2023年2月 【DIY】机を作る

ついに自室の机を作るところまで辿り着いた。自分好みの大きな机を作ることは、壁一面の本棚とともに引っ越し前からの切実な願望であった。

本を読むことに集中して、文脈をとらえて作者と対話するかのように考える。これは長年の習慣で、普段の生活で人と話す機会が少なくてもそれほど苦にならないのは、読書という趣味を持っているからだと思っている。

自分が今よりずっと年を取って、大変なことがうんと増えて、たとえ孤独な環境に置かれたとしても、壁一面に並ぶ本の背表紙を眺めて1冊の本を手に取れば、いつだって旧友に会ったかのように心の対話が楽しめるだろう。

本を読むのに疲れたら、大きな机の上で勝手気ままに絵を描いてもよいだろうし、想像の世界に浸りながら模型作りを楽しんでもよいだろう。

自分だけの豊かな時間を過ごすための部屋があって、そこに大きな机と本棚があれば、それに越したことはない。そうした思いは「書斎」と言われる空間への甘美な憧れにつながっていて、随分昔から「書斎」と呼べるような自分だけの部屋を持ちたいと考えていた。

そんなわけで、どんな机を作るか考えを巡らすのは楽しいことであり、実際の作業もいつも以上に楽しめた。

目次

基本設計と材の購入

引出しラックとパソコンラックを左右に置いて、その上に大きな天板を載せるという構造はすぐに決まったが、天板のサイズをどうするか、プリンターの収納を含めたパソコンラックの仕切りをどうするかなど、詳細がなかなか決まらなかった。

厚紙で簡単な模型を作ってイメージを膨らませて、やっと最終的な形を決めたが、模型を作ることは作業手順を考える上でも役に立った。

全然イメージが固まらないので、厚紙の模型をいくつか作って考えた。
形がだいたい決まってから、各パートの大きさや作業手順を考えた。

各パートの大きさは、手持ちの端材を念頭に置きながら、なるべく新たに購入する材が少なくて済むように、あれこれ考えながら決めていった。

雑なメモだが、これで十分。

今回購入した材

ラジアタパイン集成材 25×910×1820 
9,800円

ラジアタパイン集成材 19×910×1820 
7,480円

パイン集成材 15×450×1820 
4280円

キャスター 420G-UR25 
@128×4 512円

引き出しスライドレール 400mm 3段引 
@1699×2 3,398円
   
合計 25,470円

天板は25mm厚のラジアタパイン集成材を使い、長さ1820mm、幅660mmとした。

引出しラックとパソコンラックは19mmの集成材を使い、高さは690mmでそろえて、奥行はどちらも450mm、幅はそれぞれ内径400mmと420mmにした。

引出しは3段として、下段は19mm厚の集成材ですべて作成し、上段と中段は化粧板のみ19mmの集成材を使い、側板や底板など残りの部分は15mm厚の集成材で作ることにした。

部材を切り出して研磨する

必要な部材を卓上丸ノコでカットする。幅300mmを超えるものは、丸ノコでカットした。
両サイドの側板や棚板など、カットし終えた部材。
切り出した部材は、240番のサンドペーパーを使って、ランダムオービットサンダーと手で研磨した。

パソコンラックの組立て&塗装

端材を利用してパソコンラックの中の小さな台を作る。基本的にすべてダボ継ぎで接合していく。
パソコンラックの側板を棚板で接合する。ダボ継ぎして外側からビス打ちした。
ボンドが乾くまで直角クリップで固定する。
パソコンラックの上部は側板間に端材をはめて補強した。
外側からビスを打ったところは、ダボで埋木しておく。
埋木したダボがしっかりくっついたら、アサリなしのノコギリでカットする。
ブライワックスのジャコビアンで塗装して、パソコンラックの土台が完成。

いつものようにオスモカラーでの塗装も考えたが、今回は、古材のようなヴィンテージ感を出してくれるBRIWAX (ブライワックス) のジャコビアンを選択した。

色移りなどの問題もあるようだが、塗装後の後始末が簡単だし、何より色がよい。タワシでゴシゴシ磨き上げると、何とも言えない渋い光沢が出てくるのだ。

机は今後何十年も使うつもりなので定期的な手入れは欠かせないが、手をかけることでますます愛着が沸いてくるだろう。

配線コードもパソコンラックの中に収めるつもりなので、10個口の細長い電源タップを購入して、棚板の奥に取り付けておいた。

プリンター台を作成する

パソコンラックの下部にはプリンターを収納するので、そのためのキャスター付きのプリンター台を作成する。

プリンターを載せる大きさには足りないものの、25mm厚の集成材で少し大きめの板が残っていたので、端材を足してプリンター台を作ることにした。

畳ベッドを作った時に出た端材を、プリンター台用にカットする。
ボンドを付けてダボ継ぎする。
適当なクランプがなかったので、紐で縛って圧着した。
接着後、カンナで表面を平らにして、角を面取りした。
BRIWAXジャコビアンで塗装してからタワシで磨いた。
許容荷重は1個10kgのキャスターを取り付ける。
キャスターの取付け完了。
取っ手も付けた。娘宅用の食器棚を作った時に不採用とした取っ手を流用した。
プリンター台はできたが、プリントアウトするときの固定具を考えないといけないかも。

引出しラック (枠) の組立て&塗装

引出しラックをダボ継ぎで仮組み。隙間ができないように、カンナなどで微調整する。
手元にあった端材を利用して、幕板をつけた。
いったんばらしてBRIWAXで塗装する。
塗装後、引出用のスライドレールを取り付ける。
上段と中段はベアリング式で、下段は引出しを脱着できるローラー式。

上段と中段については、少し贅沢をして、動きのスムーズなベアリング式のスライドレールを新たに購入した。

下段については、娘宅用の食器棚を作った時に購入して使わなかったローラー式のものが残っていたので、それを付けることにした。机を移動することがあった場合、重いものを入れがちな下段の引出しは、取り外しができた方がよいのでちょうどよかった。

スライドレールを取り付けてから、ボンドを付けて本組みをした。
自作クランプで圧着したが、使いづらいので、大型クランプを買うか、使いやすいモノを作る必要がありそうだ。
引出しラックの枠が完成した。

3段の引出しを作成する

下段の引出しを作る

卓上丸ノコで引出し用の材をカットする。
組立て前に研磨する。ペーパーは240番。
ダボ継ぎで組立て。きっちり合わせたいので、ダボマーカーで印をつけた後で、さらにキリで穴をあけた。
仮組みして確認する。
ボンドをつけて本組み。下段は底板も含めてすべて厚さ19mmの集成材を使った。
化粧板はボーズ面トリマーで面取りしておいた。
BRIWAXジャコビアンで塗装して、タワシでゴシゴシする。
引出しの側板と底板にL字のレールを取り付ける。取付位置を測る必要がないのでとても簡単。
引出しラックの下段にピタリと収まった。
引出しの前板に、内側から化粧板を取り付けるための下穴をあける。
平行を確認しながら、丁度よい高さに化粧板を当てて、前板の下穴から化粧板にも下穴を開ける。
引出しを取り出して、化粧板を適当な長さのビスで取り付ける。ズレないように慎重に作業した。
最後に化粧板側から穴を開けて、取っ手をつけた。

上段と中段の引出しを作る

上段と中段は厚さ15mmの集成材で作った。同じサイズなので、同じ部材を2セット切り出し。
化粧板は下段と揃えるために19mm厚の集成材をつかった。これもボーズ面トリマーで面取りする。
丁寧に作業する。15mmの集成材は余りがほとんど出ない計算だったので、失敗はできない。
仮組みして確認。
今回は本組み前に、前板に化粧板を取り付けるための下穴をあけておいた。
ボンドを塗って本組み。
数時間後にBRIWAXのジャコビアンで塗装した。
深みのあるジャコビアンの色味に魅せられながら、タワシでゴシゴシする。
下に板を載せて、高さを見ながら引出しの位置を決めた。
平行もきちんと確認しながら、引出しの取付位置を決める。
印をつけた位置に下穴を開けて、スライドレールと引出しを付属のネジで固定する。
下段と同じように化粧板と取っ手を取り付けて、上段と中段の引出しも完成。

天板を加工する

天板の角を丸ノコでカットして、カンナで面取りをした。
全体をランダムオービットサンダーで研磨する。ペーパーは240番。
以前、塗装のときに台として利用した端材をカンナで削って綺麗にした。
綺麗になった端材を、天板の裏につけるガイドとして利用する。
天板の裏に、両サイドのラックを固定するガイドと、配線を隠すための横棒を取り付けた。

反り止めなども付けようかと考えたが、集成材はあまり反らないようなので、とりあえずは付けないことにした。天板が反るようなことがあれば、そのときに対策を講じようと思う。

両サイドのラックと天板はダボで固定することにしたが、天板が重たいのでやり方を考える必要があった。

①ミニ脚立に端材を重ねて、ラックよりも高い位置に天板の支えを作る。②ダボマーカーをダボ穴に入れたラックを天板の下に滑り込ませて、ラックを天板裏のガイド位置に合わせる。③ミニ脚立の上の端材をどけて、天板裏にダボマーカーで印をつける。

以上の作業を両サイドで行ってから、天板の裏にタボ穴を開けた。

しっかり天板が収まった。
天板もBRIWAXのジャコビアンで塗装する。
裏側にジャコビアンを塗ってタワシで磨く。
天板の表は、これでもかと徹底的にタワシで磨いた。
ブラシ掛けで腕が痛くなったが、仕上げは上々。我ながら見事な天板になった。
両サイドのラックに、傷防止用のフェルトをつけて完成。

大きな机なので、天板はボンドで固定せずにタボだけで固定し、いつでも解体できるようにした。

机を自室に設置する

机周りの壁を刷新して、正面に2段の棚とサイドに有孔ボードを設置してから机を設置した。

L字型の机になるように、パソコンラックの前にはサイドテーブルも作る予定だが、ひとまずこれで完成。
とてもよい感じ。感無量です。

出来上がった机を見た妻は、「すごく仕事のできる人の机みたい」と言っていたが、それは少し違う。

大きな机を有する私にとっての「書斎」とは、仕事をする場所や何か立派なモノを生み出すための機能的な場所ではなく、もっと個人的で、自堕落な空間と言えなくもない場所なのだ。

自由気ままなに遊べる、ごく小さな自足した世界を目指したもので、しいて言えば、子供の頃に憧れた秘密基地のようなものに過ぎない。だが、そこに安らぎのロマンがあるのだ。少なくとも私はそう信じている。

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