2013年8月27日 火曜日
剱沢テント泊登山 1日目
立山三山
3,015 m

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コースタイム
室堂BT 8:20 ⇒ 9:25 室堂山展望台 9:30 ⇒ 10:15 浄土山 10:30 ⇒ 立山研究所 10:45 ⇒ 11:20 一ノ越 11:25 ⇒ 12:30 雄山 12:50 ⇒ 13:20 大汝山 (休憩所) 13:40 ⇒ 富士ノ折立 13:50 ⇒ 真砂岳 14:35 ⇒ 15:35 別山 15:45 ⇒ 剱沢キャンプ場 16:40
6:10 立山駅 無料駐車場

立山駅に到着。隣接の駐車場はすでに9割方埋まっており、その後も次々と車が入ってきていた。

身支度を整えて、ケーブル乗り場のある立山駅へ移動。リュックがずっしりと肩に重たかった。

構内にはケーブル待ちの列。

始発に乗れず、6:50の臨時便に乗車することに。出発を待つ間に足のテーピングを完了。

ケーブルから高原バスに乗り継ぐ。手荷物10kg以上は有料300円。

室堂に8時到着。最上階から外へ出ると快晴の空。

8:20 出発。浄土山への分岐までは、石畳の道を軽装の観光客に交じって進んだ。

登山道脇に咲いていたゴマノハグサ科のヨツバシオガマ。

キク科のミヤマアキノキリンソウ。

同じくキク科のヤマハハコ。

長時間の運転に疲れていたが、周囲の大パノラマにやる気がみなぎってきた。

分岐からは緩やかな上りが続く。背後には室堂バスターミナルと奥大日岳。今回、嫁は約14kg、私も18kg前後を背負っていたので、最初からゆっくりと、一歩ずつ確認するように進んだ。

高度を上げていくと、背後にミクリガ池と雷鳥荘も見えてきた。テント装備の重さに一抹の不安を覚えたが、時間はたっぷりあると思い直す。

9:15 浄土山登山口に到着。ここでザックをデポして、室堂山の展望台へ向かった。

展望台までは10分弱。ザックを下ろして一気に身体が軽くなった。

展望台は南西の眺めがよく、薬師岳がよく見えた。薬師岳の手前は鳶山(左)と鷲岳(右)。薬師岳の左に見えるはずの黒部五郎岳は雲に隠れていた。

室堂周辺の景観が想像以上であることに、わくわくするような興奮を覚えた。

いくらでも眺めていられる景色だった、まだ先は長いのでデポ地点に戻って早々に出発した。

短い雪渓を渡る。雪がそこかしこに残っていた。

浄土山登山口からは一気に傾斜がきつくなった。

左側の国見岳と天狗岳の稜線が、南西側から湧き出る雲の侵入を抑えているように見えた。右は大日岳と奥大日岳。

上空で猛禽がホバリング。しばらくすると急降下していったが、空中で見事に静止していた。

10:15 立山三山の一角、浄土山(2,831m)に到着。

山頂には城の石垣を思わせる軍人霊碑があった。

浄土山から眺めた立山。雄山山頂に見えるのは雄山神社の社務所。麓にはこれから向かう一ノ越山荘も見える。

北側には剱岳(左)と別山(右)。素晴らしい展望の連続に、テンションは上がりっぱなしだった。

10:30 移動再開。

キキョウ科のイワギキョウ。

所々で群生していたリンドウ科のタテヤマリンドウ。

ずっしりと重いザックを背負いながらも、心はうきうきと軽かった。

10:45 富山大学立山研究所を通過。

立山研究所のすぐ南には龍王岳(2,872m)。山頂に立つハイカーの姿が見えた。

立山と別山の間には真砂岳(中央左)が見えた。

周囲の大パノラマを堪能しつつ先へ進む。山頂がガスに覆われないことを祈っていた。

一ノ越へ向かう稜線から眺めた立山。降りてくる団体と登っていく団体の列が小さく見えた。

11:20 一ノ越に到着。

一ノ越は多くの登山者で賑わっていた。

山荘前には小学生の大所帯が待機していた。

一ノ越から見た南側の眺め。真ん中に不動岳(左)と南沢岳(右)。不動岳の右奥が燕岳で、南沢岳の上は大天井岳。右側には野口五郎岳と尖がった槍ヶ岳も見える。のしかかるような雲の下に、かろうじて北アルプスの山が見えていた。

11:25 一ノ越を出発すると、直後に小学生の団体が続いた。嫁のペースが上がらなくて追いつかれそうだったので、嫁を置いて我先にと急いで上った。

上からはジャージ姿の中学生がどんどん降りてくる。小学生の団体に飲み込まれては大変なので、ゼイゼイしながらしばらくは懸命に上った。

小学生の集団はしばらくすると当初の勢いがなくなったようで、振り返ると嫁も集団を引き離していた。

3,000m近くの標高だからか、ザックが重たいからか分からないが、とにかく息が切れて仕方なかった。

上からはミクリガ池を中心とした箱庭のような室堂平が一望できた。周囲の山が雲の侵入を阻んでいるかのように、室堂平だけが綺麗に見えていた。

背後は龍王岳と浄土山。ほぼ同じ高さまで登ってきた。素晴らしい絶景に、何度も振り返っては眺めを楽しんだ。降りてくる団体を待つこともあったが、それはそれでよい休憩になった。

ガスが晴れて、東側に蓮華岳、針ノ木岳、北葛岳と並ぶ岩峰が見えた。

雄山山頂の社務所が近くなってきた。

嫁も後から追いかけてきたが、かなり疲れた様子だった。

12:30 雄山山頂(3,003m)に到着。

社務所前は小中学生でごったがえしていた。

山頂北側の高い位置に見えるのが、雄山神社の峰本社。手前には鳥居もある。

峰本社の右は後立山連峰だが、山頂部に軒並み雲がかかっていた。

東側の眼下には、近年になって氷河と認定された御前沢の大雪渓と、サス又のカールが見えた。一見、普通の雪渓と何ら変わるところはないので、長い間、誰も氷河と気づかなかったことも頷ける。

南側に延びた尾根の向こうに黒部湖から続く東沢谷と、遠く槍ヶ岳の姿も見えた。

東沢谷の向こうに見えた槍ヶ岳。その手前は野口五郎岳。登った山が同定できると何だか嬉しくなる。

槍ケ岳の西、右手前には御山谷と、いまにもガスに飲み込まれそうな龍王岳。

12:50 おにぎりを食べてから移動開始。山頂石碑の前は記念撮影する小学生であふれていた。

鳥居の先の峰本社に上がるには、登拝料500円を支払う必要がある。

これから向かう大汝山方面。北側からも雲が湧き出ていて、剱岳は隠れてしまった。ちなみに立山とは、雄山・大汝山(おおなんじやま)・富士ノ折立(ふじのおりたて)の3つ峰を総称したものである。

上は青空が広がり、まだ室堂平もよく見えていたが、低いところから積雲が湧き出すような感じで、室堂全体が雲に囲まれつつあった。

雄山の喧騒がうそのように、雄山から先は人の姿が少なくなった。

振り返ってみた雄山山頂の峰本社。

目の不自由な方を真ん中に挟んで進む3人組がいた。こういう方々に会うと、ただもう敬服するのみである。

13:20 大汝山(3,015m)に到着。先客がいたので、順番を待って記念撮影。

東側の下をのぞくと、黒部第四ダムが見えたが、あっという間にガスで見えなくなった。

山頂近くの大汝休憩所。お腹の調子が悪くて、ここのバイオトイレを借りた。小屋番のお兄さんが、レゲエ調の曲に合わせてずっと鼻歌をうたっていた。

13:50 富士ノ折立(2,999m)を通過。

ガスが濃くなる中、尖峰の左側を巻くように下ったが、眺めがなくなって一気に疲れを感じた。

真砂岳(まさごだけ)へ向かう稜線もガスで覆われていた。

ここから先の展望は期待できないと思っていたが、みるみるガスが切れて景色が一変した。

西側下の山崎カールからガスが上に向かってきて、身体にぶつかるように一気に吹き抜けて行った。

ガスが完全に消えると、日本とは思えない景観の只中にいた。北側前方には真砂岳へ続く稜線がなだからな弧を描き、東側には内蔵助カールの大雪渓が広がる。気分が高揚して疲れを忘れる瞬間だった。

西側、山崎カールの先には3,000m級の峰々に囲まれた室堂平が広がる。立山の雄大な自然に圧倒されて、ただもう嬉しかった。陳腐な表現ではあるが、まさに「感動」の一言。

ガスがかかっていた中大日岳と奥大日岳もくっきり見えた。その麓には火山ガスを噴出し続ける地獄谷。

同じような写真を何枚も撮るものだから、なかなか前へ進めなかった。

他のハイカーの姿もなく、至福の時間を過ごした。

南側を振り返ると、富士ノ折立の岩稜がそびえる。右奥には、雄山神社の峰本社も見える。

東側、内蔵助カールの向こうには後立山連峰。五龍岳と鹿島槍ヶ岳の山頂部には雲がかかっていた。

ナデシコ科のイワツメグサ。

ゆるやかな坂を上りきって、雷鳥沢へ続く「大走り」ルートとの分岐を通過。

真砂岳の広くながらかな稜線は、歩いていてとても心地よかった。

別山乗越から別山、別山北峰と続く稜線。この先のルートを一望して、まだ上りがあることに疲労を覚えた。剱沢キャンプ場に着く時間も少し気になり始めた。

14:35 真砂岳(2,861m)の山頂手前の分岐を別山方面へ向かう。東側には五龍岳と鹿島槍ヶ岳が見えていた。

真砂岳を過ぎてしばらくすると、徐々に稜線の下からガスが湧き上がってきた。

リンドウ科のトウヤクリンドウ。

14:45 あっという間に周囲はガスに覆われ、視界不良となった。

別山までのゆるやかな上りが、本当にキツかった。

15:35 別山(2,874m)に到着。これで立山三山完登。展望はなかったが、静かな満足を覚えた。

15:45 下山開始。霧が濃くなり、時間同様、雨も心配になってきた。

15:55 分岐で剱沢方面へ下った。

ザックが重くてへろへろだったが、17時までにはテン場に着きたかったので、頑張って歩いた。

霧が晴れて、眼下に剱沢キャンプ場が確認できた。

幕営するまで雨が降らないことを祈って歩いた。

ユキノシタ科のミヤマダイモンジソウ。

16:40 剱沢キャン場に到着。広いテント場には空きがたくさんあったので、慎重に場所を探した。

別山の上に再び晴れ間がのぞいた。テント設営まで天気が持ちそうなので一安心した。

テント設営用の細いペグを忘れてきており若干もたついたが、石を利用してテントをしっかり固定した。すべて終えてテントに入った時は、動けないほど疲労していた。
食事の準備をする気力がなく、余ったおにぎりを食べて夕食とした。山でこれほど疲労を感じるのは初めてだった。明日の天気予報は悪い方へ変わってしまい、迷った末に早朝出発はしないと決めて寝た。
0時起床、0時半出発。雨の高速を走り、立山駅には6時10分に到着。未明には雷も鳴っていたが、富山県内に入る頃には雨も上がって、登山日和となった。ケーブルとバスを乗り継ぎ室堂に入ると、3,000m級の峰々が一大パノラマを織りなす景観にまず驚かされた。眺め渡すだけで愉悦に浸れる圧倒的なスケールと美しさは、まさに北アルプスを代表する絶景だと感じ入った。雄山山頂は小中学生でごったがえしていたが、その後は比較的静かな山歩きが続き、別山の手前でガスに覆われるまで、広大な北アルプスの眺めを堪能した。重いテント装備を背負っての歩行にペースは上がらず、コース・タイムに随分遅れたが、何とか17時前に剱沢キャンプ場へ入り、雨が落ちる前にテント設営を終えた。一段落する頃には、動く気力を失うほど疲れ果てていた。翌日の天気が崩れたことを知ってがっかりしたが、天候が好転する僅かな可能性に期待して、この日は早々に寝た。
夜は叩きつけるような豪雨と強風が続いた。テント内に雨水が浸水することはなかったが、忍耐力が試される厳しい夜だった。