2019年4月7日 日曜日

高千穂峰

1,574 m

 早朝に道の駅霧島から高千穂河原に移動して、まだ登山者の少ない時間帯に登山を開始。砂礫のコースなので上りは足を取られたが、連日の登山で身体が完全にフィットしており、展望のよさもあって最後まで疲れをあまり感じなかった。
 馬の背から眺めた均整のとれた高千穂峰と、赤や黒の砂礫に彩られた御鉢の火口は、ただ壮大なだけではなく畏敬の念を覚えるものであり、その隔絶した世界を思わせる異質で圧倒的なスケール感は、天孫降臨を想像させるに十分だった。広々とした山頂からの展望も素晴らしく、360度の大パノラマを満喫した。テレビ映像を何度か見ていたが、実際に足を運んでみて、特異なカテゴリーに属する唯一無二の特別な山であることを実感した。宮崎の南端まで足を延ばして正解だった。

登山コースデータ
単純標高差 : 604 m
累積標高差 : 610 m
コース距離 : 5.2 km
標準コースタイム : 3 時間
歩行データ
総歩行時間 : 3 時間 5 分
総行動時間 : 3 時間 35 分

 コースタイム

高千穂河原P 7:00 ⇒ 御鉢火口縁 7:55 ⇒ 背門丘 8:15 ⇒ 8:40 高千穂峰 9:10 ⇒ 背門丘 9:30 ⇒ 御鉢火口縁 9:50 ⇒ 高千穂河原P 10:35

6:00 道の駅 霧島

6:00 周囲が明るくなると同時に起床。朝から天気がよさそうだった。

早朝の道の駅霧島の様子。道路はすぐそばだが、夜間に車の音は気にならなかった。

6:40 高千穂河原に到着。駐車場は有料だが、早朝は係員がおらず解放されていた。高千穂河原にはビジターセンターのほか、飲食店や土産物屋などがある。

7:00 駐車場を出発。車が何台か到着して、身支度を始める登山者の姿が複数あった。

駐車場近くの鳥居をくぐり、広い参道を進む。

ほどなくすると古宮址(ふるみやあと)に到着し、ここで右折して散策路を上がっていく。

石畳の階段を上って行く。

石段を上って樹林帯を抜けると、火山礫の登山道に出た。

堆積した砂礫やスコリアに足を取られて歩きづらい。少しづつ体力を奪われた。

火山特有の荒涼とした斜面。去年の新燃岳(しんもえだけ)噴火に見られるように、霧島連山は断続的に噴火を繰り返す活火山で、高千穂峰の登山道もたびたび登山規制を受けている。

徐々に傾斜が増していく。

上りは完全な逆光で、クリアな写真が撮れなかった。

7:55 御鉢の火口縁に出た。その名の通り、巨大なすり鉢が現れた。

御鉢に出た後は、馬の背と呼ばれる御鉢の火口縁を左回りで進む。

北西方向には、中岳(1,332m)、新燃岳(1,421m)、韓国岳(1,700m)と、霧島連山が重なって見える。ちなみに中岳と新燃岳はいまも入山規制がかかっている。

高千穂峰の山頂部を見ながら馬の背を進む。風が強いと危険な火口縁のルートだが、この日の風は穏やかだった。

巨大な火口を右手に眺めながら進む。言葉では表現できない圧倒的なものを感じていた。

御鉢の反対側(東側)まできた。ここから鞍部の背門丘(せとを)へ下る。

直径約600mの御鉢。火口底の標高は1,206m、火口縁の最高点は東側の1,425mと、深さは約200m。古くから噴火を繰り返していたため、江戸時代以前は火常峰(ひのとこみね)と呼ばれていた。

8:15 背門丘を通過。背門丘には、6世紀頃に創建された霧島神宮の元宮がある。創建時の社殿は噴火の影響で古宮址へ遷され、さらに現在霧島神宮のある場所へと遷された。

山頂へ続く急坂を上る。この時間帯は山頂と太陽が重なっていた。

8:40 背門丘から30分足らずで山頂に着いた。

人気のない山頂で、まずは記念撮影。背後には瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が突き刺したと云われる青銅製の「天逆鉾(あまのさかほこ)」が見える。

北西方面。中央左に韓国岳(からくにだけ 1,700m)、その右奥には甑岳(こしきだけ 1,301m)、間をおいて右端に夷守岳(ひなもりだけ 1,344m)が見える。

西側の眼下には歩いてきた御鉢の全体が見渡せる。その向こうに見えるのは烏帽子岳(988m)。

東側の眺め。眼下の稜線上に高千穂河原とは反対側の霧島東神社から登るルートが見えた。

北東方面の眺め。左に白髪岳と形のよい市房山が見える。

広い山頂には方位盤もあった。

高千穂峰は、古事記にも記載のある天孫降臨神話の舞台であると云われる。天孫降臨神話とは、天照大御神(あまてらすおおみかみ)の孫である瓊瓊杵尊が、地上を治めるために三種の神器や神々とともに降り立ったという伝説である。天逆鉾の前には鳥居があり、周囲は立入禁止となっていた。

山頂小屋の赤屋根。かつては営業小屋だったが、2008年以降は無人小屋となり、現在は非難小屋として利用されている。

眺めを楽しみながらおにぎりを食べてゆっくりした。山頂のアンテナのようなものは国旗掲揚のためのポールだった。

9:10 下山開始。

砂礫がクッションとなって、下りは歩きやすかった。

雄大な眺めを楽しみながら下る。上ってくる登山者と何度かすれ違った。

月のクレーターのような御鉢。幾度となく噴火してきた火常峰(御鉢)だが、1923年の噴火を最後に沈静化している。

御鉢の中腹に、えぐれたような火口が見えた。その上に目を転ずると、馬の背を歩く登山者が米粒のように小さく見えた。

放射状に広がるすじ雲が綺麗だった。

下りはあっという間。みるみる鞍部の背門丘が近づいてきた。

9:30 背門丘を通過。陽が高くなり、元宮の上に山頂を写すことができた。

ぽっかり口を開けた火口。赤黒い地層が度重なる噴火の歴史を物語っている。

高千穂峰と馬の背。

馬の背から御鉢を眺める。

高千穂峰は典型的な成層火山で、均整の取れた美しい山容をもつ。

ちなみに高千穂峰の山頂は宮城県に属するが、御鉢の火口は鹿児島と宮崎の県境となっている。

圧倒的な周囲の景観を眺めながら、ゆっくり馬の背を進む。

再び高千穂峰と馬の背。

9:55 御鉢火口縁ルートの端まで来た。

火口縁を降りて高千穂河原へ下る。

登山口の傍まで下りてきた。樹林帯に入ってしばらく下ると石畳の階段となる。

石段を下って古宮址まで戻ってきた。鳥居の向こうに御鉢がよく見える。

参道を歩いて高千穂河原へ向かう。

10:35 高千穂河原の駐車場に到着。ビジターセンター近くに靴の洗い場があったので、連日の登山ですっかり汚れた靴を水洗いした。

身支度を整えた後、前回の九州遠征でも利用した霧島ロイヤルホテルの日帰り温泉で汗を流した。大浴場はほとんど貸切状態でのんびりお湯に浸かれた。13:00 翌日の登山に備えて由布岳方面へ取って返しが、睡魔に何度も襲われて運転がひじょうにつらかった。

17:05 この日の車中泊先である道の駅ゆふいんに到着。最初に停めた場所は下水が臭く、別の場所へ移動した。車中泊地として人気があるようで、豪華なキャンピングカーが何台も並んでいた。19:10 早めに就寝。夜中は暑いくらいで、寝袋は必要なかった。