2013年8月28日 水曜日

剱澤テント泊登山 2日目

前剱

2,813 m

 立山テント泊2日目。前夜は強風と豪雨に見舞われ、テントが浸水するのではないかと心配になるくらいだったが、未明には雨も上がり、疲れもあって比較的よく眠れた。前日の天気予報では昼前後に前線が通過して雨となり、午後に天気が回復するとのことだった。雨天のクサリ場は避けたいし、何より山頂の展望を楽しみにしてきたので、早朝の出発は諦めて、少し遅めに出で剱岳登頂を狙うことにした。

 朝食をゆっくり食べて9時40分に剱岳方面へ向かった。時折晴れ間がのぞくものの、雲と霧で視界不良の状態が続いた。予定通り前剱まで登って様子を見たが、天気が回復する気配はなく、時間的にもギリギリだったので、剱登頂は諦めて下山した。夕方になって多少天気が好転したが、結局この日は剱岳の姿を見ることはなかった。数日前の予報では、この日が一番よい登山日和のはずだったが、完全に当てが外れて残念な思いをした。

登山コースデータ
単純標高差 : 293 m
累積標高差 : 530 m
コース距離 : 4.1 km
標準コースタイム : 2 時間 45 分
歩行データ
総歩行時間 : 3 時間 50 分
総行動時間 : 5 時間 30 分

 コースタイム

剱沢キャンプ場 9:40 ⇒ 9:50 剱澤小屋 10:00 ⇒ 10:25 剱山荘 10:40 ⇒ 11:10 一服剱 11:15 ⇒ 12:15 前剱 13:05 ⇒ 13:55 一服剱 14:05 ⇒ 14:20 剱山荘 14:30 ⇒ 剱澤小屋 14:55 ⇒ 剱沢キャンプ場 15:10

3:30 起床 剱沢キャンプ場

テントを叩くような強風と豪雨で、夜中に何度も目が覚めた。テントを誰かが叩いているのではないかと疑うほど音が大きくて、テントを支えるポールも折れてしまうかもしれないと心配した。山で悪天となったときのテント泊がいかなるものか、厳しい洗礼を受けた。テントの底が濡れてきたので浸水も心配したが、四隅は完全に濡れていたがそれほど酷いことにはならなかった。テントの性能が大切だと実感させられた。

3時半には起きて、天気予報を確認。前線が通過して天気の回復は午後になることを知った。

5時を過ぎて明るくなった。幕が下りたように低い雲が広がり、剱岳はまったく見えなかった。それでも剱岳へ出発する団体はいた。

6:00 食事の準備を開始。プリムス・バーナーの着火装置が働かず、マッチを使用。すまく着火せず、何本も無駄にしてしまった。

昨日食べる予定だったアルファ米と角煮、雑炊などを食べた。のんびりコーヒーも飲んだ。

剱沢キャンプ場の水場。飲むことはできない。

少し離れた所にあるバイオトイレ。山のトイレとしては随分きれい。北アルプスはどこもトイレ設備がよい。

9:40 相変わらずの天気だが、これ以上遅くなると剱登頂の可能性はゼロになるので、とりあえず出発。

天気の回復待ちなので、ゆっくり歩いた。

野営場管理所の脇を通って行く。管理所の隣は富山県警の派出所になっていた。

一服剱のあたりまでは時々見えるが、上半分は真っ白な状態が続いていた。

数分で剱澤小屋に到着。

北側にまわって小屋の様子を見てみた。本来なら剱岳が眼前にそびえる最高の立地で、南側は防風の石垣でがっちり囲まれていた。

剱山荘に向かう途中の短い雪渓。踏み跡がしっかりしているので、アイゼンは必要なし。

ときおり陽が差し込んで明るくなるので、天気が回復するかもしれないと感じていた。

振り返った南東方面。中央は剱澤小屋。左奥の青屋根は文部科学省の登山研修所夏山前進基地。

剱山荘が近づいてきた。右上には一服剱(2,618m)も見える。人が立っているのが下から確認できた。

剱山荘でトイレを借りたが、水洗でびっくりするほど綺麗だった。

小屋近くに咲いていたキンポウゲ科のミヤマトリカブト。

ユリ科のコバイケイソウも咲いていた。

10:40 一服剱へ向けて出発。筋肉痛はなかったが、昨日の疲れで身体が重かった。

各クサリ場には、そこが何番目の場所か分かるように標識が設置されていた。

11:10 一服剱を通過。剱岳から下山してきた団体とすれ違ったが、やはり山頂は真っ白だったとのこと。

いったん武蔵(たけぞう)のコルまで下って上り返す。

ガスが出たり消えたりしていた。

キツイ傾斜が続く。

前日よりも荷物は随分軽いのに、とにかく身体が重たい。息を切らしながら上った。

下を見ると、流れて行くガスの中に一服剱が現れて、休んでいるハイカーの姿が垣間見えた。

落石に注意しながら、大岩の長いクサリ場を上る。

ガスが切れて後立山連邦が見えてきたが、またすぐガスがかかって見えなくなった。

このまま剱岳へ向かったら、何時に下山できるか逆算したりしながら上っていた。

12時を過ぎて、やっと前剱(2,813m)の山頂が見えてきた。思ったよりも時間がかかった上に、この状態で剱岳へ向かうのは難しいと感じるほど疲労を覚えていた。

12:15 前剱に到着。一服剱から1時間。山と高原地図のコース・タイム40分は厳しいと思えた。下山してきた団体は皆巻き道を通って行くので、2人組が通った以外は静かな時間を過ごせた。

おにぎりを食べてしばらく様子をうかがうが、ガスは深まるばかり。近いはずの剱岳さえ見えなかった。山頂だけは踏みたいという思いもあったが、この天候で剱岳へ向かうリスクを冒す気にはなれず、前剱での下山を決めた。

13:05 下山開始。

下りも落石に注意しながら慎重に進んだ。

ガレの急下降が続く。浮石が多いので油断できない。

息切れしない分、下りの方が体力的に楽だった。

武蔵のコル付近に咲いていたフウロソウ科のハクサンフウロ。

一服剱手前の上り返しはキツかった。ここでも前日の疲労を如実に感じた。

13:55 一服剱に到着。前剱からのコース・タイム30分は、上り同様に急がなければ無理と感じた。

10分休んで下山再開。

クサリ場で少し待たされたが、前の方が先を譲ってくれた。

霧はいつしか霧雨となり、このまま本降りになったらどうしようかと思ったが、すぐ雨は上がった。14:20 剱山荘に到着。

時々空が明るくなって晴れ間がのぞくなど、おかしな天気が続いた。

剱山荘と剱澤小屋の間に咲いていた花々。バラ科のミヤマキンバイ。

同じくバラ科のチングルマ。

ツツジ科のアオノツガザクラ。

タデ科のオンタデ。

前剱までしか行っていないのに、かなりの疲労を覚えた。さえない天気であることも心理的に影響したようだ。

15:05 管理所まで戻ってきた。

15:10 テント場に到着。剱岳は下から見ても真っ白で、やはりガスがかかったままだった。

16:45 いつ雨が降り出すか分からないので、早めの夕食にした。今晩のメニューはチキンとカレーライス。

夕食後は明日に備えて水汲み。塩素消毒済みの飲める水は、管理所の近くにある。

18時過ぎになると、雲と霧が晴れて、前剱までくっきり姿を現した。すぐ後ろの本峰まで見えるかと期待は高まったが…。

結局、剱岳の本峰は見えずじまい。明日の天気を確認すると、晴れのちくもり/雨と、早朝は晴れるがその後は変わりやすいとの予報。雨に降られるのは嫌なので、嫁と話して明日は晴れているうちにテントを撤収して早めに下山することにした。