本書「雑木林のフシギ」について
奥武蔵の学校で15年間教師をしていた「ゲッチョ先生」こと盛口満先生が、身近な雑木林で見かける生き物たちについて、あれこれ教えてくれます。
ドングリから始まり、オトシブミなどの小さな昆虫や冬虫夏草の話、コナラなどの樹々や果物、アナグマなどの哺乳類に野鳥まで、雑木林のあらゆるフシギが話題となります。
雑木林や公園へ出かけるのが楽しくなること間違いなしの一冊です。
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感想あれこれ
ただ知識として教えられるのではなく、作者の体験談や子供たちとのエピソードが読み物としての面白さにつながっています。これは何だろう ? という好奇心から始まる展開が多いので、読み手であるこちらも自然と話しに入り込んでしまう。好奇心がそそられるような切り口は、教員時代に培われたものだろうと感じました。
ひとつの話題に対して3ページのエッセイと、1ページのイラストとなっている。これがいい塩梅で読みやすい。何でも詳しく書けばよいというものではないわけで、もう少し自分で調べたくなるような知識にとどまり、やたら詳しい人の長話になっていないところがよい。知識を伝えることよりも、好奇心を刺激することに重きがあると感じました。
話題になった昆虫や生き物の姿も、写真ではなくイラストなので、自分が調べてみたくなるのです。実際に知らない生き物が出てくるたびにGoogleで画像を調べて読み進めましたが、今度公園へ出かけたらオトシブミがいないか注意して見てみようとか、そういう感覚になるのです。
いつの間にか、私もゲッチョ先生の生徒の感覚になっていて、タイトルどうりに、教えてゲッチョ先生 ! と言いたくなるのです。埼玉県飯能市の自由の森学園で教えていたとのことですが、ここでゲッチョ先生に教えてもらった生徒たちは楽しかっただろうと思います。子供時代に会いたかったと思える先生ですが、このような本を出してくれてよかったと思います。
Learn as if you were to live forever. (永遠に生きるように学べ) とガンジーは言っています。遅ればせながら、私もゲッチョ先生の生徒の気持ちで、もっと身近な自然について学びたいと思います。