2019年4月3日 水曜日
九重連山 坊ガツルテント泊 初日
大船山
1,786 m

|
||||||||
|
コースタイム
長者原ビジターセンターP 6:45 → 雨ヶ池越 8:30 → 9:25 坊ガツル 10:45 → 12:50 大船山 14:00 → 坊ガツル 15:30
長者原ビジターセンター駐車場

夜間の車中は寒かった。昨日通りかかったモンベルで、忘れてきたダウンズボンを購入したのは正解だった。

6:45 駐車場を出発。前日にコースの下見をしていたので、迷うことなく進む。

昨夜は何度も目が覚めてよく寝られなかったので、身体が重たかった。空もどんより曇っていて、不安を感じるスタートとなった。

木道から樹林帯に入る。天気予報は晴れだったが、朝方は小雪が舞っていた。

久々のテント装備がずっしり重たかったが、急な登りはほとんどなかったので助かった。

8:30 木道に出て雨ヶ池越を通過。梅雨時に雨が降り続くと水が溜まることから、このあたりは「雨ヶ池」と呼ばれているが、この日は干上がっていた。

雨ヶ池越から眺めた三俣山。霧で見え隠れしていた。

深くえぐれた登山道を進む。雪が少し残っていた。

アーチのように覆いかぶさるアセビの灌木帯。うねうねと密集した樹木が印象的だった。

灌木帯を過ぎると、九重の山々に囲まれた坊ガツル湿原が見えてきた。

歩きながら三俣山への直登ルートの入口を探していたが、見当たらなかった。後日、この道標のそばであることを知った。

坊ガツルを流れる鳴子川。大船山を水源とし、玖珠川に注いで三隈川、筑後川と名を変え、最後は有明海に至る。

9:25 幕営地となる坊ガツルに到着。標高約1,200mの高さに広がる坊ガツルは、国内最大級の広さを有する高層湿原で、タデ原湿原とともに「くじゅう坊ガツル・タデ原湿原」としてラムサール条約の登録湿地となっている。

広大なテント場は利用料がかからず、どこにテントを設営してもよい。先客はひと張りのみだったので、じっくり場所選びができた。結局、テーブルが近くにある平らな場所を確保して、30分ほどで設営完了。

10:45 しばらく休んでから大船山へ向かった。

テント場の東側の方に非難小屋があり、大船山の登山口はその近くにあった。

避難小屋の中はとても綺麗だった。宿泊は原則禁止だが、雨の時にはよい逃げ場になりそうだ。

登山口に入ると最初から急登の連続。

岩ゴロの多い歩きづらい急坂をせっせと上る。アセビなどの低灌木帯がここでも目についた。

ガスで山はよく見えないし、また細雪がパラついてくるし、本当に晴れるのかと心配になってきた。

12:15 稜線に出て、段原(だんばる)の分岐に到着したが、大船山の山頂部はガスに包まれていた。

大船山へ向かって歩き始めると、ガスが一気に切れて山頂部が現れた。山頂から降り始めていた登山者が、展望が開けたので山頂へ引き返すのが見えた。

山の天気は変わりやすい。青空がみるみる広がって、天気の心配がなくなった。

山頂直下は再び急登となった。

山頂部は遠目で白く見えていたが、すべて霧氷だった。

見事な「エビの尻尾」。エビの尻尾は、空気中の水滴や水蒸気あるいは雪などが、強風によって木に衝突して付着凍結してできる。

日に照らされた霧氷は、山頂に着く頃には、みるみる溶けてなくなってしまった。

12:50 九重連山東側の盟主、大船山(1,786m)に到着。山頂にいた登山者と入れ替わりとなり、貸し切り状態となった。

このまま平治岳へ向かう予定だったが、疲れていたので平治岳はカットして、大船山でのんびりすることにした。

西には、左から稲星山(1,774m)、久住山(1,787m)、中岳(1,791m)、星生山(ほっしょうさん 1,762m)、三俣山(1,745m)と、九重連山西側に広がる久住山系の山塊が一望できる。

三俣山の麓に広がる坊ガツルの全景。西側の久住山系と東側の大船山系の間に位置する。「坊」は寺院、「ツル」は川のある平らな土地を意味する。左側には法華院温泉(元は九重山信仰の中核であった法華院)も見える。

大船山は九重連山の東の盟主で、船が転覆したかのような姿に見えることかが名前の由来。九重火山群に多い溶岩円頂丘ではなく成層火山で、最新の噴火は約1300年前頃と推定される。

山頂近くには御池(おいけ)、米窪(こめくぼ)、段原と、3つの火口跡があり、山頂東側の御池だけが唯一水をたたえている。

時間とともに青空が広がって、よりクリアに九重連山が見えるようになってきた。慶長時代(1596-1615年)、大船山を愛した岡藩3代目藩主・中川久清(ひさきよ)はここを見張台とし、足が不自由であったにもかかわらず足繁く通ったと云われるが、それもうなずける。

北側の眺め。真ん中のくぼみが段原で、右の大きな火口跡が米窪。大船山の山頂から段原、北大船、平治岳へと続く稜線上は、6月になるとミヤマキリシマの大群落に覆われる。ミヤマキリシマの群生は、国の天然記念物に指定されている。

北西の竹田市側。薄雲で阿蘇山は見えなかった。そのうち青年が登ってきて写真を頼まれた。カメラを返す時、「九重17サミッツ狙ってるんです!」と唐突に言われて、一瞬何のことか分からなかった。飛ぶように下りて行ったが、若者らしく自分の事で一杯なのだろう。さわやかな健全さを感じ、若者とはそういうものだと合点が行った。

14:00 下山開始。時間的に平治岳へ行けなくもないと、十分休んで欲が出てきたが、無理はせずに下りることにした。

山頂直下の急坂を下る。

アセビなどの低灌木帯を抜ける。

14:25 段原に到着。平治岳と風穴・黒岳への道を分けて、坊ガツルへ下る。

上りではクリアに見えなかった大船山が、段原からよく見えていた。

期待通りに山頂の展望が得られたので、足取りは軽かった。

よいペースでどんどん下る。

再びアセビのアーチをくぐって進む。

坊ガツルに出た。非難小屋の向こうは、白口岳(しらくちだけ 1,720m)と中岳。

15:30 テント場に戻ってきた。西側正面には三角の山容が格好いい三俣山。

テーブルでひと休み。東側には北大船山と登ったばかりの大船山(右奥)。坊ガツルは九重連山の真ん中に位置しており、野焼きによって高い木々もないので、360度素晴らしい景観が広がっている。初日で坊ガツルのテント場をすっかり気に入った。

夕飯はアルファ米を使用したモンベルのレトルト食品。手軽で美味なので、料理の必要を感じさせない。

炊事棟。3つの大きなシンクと、作業台にカマドまであった。凍結防止に水も常に出ていて、申し分のない環境だった。

テントは3張りに増えていたが、サイトが無制限に広いので、他の登山者はいないに等しかった。ちなみに左が平治岳(1,643m)で、右が北大船山(1,706m)。もし平治岳にも登っていたら、鞍部が深いので上り返しは大変だっただろう。

日没までには時間があったので、散歩がてらに三俣山の登山口を探してみることにした。

坊ガツルの北側をぐるっと見て回ったが、やはり見つからなかった。最終日は三俣山に登ってから下山しようと思っていたのだが。

6:30 日が落ちて暗くなってきた。西側の三俣山もシルエットに変わった。明日は九重連山西側の久住山系を縦走するが、天気予報は終日晴れ。期待が膨らむ。暗くなると同時に横になり、そのまま寝てしまった。
前夜車中泊した長者原(ちょうじゃばる)ビジターセンターの駐車場を6時45分に出発。雨ヶ池越ルートで坊ガツルに入り、テントを設営してから登山を開始した。早朝から曇りがちで雪もちらつく天気だったが、時間とともに青空が広がって、山頂からは素晴らしい展望を眺めることができた。山頂直下で見た霧氷も綺麗だった。隣の平治岳にも登るつもりだったが、翌日の縦走に備えて無理はせずに下山した。九重の山々に囲まれた坊ガツルは周囲の景観が素晴らしく、他のテントは数張りだけだったこともあり、夕方のひと時をのんびり過ごすことができた。水が使い放題だったことも助かった。
19時前には寝袋に入って、暗くなると同時に寝てしまった。0時頃から1時間ほど星空を眺めながらテントの外で横になっていたが、身体が冷え切ってしまい、その後は寒くてよく寝られなかった。