の時は川になりそうだ。

9:00 広々とした国観峠に出た。神原コースとここで合流する。

国観峠からしばらく登ると8合目で、そのあたりから傾斜がきつくなった。

9合目小屋との分岐を分けて、山頂直下の坂を上る。

9:50 山頂に到着。山頂には一等三角点と方位盤、宮崎県側の祖母嶽社と大分県側の健男霜凝日子社(たけおしもこりひこしゃ)を祀る石の祠がある。健男霜凝日子社は九柱の神を祀っており、その中に神武天皇の祖母にあたる豊玉姫が含まれている。それが祖母山の名の由来。古くから信仰登山が行われており、嫗ヶ嶽(うばがたけ)や祖母嶽(おばがたけ)と呼ばれる神体山だった。

東側には大障子岩(右)から障子岩(左)へ続く障子岩尾根が延びており、右奥には傾山(かたむきやま)が見える。熊は九州では絶滅したといわれるが、祖母・傾山山系で熊の目撃情報が度々あり、現在調査中らしい。ニホンカモシカの生息地だし、もしかするかも。

南東側。手前に古祖母山(右)から本谷山(左)に稜線が延びており、中央奥は大崩山(おおくえやま)。祖母山周辺は銅、錫、鉛やマンガン、水晶などの鉱物資源が豊富で江戸時代から昭和中期まで採掘が行われていた。東側の麓に遺構が残る尾平鉱山は、1954年(昭和29年)に閉山されるまで日本有数の鉱山として栄えていた。

南側。手前に古祖母山(左)と障子岳(右)。障子岳の左奥に幽かに見えるのは尾鈴山。

南西側には障子岳から親父山、黒岳と続く稜線が延びている。

山頂から北側に少し下ると、北から西側の展望がきいた。

北側。左は九重連山、右は由布岳と鶴見岳。

西側の阿蘇山。手前には登ってきた千間平の稜線が見える。

祖母山の麓を滑空するトンビ。上からトンビを眺めることはあまりない。

しばらくすると、賑やかなおじさん集団が登ってきた。気心の知れた仲間らしく、学生のようなノリでとても楽しげだった。

10:55 下山開始。下りは難易度が少し上がる風穴コースへ進んだ。

長いロープの張られた急坂を慎重に下る。

一気に高度を下げると、平坦な尾根筋となった。

11:20 西側が開けた二面岩に到着。祖母山は隆起して形成されたが、元となる地盤が1300万年以上前の火山活動によって形成されたため、標高の高いところで断崖と巨大な花崗岩が随所に見られる一方、山頂部まで森林が広がる複雑な地形となっている。

日当たりの悪いところに氷の塊が残っていた。

二面岩から再び急な下りが連続した。

長い脚立を針金で木の根に縛りつけただけの梯子を下る。ロープや梯子がアスレチックのようで楽しかった。

背丈以上のスズタケを下る。登山道の手入れを怠ると、すぐ藪漕ぎの道になりそうだ。

12:00 風穴に到着。冷気を感じる穴の中に少し入ってみたが、奥行きは20mあるらしい。

再び梯子。

険しい下りの後は、平坦な道に出た。

苔むした沢筋に入った。風穴コースは変化に富んでいて、歩いていて飽きさせない。

沢筋を離れて今度は樹林帯の急坂を下る。

再び沢沿いの道となり、渡渉を何度か繰り返した。

林道に出る前の上り返し。足に疲れを感じた。

林道に出る。ここからは平坦な道が続く。若者2人組が前を歩いていた。

12:50 林道に出て数分で北谷登山口を通過。

30分ほど林道を歩いて、祖母嶽神社一の鳥居を通過。

13:20 駐車場に到着。車が10台ほどに増えていた。翌日は高千穂峰に登る予定だったので、すぐ移動を開始。一の鳥居からの狭いダートは無事にクリアしたが、途中で受信感度の悪いカーナビがまさかの間違いを犯して狭い道に入ってしまった。どんどん狭くなる道に気づいてUターンしたが、精神的にかなり疲弊した。

暗くなる前に、車中泊先の道の駅霧島に到着。なるべく平らな場所を探して車を停めた。明日登る高千穂峰の登山口はここから10kmほど。登山後のロングドライブで疲れていたが、気持ちはおだやかであった。

トイレで嫁がヤモリを見つけたと呼ぶので、女子トイレでヤモリを捕まえた。逃げようとする力が強く、小さなヤモリの生命力を感じた。

ヤモリは写真を撮ってすぐに逃がしてやった。その後、20時前に横になった。その夜はほどよい気温で熟睡できた。
前夜は一の鳥居駐車場で車中泊。左肩に痛みが出て、よく寝られなかった。5時起床、6時過ぎに駐車場を出発。林道歩きをして北谷登山口から上りは千間平コースで、下りは風穴コースを利用した。高度が上がるとスギやヒノキの針葉樹林から広葉樹林帯に変わり、展望は樹林にずっと遮られていた。奥多摩の山によく似ているという印象を受けた。山頂からの眺めは素晴らしく、ほぼ360度の展望が得られた。この日は遠望もきいて、阿蘇五岳や九重連山、由布岳までしっかり見えた。上りの千間平コースは単調だったが、険しい断崖を避けるようにつけられた風穴コースは、ロープや梯子が連続してアスレチックのように楽しめた。地味な百名山であるという印象に変わりはないが、九重連山同様、天気に恵まれて素晴らしい山行になった。
下山後は翌日の高千穂峰登山に備えて、車中泊先の道の駅霧島まで移動した。道間違いなどもあってロングドライブに疲労したが、暗くなる前に到着することができた。