西沢渓谷  4回目

 3時半起床、4時出発。家を出てからもどこへ行くか決めかねていたが、秩父を過ぎて山間部に入ってから雲が多くなったので、笠取山ではなく西沢渓谷を選択した。現地には6時半に到着。甲武信ヶ岳へ向かうとみられる団体など、朝からハイカーの姿が多かった。駐車場からしばらく広い道を歩くが、道路脇に自生した多様な樹木が目に付いた。緑豊かな渓谷内は心地よい沢の音と清涼な空気に包まれており、大小さまざまな滝と奇岩を眺めながらのトレッキングには、五感を蘇生させるような気持ちよさがある。五段ノ滝の上流部で食事にしたが、深緑の上に青空も広がって、これ以上ないほど心地よい時間を過ごした。食後に歩いた旧トロッコ道では体が重くなってきたが、初めて来たときに比べると随分楽に感じた。ニホントカゲを何匹も見られたのでヘビも見たいと思っていたら、最後の最後にでっかいアオダイショウが現れた。今回のハイクをさらに完璧なものとする嬉しい驚きであった。
 帰りの国道140号はツーリングバイクの多さに辟易したが、秩父市内もスムーズで、ほぼ3時間の運転で帰宅することができた。途中、あまりの眠さにコンビニで仮眠を取ることになったが、3連休の最終日に自然の中へ出かけられてよかった。


登山日/天候

2009年7月20日 月曜 / くもり時々晴れ

ルート所要時間

村営無料駐車場6:40→迂回路分岐7:00→二股吊り橋7:25→三重ノ滝7:40→貞泉ノ滝8:10→七ツ釜五段ノ滝8:40→8:55(食事)9:15→西沢渓谷終点9:30→大展望台10:00→山ノ神10:35→迂回路分岐11:40→村営無料駐車場12:00

難易度データ (≒)

標高差 : 250m / 累積標高差 : 720m / 歩行距離 : 8.8km / 標準歩行時間 : 3時間40分




自宅を出たときはまだ暗かったが、すぐに明るくなってきた。三日月がくっきり見えていた。#

広い駐車場はすでに3割程度埋まっていた。ナレイ沢広場の前後では、樹木の多様性に目を惹かれた。#

波状の縁が特徴的なブナやイヌブナ、大きな掌状複葉のトチノキもそこかしこで見かけた。#

スプーンのような葉が特徴的なダンコウバイと、沢沿いの道でよく見かけるフサザクラ。#

ハリエンジュとあってピンとこなかったが、ニセアカシアの別名だった。アメリカ原産で卵型の羽状複葉をもつ。#

ウラジロノキかと思ったらヤマハンノキだった。確かに樹皮は裂けていない。果実や花芽が一年中つくらしい。#

ホソエカエデ。葉も樹皮もウリハダカエデにそっくりだが、葉柄が赤いことで見分けがつく。#

バッコヤナギは初めて見た。葉は互生で波状の鋸歯がある。しわ模様の葉が特徴的。老木の樹皮は縦に裂ける。#

二俣吊橋を渡り、いよいよ渓谷美の世界へ近づいて行く。前後に数名のハイカーが歩いていた。#

対岸の大久保の滝を遠くに見てから階段を上ると、三重の滝まではもうすぐ。#

三重の滝の観瀑台へ向かう。先客がちょうど移動したので、ゆっくりと滝を楽しめた。#

落差はないが、水量は豊富でとエメラルドグリーンの川床が美しい。#

三重の滝からは笛吹川に沿って渓谷内を歩いていく。ひんやりした風と渓流の音が心地よい。#

人面洞を過ぎてしばらく歩くと竜神の滝が見えてくる。その脇を上っていくと恋糸の滝が樹間に見えて、さらに上る。#

上りきって下ると、次は貞泉の滝が見えてくる。近くまで行くとその迫力がダイレクトに伝わってくる。#

西沢の侵食によってできた母胎渕。滝壺の底から湧き上がる雲のような泡に目を奪われた。#

さらに歩くとカエル岩が現れる。口からゲロを吐いているように見えるのは私だけだろうか。#

方杖橋を渡り、深緑の中を上っていく。今度は右手に渓流を見ながら進むことになる。#

西沢渓谷最大の滝、「七ツ釜五段の滝(下部)」。さすが日本の滝百選、素晴らしい眺めである。#

歩いてきた橋を右手に見ながら巻くように上ると、七ツ釜五段の滝の上部がよく見える場所に出る。#

七ツ釜五段の滝の上部。空も晴れてきて、滝壺の綺麗なグリーンが美しい。#

形や向きが異なる滝が段々畑のように続く。自然の見事な造形。#

七ツ釜五段の滝からしばらく行くと、川原に降りられる道があったので、降りてみることにした。#

場所も時間も丁度良かったので食事にした。山頂で食べるカップ麺に匹敵する美味しさだった。#

滝の上展望台までキツイ上りが続く。ひと汗かいてベンチとトイレのある折り返し地点の展望台に到着。#

帰りは木材搬出に使われていた旧トロッコ道をいく。よく整備された道のところどころにレールが出ていた。#

さわぐるみ橋の上から、鶏冠山(とさかやま)がよく見えた。笠取山でもよかったかと、少し惜しい気もした。#

旧トロッコ道には小さな橋がたくさん架かっている。足元の金網を覗くとゾクゾクした。#

大展望台からの眺めは木々に遮られていた。4号橋の向こうに山の神が現れる頃には疲れを感じ始めていた。#

もうそろそろかなと思っていると、林道に出た。#

林道に出ると日差しの強さを感じた。山側のコンクリート壁にミドリヒョウモンがとまっていた。#

コンクリート壁の隙間は、ニホントカゲたちの棲み家になっていた。警戒してなかなか出てこない。#

綺麗な尻尾をうねうねとくねらす幼体を捕まえようと、しばらく奮闘したが徒労に終わった。#

30分ほど道草をしてから子酉(ねとり)大橋を渡り、ナレイ沢広場ヘ。次はヘビだと探しながら歩いたものの、ゲートの手前まできてしまった。#

ふと横を見るとのっそり動く大きなヘビの姿が。ゲートを出た嫁を思わず呼び戻した。#

アオダイショウは木の根元に巻きついて静止した。最後に大物を見て、大満足で帰路についた。#