【坂東三十三観音】第9番 都幾山 慈光寺

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埼玉屈指の古刹・慈光寺を参拝してきた

三連休の中日に、ときがわ町の巨樹めぐりとセットで、埼玉県屈指の名刹にして文化財の宝庫と言われる慈光寺を参拝してきた。

お寺へ続く慈光坂の途中で、鎌倉から室町時代に建立された青石塔婆 (あおいしとうば) を見て、さらに上った先にある開山堂と鐘楼に寄ってから観音堂などを見て回った。

宝物館では住職の方に色々とお話をうかがい、源頼朝の帰依と庇護を受けて隆盛を極めた慈光寺の話や、お寺を中心に広大な門前町が栄え、建具や和紙、お茶などの産業が興ったということを教えていただいた。

当寺の梵鐘 (国指定重要文化財) が、建長寺の国宝梵鐘や鎌倉大仏の鋳造にかかわった物部重光であることなども話してくださったが、きさくで話好きのご住職であった。

都幾山 慈光寺とは

慈光寺は、秩父山地の東端に位置する都幾山 (ときさん) の東側中腹にある。寺の縁起などによると、興福寺の僧・慈訓 (じくん) が673年 (白鳳2) に千手観音像を刻んで本尊として祀ったことに始まる。その後、鑑真和上の弟子・釈道忠が慈光寺を創建したと云われる。

平安時代になると、清和天皇から「天台別院 一乗法華院」の勅額を賜るほど栄え、鎌倉時代には源頼朝の祈願所となり、田畑1200町歩の寄進を受けて、75坊を擁する大寺院として隆盛を極めた。

室町時代になると寺運は衰えたが、徳川時代には寺領100石が与えられて29坊を擁していた。


1985年 (昭和60) に釈迦堂や蔵王堂などを焼失してしまったが、国宝の慈光寺経 (紙本法華経一品経 しほんほけきょういっぽんきょう) や、重要文化財の開山塔や銅鐘など、数多くの寺宝を有する県内屈指の古刹である。

宗 派 天台宗
御本尊 十一面千手千眼観世音菩薩
所在地 比企郡ときがわ町西平386
連絡先 0493-67-0040
納経時間 4月~10月 8:00~17:00(12:00~13:00昼休)
11月~3月 9:00~16:00(12:00~13:00昼休)
駐車場 駐車場あり

【御詠歌】聞くからに 大慈大悲の 善光寺 誓いも共に 深きいわどの 🎵

2021/9/19 (日) 参拝の記録

慈光坂の途中にある山門跡に、青石塔婆 (あおいしとうば) が並ぶ。
鎌倉時代から室町時代のかけて造られた供養塔で、大きなものは2mを超える。
青石塔婆6基。左から2番目は石仏。ちなみに青石とは、荒川などで産出する緑泥片岩のこと。
真ん中の2基が青石塔婆。青石塔婆は全部で9基あり、1基は本堂に安置と案内板に書かれていた。
山門跡に咲いていたヒガンバナ。
慈光寺の駐車場に到着。
案内に従って境内へ入る。
慈光寺の山門 (中門) は、江戸時代後期に建立された四脚門。
山門をくぐると正面に本坊 (納経所) があり、右の本堂につながっていた。
本堂の右手にある「時の鐘」。2004年 (平成16) の再建。
本堂には阿弥陀如来が祀られている。
本堂前のタラヨウ (多羅葉) は、県指定天然記念物で、慈覚大使・円仁 (794-865) が植えたものと伝えられる。
本堂の前を通って、西側の観音堂へ向かう。
足元に咲いていたシュウカイドウ。
石段の上では、ニホントカゲが日向ぼっこをしていた。
「紺紙金字一字宝塔心経」(左上) と弘法大師筆「隅寺心経」の写し。
順路に従って観音堂へ向かう。
観音堂のある高台に到着。
1810年 (文化7年) 頃に再建された観音堂。
扁額は観音堂を意味する「大悲閣」。彫り物の意匠は豪華絢爛の一言。
素晴らしい欄間彫刻に目を奪われた。
扁額の下には龍の彫り物。
外陣左の欄間には風神の彫り物。
往時は天井画も綺麗だったのではなかろうか。
伝・左甚五郎作「夜荒らしの名馬」。夜になると畑を荒らすので、観音堂に吊し上げられたと云う。

観音堂の厨子内には、本尊にして秘仏の十一面千手千眼観音菩薩が祀られている。開帳は毎年4月第2日曜日と4月17日。
おびんつる様。
別角度から眺めた観音堂。
ほれぼれするようなカッコよさ。
海老虹梁の意匠も見事。
手水舎と石塔。その向こうには東京のビル群が見えていた。
龍の手水舎。
観音堂の正面にあった石段。
境内の石仏と石碑。
ひと通り見て回り、来た道を戻った。
途中の舗装路を右へ進み、観音堂正面の石段下まで来てみた。
観音堂正面のかなり急な石段は、約110段あるらしい。
石段下の近くにあった「阿伽の井」。かつては慈光寺山中に七つの井戸があり、現存する3つのうちの1つ。
現存するもう1つの井戸、「月の井」もすぐ近くにあった。
順路に戻り、般若心経堂へ。右に見えるのは如意輪観音を祀ったお堂。
般若心経堂の中の様子。誰もいない静かな空間で、しばし書の世界を楽しめた。
堂内には慈光寺経などを拡大したレプリカが、多数展示されていた。
般若心経堂で出たところに、「申八梵王 (さるはちぼんのう)」が祀られていた。
帰りに宝物館に寄った。住職のお話を聞いてから、国宝の慈光寺経や重文の密教法具などを拝観した。
来る途中で開山堂などは見て来たが、順路にしたがってもう一度行ってみることにした。
1992年 (平成4) に設置された「空海書 破体心経」の石碑。
少し下ると鐘楼の屋根が見えてきた。
1990年 (平成2年) に再建された鐘楼。
1245年 (寛元3年) 、東国の名工・物部重光が鋳造して、慈光寺に奉納した銅鐘の梵鐘。
開山堂には、慈光寺開山の釈道忠を葬ると伝わる木造宝塔が収められている。
開山堂の隣の空き地は、かつて釈迦堂と蔵王堂があった場所。
駐車場に戻って、この後ときがわ町の巨樹めぐりをした。

※ これから観音巡礼を考えておられる方は、坂東三十三観音 公式サイトなどで最新情報をご確認ください。公式サイトには観音巡礼についての基本的な情報が網羅してあるので、とても役に立つと思いますよ !

[ アクセス情報 ] 埼玉県道172号大野東松山線を白石峠方面に向かい、宿信号を右折して慈光坂を上った先にお寺の専用駐車場がある。
青石塔婆は、ちょっと手前の路肩に1台停められるスペースがあるので、短い時間なら停められる。開山堂の前も少し道が広くなっているので、お寺の専用駐車場まで行く前に路駐して、先に見ることもできるだろう。尚、慈光坂の上り口に女人堂があるので、近くの「ときがわトレッキングコース」専用駐車場を利用したかったが、訪問時 (2021.9.19時点) は閉鎖中だった。
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