2017年6月17日 土曜日

谷川岳・万太郎山

1,977 m 1,854 m

 1時起床、1時40分出発。土合駅には3時25分到着。谷川岳からオジカ沢ノ頭までの2時間位は稜線に霧が出ていたが、その時間帯以外は快晴の登山日和で遠望もきいた。谷川岳から万太郎山の稜線はお花畑が点在し、展望も驚くほど素晴らしいものだった。テント泊ができない山域なので、時間的かつ体力的に縦走は難しいルートだが、また来たいと思える稜線だった。

 下山路の吾策新道は落ちるような急坂の連続で、崩落気味の危険箇所もあった。しかもきちんとした道標がないので、違う尾根に入ったかと一時はかなり動揺し、土樽駅への道も分かりずらかった。時間的には18時の電車に余裕で間に合ったが、最後は少し焦ることになった。帰りは渋滞もなく2時間弱の運転で帰宅。天気に恵まれて、達成感と満足感で一杯の山行となった。

登山コースデータ
単純標高差 : 1,378 m
累積標高差 : +2,016 m / -2,080 m
コース距離 : 19.8 km
標準コースタイム : 12 時間 5 分
歩行データ
総歩行時間 : 12 時間 15 分
総行動時間 : 13 時間 45 分

 コースタイム

土合駅P 4:00 → 西黒尾根登山口 4:35 → ラクダのコブ 6:50 → 8:35 肩の小屋 8:40 → 8:45 トマノ耳 9:00 → 9:10 オキノ耳 9:15 → 9:30 肩の小屋 9:45 → 11:00 オジカ沢ノ頭 11:10 → 小障子ノ頭 11:45 → 12:05 大障子避難小屋 12:15 → 大障子ノ頭 12:45 → 13:40 万太郎山 14:10 → 井戸小屋沢ノ頭 15:05 → 大ベタテノ頭 15:50 → 谷川新道分岐 17:00 → 土樽駅 17:45

 

3:25 土合駅に到着。未舗装の凸凹駐車場に車は10台程度。ここから出る人はロングコースの早出が多い。

4:00 土合駅を出発。国道291号を進んで登山口へ向かう。4:25 谷川岳ベースプラザを通過。

登山指導センター。ここに前泊したと思われる団体が出てきて、我々に先行した。

足の速い夫婦と思われる2人組に抜かされて、あっという間に引き離された。

4:35 西黒尾根登山口に到着。

しばらくは先行する団体の後について上った。団体の何人かは急坂にもかかわらず、ずっとおしゃべりをしていた。20分ほどで鉄塔を通過。長丁場なので、ゆっくりペースを維持。

登山道から立派なブナが何本も目に付いた。

ハート形の葉と穂のような花序が特徴のマイズルソウ。

6:15 樹林帯を抜けて、眺めのきく岩稜に出た。

南側に天神尾根が見えた。高倉山(左)と天神山(中央)の間にあるのは天神平のロープウェイ乗り場。

しばらく頭上で旋回していたトンビ。

ラクダのコルまではクサリ場が数カ所ある。

サクラソウ科サクラソウ属のユキワリソウ。ハクサンコザクラにそっくりだが、こちらは花弁の切れ込みが浅い。

6:50 ラクダのコブ(1,516m)に到着。ここまではまずまずのペースできた。

前方、西にそびえる谷川岳。登っていく人たちの姿がいくつも小さく見えた。

午後からは霧がでる予報だったが、まだその気配はなく、早朝は快晴の青空が広がっていた。

山野のやや湿ったところに咲くショウジョウバカマ。ぽつんと一輪で咲いていた。

北東側には朝日岳。すぐ左下のとんがりが笠ヶ岳で、少し右のとんがりが白毛門。

ナエバキスミレ。オオバキスミレが小型化した変種の1つで、上越国境付近の亜高山に分布する。

ホソバヒナウスユキソウ。キク科ウスユキソウ属で、花言葉は「高貴な純潔」。

眺めがよいので、何度も足を止めて展望を楽しんだ。

急な岩稜をひたすら上る。ラクダのコブから随分上ってきたが、まだまだ急坂が続く。

ラクダのコブからヤセ尾根の岩稜帯が続く。

山頂がなかなか近づいてこない。ラクダのコブから西黒尾根の上半分だが、岩稜帯の上りは長く感じた。

露岩とガレの急登に嫁がペースダウンしてきたので、先行して上から撮影。

尾根が広くなって、ようやくザンゲ岩が近づいてきた。

日向ぼっこをする蛇とばったり遭遇。

しばし睨み合い、ストックで首を押さえようとしたら、草むらに逃げられた。

7:55 クサリ場を上って一枚岩に到着。

一枚岩の上はしっかりグリップが利くので、見た目ほどの危険はない。

氷河の痕跡と言われる一枚岩を上から眺める。

8:10 ザンゲ岩を通過。ここまでくると山頂は近い。

傾斜もゆるくなり尾根が近くなってきた。

間近にみたトマノ耳とオキノ耳。トマノ耳に登山者の姿が数名あった。

山頂直下は広く残雪が残っていて、トマノ耳へは直登できなかった。トラバース気味に肩の小屋へ向かう。

8:35 肩の小屋に到着。登山者が数名休んでいた。

これから向かう谷川連峰の主稜線。この時点では、霧の出る気配はまったくなかったのだが…。

8:40 嫁のザックをデポしてトマノ耳へ向かう。

8:45 トマノ耳(1,963m)に到着。山頂は360度の大パノラマが広がっていた。

北側にはオキノ耳。左奥は一ノ倉岳と茂倉岳。

オキノ耳の右、北東側には朝日岳が大きい。この角度からだと山頂が平らに見える。左奥には巻機山、越後駒ヶ岳、中ノ岳が並び、右奥には平ヶ岳がくっきり見えた。

左は割引岳と巻機山。右は越後駒ヶ岳と中ノ岳。

中央に平ヶ岳。右になだらかな会津駒ヶ岳と尖った景鶴山も見える。

東側。左に燧ヶ岳と至仏山、右には日光白根山と武尊山。

左から会津駒ヶ岳、景鶴山、燧ヶ岳、至仏山、小至仏山、笠ヶ岳。

真ん中に日光白根山と武尊山が前後して並ぶ。

南東側には上ってきた西黒尾根と天神尾根が重なって見える。その向こうには赤城山、右には子持山も見える。

南側の眼下には肩の小屋。その上は阿能川岳。遥か遠くには、富士山まで見えた。

真ん中左に富士山。その右には甲武信ヶ岳や国師ヶ岳、金峰山などの山並。富士山の手前の山塊は榛名山で、左手前の台形は吾妻耶山。

南西側の谷川連峰主稜線。オジカ沢ノ頭、万太郎山、仙ノ倉山まで続く稜線が一望できる。オジカ沢ノ頭の左に延びるのは俎嵓(まないたぐら)山稜で、左奥は浅間山。

左は八ヶ岳で右は浅間山。

西側。万太郎谷の上には横雲がたなびいて、その左上に苗場山がのぞいている。

苗場山の左奥には白馬岳まで見えた。ちなみに左端は仙ノ倉山の山頂部。

大パノラマを満喫しながら、しばし休憩。ここまで遠望が利くとは思いもしなかった。

9:00 少しでも体力を温存したい嫁を促してオキノ耳へ。

オキノ耳までは見た目よりも近い。せっかくの快晴なので、踏める山頂は踏むべきだろう。

9:10 オキノ耳(1,977m)に到着。

オキノ耳の手前でハンサンイチゲが群生していた。キンポウゲ科イチリンソウ属。万太郎山へ向かう主稜線でも、ハクサンイチゲのお花畑をたくさん目にした。

北北西の一ノ倉岳。いつの間にか西側からガスがせり出して、茂倉岳は頭しか見えなくなっていた。

北東側の朝日岳。湯檜曽川(ゆびそがわ)の谷間を挟んで朝日岳の山稜が対峙していることがよく分かる。この谷間をぐるっと回る谷川岳馬蹄形縦走へと思いを馳せる。以前はとても無理だと感じていたが、いまはやれる気がする。

南側にはトマノ耳から左下へ西黒尾根と天神尾根が延びている。

オキノ耳で眺めを楽しんでいた数分の間に、西側からガスが湧き出してきた。

9:15 オキノ耳を出発。トマの耳にもみるみるガスが上ってきた。

驚くほどのスピードでガスが谷川連峰主稜線を飲み込んでいく。

あっという間に稜線がガスで見えなくなった。

肩の小屋も見えなくなった。

オキノ耳にもガスがせり上がりつつあった。

9:30 肩の小屋に戻ってきた。お腹が減ったので、おにぎりを食べて、これからの長い稜線歩きに備えた。

9:45 ガスで真っ白の谷川連峰主稜線へ進む。

肩の小屋から少し進んだところに、ハクサンイチゲなどのお花畑が広がっていた。

登山道から何度も見かけたイワカガミ。低山帯から高山帯まで幅広く分布するイワウメ科の多年草。

ハクサンコザクラ。ユキワリソウより花弁が深く切れ込み、葉は根元から出て、さじ型となっている。

周囲は霧で真っ白だったが、点在するお花畑が目を楽しませてくれた。

バラ科のエチゴキジムシロ。似た花がたくさんあるので見分けづらい。葉が3枚でその下に1対の小さな葉が付く。

ミヤマキンポウゲ。花弁に見えるのは萼で、艶がある。葉はいくつにも裂ける。

アカモノ。ツツジ科シラタマノキ属の常緑小低木。赤色の萼や枝がよく目立つ。

麓が少し見えたり空が明るくなったりしたが、稜線を歩き始めて30分が経過しても霧は晴れなかった。

10:25 オジカ沢の谷が下から見え始めて、幕岩の中腹が見えてきた。立ち止まって霧が晴れるのを待った。

立ち止まっては歩き、歩いては立ち止まりしていたら、南側の霧がスッと取れて、オジカ沢の谷と幕岩のほぼ全体が見えた。

ついさっきまでは見えなかったオジカ沢ノ頭も前方に見えたが、しばらくするとまたガスに呑み込まれた。

ニガイチゴ。何の花かさっぱり分からなかったが、ヤマレコの記事でバラ科キイチゴ属の落葉低木と分かった。

クサリ場を上る。

クサリ場を上るとヤセ尾根が続いていた。

11:00 オジカ沢ノ頭(1,890m)に到着。アンパンと行動食を食べて、10分ほど休憩した。

まだ先は長いので、このままガスの中ではキツイなぁと思っていた矢先に、東側からみるみるガスが取れてきた。

東側に天神尾根が現れた。

すぐ下のオジカ避難小屋へ向かう数分の間に、南のガスも取れて大きな山稜が見えてきた。

オジカ避難小屋に到着。

小さなドラム缶小屋で4人くらいが限度。まさに緊急時のシェルター。

南に延びる俎嵓山稜。高いところが川棚ノ頭(1,846m)。霧が晴れて目の前に見えた時は万太郎山かと思った。

俎嵓山稜が現れてすぐに、西側の霧も一気に取れて、ホンモノの万太郎山が現れた。

熊笹の道をどんどん下って行くうちに、北側の霧も綺麗に消えてなくなった。山の天気は変わるのが速い。

オジカ沢ノ頭から200m以上下って鞍部に出た。ここから上り返しが始まる。

振り返って眺めたオジカ沢ノ頭。谷川岳から見た感じよりも起伏も山容も大きい。

タテヤマリンドウ。ミヤマリンドウに似るが、はっきりとした点や線状の斑が入る。参道脇に数多く点々と咲いていた。

霧がスッキリ取れて、テンションが一気に上がった。

11:45 小障子ノ頭(1,730m)に到着。オジカ沢ノ頭の左には谷川岳(オキノ耳)、一ノ倉岳、茂倉岳が並ぶ。

北側の万太郎谷の向こうには湯沢町。左側から中央に延びる尾根が下りにつかう万太郎尾根。

南東側には俎嵓と川棚ノ頭。

南側は残雪の多い赤谷川本谷(阿弥陀沢)で、真ん中に小出俣山(おいずまたやま)が見える。右端には東俣ノ頭と尖った1807mピーク、左は俎嵓山稜につながる尾根。

どちらを向いても大展望で、谷川連峰主稜線の素晴らしさを実感した。

ハクサンイチゲに混じってチングルマも咲いていた。バラ科ダイコンソウ属の落葉小低木。

鞍部までゆるやかに下っていく。稜線上のアップダウンが見えづらく、大障子ノ頭も万太郎山と重なっていて歩いている時は判らなかった。それよりも山頂左に見える万太郎尾根のギザギザが気になっていた。

キクザキイチゲ。キンポウゲ科イチリンソウ属。アズマイチゲと似るが、葉の切れ込みが深い。

鞍部まで下ると万太郎山が小ピークの後ろに隠れてしまい、稜線の起伏が実感できた。

なだらかな小ピークを越えると大障子避難小屋が見えてきた。登山者5~6名の姿が見えたが、半数は万太郎山方面へ、残りはこちらへ上ってきてすれ違いとなった。

12:05 人気のなくなった大障子避難小屋に到着。

小屋の内部。詰めれば10人くらいはいけそうだが、窓がないので泊まるとなるとかなりの閉塞感がありそうだ。

大障子ノ頭までの上りがキツそうなので、ここでひと休みしておにぎりを食べた。

12:15 大障子ノ頭へ向かう。避難小屋からは100mちょっとの上り返しとなる。

しばらく上ると背後にトマの耳も見えるようになった。その手前のオジカ沢ノ頭が大きい。

笹原の急登をゆっくり上る。

25分ほど上ると傾斜が緩やかになった。

東南東側の俎嵓山稜。まだ雪が深そうな谷間までよく見えた。

南側の小出俣山と三尾根岳(みつおねだけ)。

東側。歩いてきた谷川岳主稜線の左に谷川岳、一ノ倉岳、茂倉岳が並ぶ。

万太郎山の山頂部を前方に見ながら緩やかな稜線を進む。

12:45 大障子ノ頭(1,800m)に到着。

大障子ノ頭は東西に長いので、東側の眺めは稜線に一部遮られていた。

北側、越後湯沢方面の眺め。湯沢町の右隣には荒沢山と足拍子岳の二つの尖峰が見える。

近づくほどにその大きさを現す万太郎山。いい山だなぁとしみじみ感じた。

大障子ノ頭からの下りは、ルートがはっきりしないような崩落気味の危険箇所があった。

慎重に危険箇所をクリアして、さらに下る。

13:00 鞍部に到着。いくつものピークを越えて、ついに本丸に辿り着いた。ここから山頂まで200m超の上り返しとなる。

すでに8時間くらい歩いていたが、まだ余力を感じていた。

シラネアオイ。日本固有の1属1種の植物で、うす紫の綺麗な花弁が印象的。

いったん傾斜のゆるい台地に出てから最後の急登となる。

山頂(分岐)の標識が下から小さく見えて、しばらくは登山者の姿もあった。

黙々と急坂を上る。背後にはオジカ沢ノ頭と大障子ノ頭が2つのコブのように並んでいる。

キツい急登続きだが、最後の上りなので気は楽だった。

13:40 万太郎山の分岐に到着。ザックを置いてすぐ隣の山頂へ向かった。

数分で万太郎山(1,954m)の山頂に到着。男性登山者2人が、腰を下ろして話し込んでいた。

西側には谷川連峰最高峰の仙ノ倉山(2,026m)がそびえる。左の尖峰はエビス大黒ノ頭。右奥には苗場山。

南側には東俣ノ頭と1,807mピーク。その左上には小出俣山と三尾根岳が並ぶ。

南東側。左に俎嵓山稜、右は阿能川岳と三岩山。その上にうっすら見える平らな山は上州三峰山。

北東側には歩いてきた谷川連峰主稜線。谷川岳から茂倉岳へ続く稜線もよく見える。

分岐に戻って、ゆっくり休むことにした。

よい日に登れたことを感謝しながら、360度の素晴らしい展望を堪能した。

谷川連峰主稜線。左には谷川岳、一ノ倉岳、茂倉岳。右には俎嵓山稜。よく歩いてきたと思うが、ここまでが主稜線の東側半分で、さらに平標山までの西側半分が続いている。今回は吾策新道から下りるが、いつかは完全縦走を果たしたい。

南東側。左の俎嵓山稜の麓は赤谷川本谷、右の小出俣山まで稜線が続き、その奥には阿能川岳と三岩山。阿能川岳の上には上州三峰山、右には吾妻耶山も見える。

西側の仙ノ倉山。山頂の右に平標山がのぞいている。山頂にいた1人が来たので少し話をした。避難小屋に泊まるつもりで来たが、今から土樽駅に下りれば平標山登山口の車を取りに戻れるので、やはり土樽に下る、と言って先に下りていった。

北側にはこれから下りる吾策新道のある万太郎尾根。右の万太郎谷の先に関越自動車道の土樽PAが見えるが、土樽駅はその少し先にある。

北東側。右に一ノ倉岳と茂倉岳で、左下へ茂倉新道がある尾根が土樽PAの方へ延びている。尾根の上には武能岳、さらにその奥には巻機山や越後駒ヶ岳などが並ぶ。

左から割引岳、巻機山、越後駒ヶ岳、中ノ岳が並ぶ。中ノ岳の手前は柄沢山、真ん中あたりに七ッ小屋山で、その左に大源太山の尖峰、右手前に武能岳。一番手前に茂倉新道の尾根が斜めに延びる。

14:10 下山開始。もう少し休みたかったが、嫁が電車時間(18:06)を気にするので、早めに出発した。

ミツバオウレン。キンポウゲ科オウレン属。オウレンに似て葉が3枚あることが名前の由来。

最初から落ちるような急坂が続き、あっという間に山頂が遠くなった。

主稜線上からギザギザに見えたのはこれかと思いながら、万太郎尾根を下っていく。

鋭角な岩稜をひとつ越えるごとに眼下の景観が変化していく。

下りのコースタイムは約3時間半。下りはいつも速いので、この時点では余裕で間に合うと思っていた。

小さな岩峰のほとんどは西側に巻いて行く。

尾根の残雪を歩く。雪の上を歩くとちょっと嬉しい。

下りるほどに虫がまとわりつくようになり、ハッカと虫除けスプレーを使用した。

虫除けをしない嫁の周りは虫だらけだった。

東側の仙ノ倉山。右肩に平標山がよりはっきり見えるようになった。

コブが一段落したら落ちるような急下降が待っていた。

気の抜けない急坂が続く。

前方に見えるのは井戸小屋沢ノ頭だが、歩いていた時は大ベタテノ頭かと勘違いしていた。

尾根づたいに道は続く。

途中の道標は朽ちていて文字はきれいに消えていた。

崩落気味のザレ場を下る。

慎重に下れば問題ないが、道が荒れている印象を受けた。

15:05 井戸小屋沢ノ頭を通過。何も標識がないので、下っている時は現在地をつかめていなかった。

振り返ると万太郎山がそそり立つ。急峻な下りであることがよく分かる。

下り始めて1時間を過ぎた。前方の小ピークが大ベタテノ頭だが、歩いている時は当然判っていない。

東側が崩落したヤセ尾根を下る。トラロープはあるものの、まったく気が抜けない。#

ヨツバシオガマ。ハマウツボ科シオガマギク属。名前の通り、葉が4枚輪生する。

大きな音を響かせて大型ヘリが飛んでいった。オスプレーかと思ったが違っていた。

眺めの利くゆるやかな小ピークに出たが、すぐにまた樹林帯に入った。

残雪の上を進む。

イワウチワは散っているものが多かった。

15:45 再び眺めのよい小ピークに出たが、このあたりが大ベタテノ頭だったようだ。

大ベタテノ頭付近から眺めた万太郎山。左は大障子ノ頭。ヤマレコを見ると、木枝に打ち付けられた標識が数年前までは確認できるが、最近は誰も撮していないので、なくなってしまったようだ。

大障子ノ頭の左には小障子ノ頭、オジカ沢ノ頭、谷川岳と並ぶ。

左から茂倉岳、一ノ倉岳、谷川岳。左端は武能岳。霧の出ていた10時台以外は終日快晴で眺めを存分に楽しめた。

下り始めて2時間近く、16時を回っておかしいと思い始めた。北西に延びる万太郎尾根を降りて北東側斜面を下るはずなのに、依然として尾根歩きが続いている。思い返すと赤テープをまったく見ていない。 すぐに地図を確認。右側に降りる道を見逃して、そのまま尾根を北ケドナノ頭へ進んでいるのではないかと不安がよぎる。標識がなかったので正確な現在地は分からないが、踏み跡はずっとはっきりしていたはずだ。 もしかすると下りの難所に時間が取られていて、思っているほど進んでいなかったのかもしれないと思い直す。だとすると、もう少し進めば尾根の北東側へ下るはずだ。じりじりしながら歩いていると、ようやく尾根を下り始めた。

人心地ついたが、思ったよりも進んでいなかったと知り、嫁が電車時間を気にして焦り始めた。

ゆっくり行っても大丈夫だと声をかけても、なかなかペースダウンしない。膝も痛くなってきて付いていくのがしんどかった。

17:00 やっと林道に出た。正面の尖峰は足拍子岳。

万太郎谷沿いに道は続いていた。

17:20 土樽PAに出たが、ここからが長かった。

高架下をくぐって道なりに進み、魚野川に架かる橋を渡った。ここで茂倉新道へ続く林道と合流。

さらに林道を進むが、土樽駅を示す道標が何もない。駅も見えてこないので段々焦り始めた。

何せ駅の場所が分からないので、時間も読めない。まだ着かないのかと歩調も速くなる。

17:35 二股に来るが道標はなし。太い道は鉄道沿いに延びていたのでそのまま進んだが、河原沿いに続く高架下の細い道を行くのが正解だった。少し上った先に駅があるとばかり思っていたのに、全然駅が見あたらない。そのままずんずん進むと廃屋のような山荘が出てきて、近くに軽トラが停まっていた。これ幸いと、車中のおじさんに駅を訪ねたところ、すぐ先を右に入ると駅だと言う。場所が判明して肩の荷が下りた。どうやら駅の裏(西側)に入ってしまったらしいが、駅を示す道標は最後まで見当たらなかった。

17:45 土樽駅に到着。待合室では登山者が5名休んでいた。靴を脱ぐと足が疲労でジンジンした。

18:07 電車が到着。チケットは車内精算で240円。土合駅までは10分ほどだった。

登山者が土合駅からぞろぞろ降りてきたが、中には谷川連峰主稜線を完全縦走して、平標山登山口からバスと電車で戻ってきた方もいた。

正三角形の土合駅。トイレは綺麗なので、駐車場の凸凹を舗装してくれれば言うことなしなのだが。何にせよ、長い1日が終わってホッとした。