2013年8月4日 日曜日
蝶ヶ岳
2,677 m

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コースタイム
三股駐車場 4:05 ⇒ 三股分岐 4:25 ⇒ 6:05 まめうち平 6:10 ⇒ 8:50 蝶ヶ岳 10:10 ⇒ 10:55 蝶槍 11:40 ⇒ 11:45 2664.3mピーク 12:00 ⇒ 12:30 蝶ヶ岳ヒッュテ 12:35 ⇒ 14:35 まめうち平 14:40 ⇒ 三股分岐 15:35 ⇒ 三股駐車場 15:50
前夜 19:20 三股 無料駐車場

前夜に三股入り。路駐の車がかなり下まで点在していたが、駐車場は半分くらい空いていた。
登山当日 3:00 起床

翌朝4:05に駐車場を出発。登山口に案内板がなくて、後続のヘッドライトを見るまでは不安だったが、20分ほどで登山相談所に着いた。用意していた登山届を出して先へ進むと、三股分岐はすぐだった。
吊り橋を渡り、沢沿いの水浸しになった山道を進む。4:50 最後の水場である力水を通過。

5:00 ゴジラみたいな木を通過。ヘッドライトはこの手前で必要なくなった。

沢を離れてからは緩やかな上りが続く。朝陽がスポットライトのような橙色の木漏れ日を作り出していた。

5:40 樹林の切れ間から北西側に前常念岳(右)と常念岳(中央)が見えた。歩き始めは身体が重たかったが、ゆるやかで歩きやすい道が続いたことで、そのうち調子が出てきた。

6:05 まめうち平(標高1,900m)に到着。行動食と水分を摂って、しばらく休憩した。

丸太を渡した泥濘を進む。まめうち平からは平坦な道がしばらく続くので、心身ともによいアクセントになった。

木の根元にひっそり咲いていたギンリョウソウ。ロウ作りのように全体が白く半透明。

線香花火のようなモミジカラマツ。ミヤマカラマツと似ているが、葉の形が違う。

20分ほどすると傾斜が出てきて、本格的な上りになった。他のハイカー集団と抜きつ抜かれつしながら進んだ。

キク科のミヤマアキノキリンソウ。アキノキリンソウの高山型で、別名コガネギク。

けっこう岩ゴロが多くて、歩きづらい箇所も出てきた。急坂が続くので、汗だくになって上った。

ミヤマキンポウゲ。シナノキンバイやミヤマキンバイと似るが、ロウを塗ったような光沢と葉の形で見分けられる。

変わった形のオオヒョウタンボク。スイカズラ科。

8:15 標高2,500m地点の最終ベンチを通過。この前後は高山植物が多かった。

左に蝶槍、右に常念岳。8時をまわって降りてくるハイカーとすれ違うことが多くなった。何となく空気の薄さを感じていたが、降りて行く人のもうちょっとですよーとの掛け声を励みにして、せっせと上った。

タカネニガナ。葉が茎を抱かないことで見分けられるが、ニガナ類は同定が難しい。

ゴゼンタチバナ。輪生した6枚の葉の上に、白い4枚の苞(ほう)があり、しべ状の中央部分が花弁。

シオガマ類はいろいろあるが、これはエゾシオガマかな。

ウサギギク。うさぎの耳のような葉をつけるのが名前の由来。

ハクサンフウロ。よく見かけるが、色と濃淡に幅がある。これは白地に淡いピンク色。

クルマユリ。花が目につくと、パッと撮って先へ進むので、ピントの合っていない写真が多かった。

ツマトリソウ。こちらは完全に露出オーバー。花の写真は露出調整に気を配る必要がある。今回の反省点。

数年に一度、群生をつくるコバイケイソウ。思ったよりも高山植物が多くて大忙しだった。

8:35 大滝山との分岐に到着。樹林帯を抜けて、ここで一気に展望は開けるが、空は曇天だった。

まさかの天気に不安を覚えながら山頂へ向かう。登山道の周囲に高山植物が群生していた。

ミヤマキンバイ。似た花は多いが、葉が3枚に分かれていることなどで見分けられる。

シナノキンバイ。ミヤマキンバイよりも花が大ぶりで、葉が細かく裂けて5つに分かれている。

鈴のようなアオノツガザクラ。コイワカガミと一緒に、群生していた。

コイワカガミ。アオノツガザクラのそばで輪を描くように群生していた。

背後に見える東側の安曇野市にも雲が広がっていた。

灌木帯を抜ける。山頂は近いと分かっていたが、曇り空に気分は下降気味であった。

大きな輪状の葉が特徴的なキヌガサソウ。女王の風格です。

稜線の先に雲に隠れてしまいそうな常念岳が見えた。

左に蝶ヶ岳ヒュッテ、真ん中あたりに蝶槍、右奥に常念岳と前常念岳。いまにも雨が降りそうな天候だったが、たくさんのハイカーが蝶槍の上で休んでいるのが見えた。

8:50 山頂部にある広いテン場を通過。残っているテントは5張のみだった。

山頂の位置が分からないので、とりあえず蝶ヶ岳ヒュッテへ向かった。

ヒュッテを通過して北側の小高いピークへ向かった。

北側のピークには方位盤が設置されていたが、山頂標はなかった。南側のピークが山頂と分かった。

そのまま北側の蝶槍へ向かうことも考えたが、ガスが湧いてきたので、まず山頂へ行くことにした。

間近にそびえるはずの穂高連峰も雲の中。

ヒュッテの南側にある山頂標を入れて記念撮影。この頃には小雨がぱらついてきた。

午前中は晴れの予報が、雨になるとは。がっかりしながら蝶ヶ岳ヒュッテへ。

蝶ヶ岳ヒュッテの戸口に座れるスペースがあったので、そこで天候の回復を待つことにした。おにぎりを食べて、ひたすら待つが雨は止まない。隣のベンチに腰かけていたカップルは早々に下りて行った。30分経って雨が霧雨になったので、外へ様子を見に出た。北側の方位盤まで歩いて常念岳方面を確認するが、山は雲に覆われたまま。
もう下山しようと考えていると、野鳥のさえずりがふと耳についた。いったん気づくと、随分元気でやかましい。 これは晴れる! と直感して、すぐ蝶槍へ向こうことにした。

10:10 ヒュッテを出た。稜線は風が出始めて、霧が流れて行く。再び穂高連峰の山腹も見えるようになってきた。

蝶槍にハイカーの姿はほとんどなくなったが、雨が止んで稜線上を歩くハイカーがちらほら出てきた。

チシマギキョウ。イワギキョウにそっくりだが、花に白い毛があるのでチシマギキョウだろう。

ミヤマダイコンソウ。ミヤマキンバイに似るが、円形に見える根生葉で見分けられる。

10:40 横尾との分岐を通過。ここを西へ下ると梓川に出られる。

振り返ると、蝶ヶ岳の山頂部はまだガスに覆われていた。やはりダメかと思いながらも先へ進む。

三角点のある2,664.3m地点を超える。

蝶槍が近づいてきた。

10:55 蝶槍に到着。とりあえずリュックを下ろして様子をうかがう。

ゆったりとくつろいで天気の回復を待った。

10分ほどして青空が少し見えてきたと思ったら、ものの数分で晴れ間が広がってきた。西側の穂高連峰方面。雪渓もよく見えるようになって、テンションが上がった。

真ん中左が横尾尾根で右が槍沢、左が横尾谷。槍沢の奥には槍ヶ岳が見えるはずだが、どうしても稜線上の雲が取れない。大キレットも確認できたが、最後まで山頂部だけは見えなかった。

南側の蝶ヶ岳に続く稜線も霧が取れて見通せるようになり、気分も晴れ晴れしてきた。

雲とガスの中に見えなかった北側の常念岳と前常念岳も、ついに姿を現した。登った甲斐があったと静かな喜びを感じ、山の神様に感謝した。

山頂で休んでいた他のハイカーもにわかに活気づいて、時間とともに数も増えてきた。

撮りましょうかと声を掛けてくれたお姉さんに、写真をお願いした。

11:40 下山開始。下山にかかる時間を逆算して出発することにした。

陽光が出て青空が広がると、まるで景色が違ってくる。爽快な気分でなだらかに続く稜線を歩いた。

槍穂の山頂部がいまにも見えそうなので、2664.3mピークでもう少し待つことにした。

常念岳の左隣に大天井岳と東天井岳が見えてきた。

15分ほど待ってみたが、逆に雲が多くなってきたので、やむなく先へ進んだ。

12:05 横尾の分岐を通過。復路はとても早く感じた。

蝶ヶ岳ヒュッテ北側の方位盤まで来て振り返ると、常念岳に再び雲がかかっていた。

12:30 蝶ヶ岳ヒュッテに到着。トイレを借りてから先へ進んだ。

ガスがまた出てきたので、未練を感じることなく稜線を下りた。

樹林帯に入ると急な下りが長々と続く。よくこんなに上ったと、下りになるといつも感じる。

岩ゴロが多くて歩きづらかった。まめうち平までのコースタイムは100分だが、ちょっと厳しい気がする。

樹間から見えた前常念岳は、ガスに覆われていた。

途中で膝をひねった嫁は、「ダメ! これはダメだ!」と断言していたが、数分後には普通に歩いていた。

水気のあるところに群生するオオバミゾホオズキ。

平坦な泥濘帯に入ったのでまめうち平は近いと思ったが、けっこう時間がかかった。

14:35 まめうち平に到着。にぎやかな4人家族が休んでいた。5分休んで先へ進んだ。

まめうち平からは歩きやすい傾斜が続いたので、どんどん飛ばした。

ヒメキマダラヒカゲ。我々の後をずっと付いてくるので、しまいに嫁がばばちゃんだ、はばちゃんだと言い出しました。

15:20 力水を通過して、沢のように水がつたう登山道を下る。まめうち平からはひじょうによいペースで歩けた。

ゆらゆら揺れる吊り橋を渡る。

下の本沢は流れが急で水量も豊富だった。

ヤマアジサイ。山中の沢沿いによく見られることからサワアジサイとも呼ばれる。

15:35 三股の分岐を通過。登山相談所はしまっており、登山者2人が休んでいた。

駐車場までは林道歩き。久しぶりの登山だったが、最後までしっかり歩くことができた。

15:50 三股の駐車場に到着。朝に埋まっていた駐車場も半分以上空いていた。10分で身支度を整えて家路を急いだ。
土曜日16時過ぎに自宅を出発、三股に19時20分到着。その日は車内泊をして翌日の登山に備えた。車内は暑かったので、虫よけネットをセットして、窓を半分開けて寝た。夜中に車が入ってきたり、鼻水が止まらなかったり、停めた場所に傾斜があったり、ひじょうに寝苦しい夜だったが、必要最低限の睡眠は確保できた。
当日は3時起床、4時過ぎに登山スタート。2ヵ月ぶりの登山にしては、順調に歩くことができた。山頂稜線に出ると小雨が降り始めたので、蝶槍は行かずに降りることも考えたが、1時間待った後に、野鳥のさえずりを耳にして天気の回復を直感し、蝶槍へ向かった。蝶槍まで来たとたんに晴れ間がのぞいたときは、勘が当った嬉しさもあって一気にテンションが上がった。槍の穂先や、穂高の山頂部は見えなかったものの、晴れ間があると気持ちが全然違う。たくさんの高山植物も見られてよかった。
帰りの高速で渋滞に巻き込まれたが、酷い睡魔に襲われることもなく、4時間半の運転で帰宅できた。次は同じ三股から蝶ヶ岳と常念岳の日帰り縦走にチャレンジしてみたい。