体調不良
ここ数週間は色々あった。いま舵を切らないとまずいと思える問題がいくつも重なり、そのすべてに結論が出ないものだから、不眠症気味となってついには体調を崩してしまった。
40度超の高熱を出すなど、いつ以来だろうか。鼻水、喉の痛み、呼吸器の問題などは一切なく、ただ高熱と下痢の苦しみが続いた。症状からコロナとは関係なく、単なる風邪か、ウイルス性の胃腸炎と思われるが、布団の中でじっと耐えている間、さまざまな問題がぐるぐると頭の中をめぐり続けた。
精神的にも最悪の鬱状態だったが、体調がよくなっていくのと並行して頭もクリアに働き始めたようで、これはこういうことだな、と自分の中で明確になった事柄があった。
理詰めで導き出した理想的な答えではなく、ストンと腹に落ちるシンプルな考え方が見えたのだ。怪我の功名とはまさにこのことで、本質的な問題を白紙に戻して考えられた気がする。
物件探し
シンプルな答えのひとつは、入間市あたりに中古物件を買うということ。
八ヶ岳の麓である北杜市へいつかは移住したいと夢見てきたが、その一方で、登山における我が家のホームグラウンドである奥多摩・奥秩父へのアクセスがよい場所に移り住むというアイデアが、以前から頭の片隅にあった。
山の行き帰りで頻繁に通る入間市や飯能市あたりに住めば、奥多摩・奥秩父へのアクセスがいまよりずっと楽になるし、都市生活の利便性も保たれる。妻の通勤時間は長くなるが、駅までの送り迎えを私がして、テレワークで出社日数を減らすことができれば負担は限られたものになる。
場所と予算が決まり、間取りや周辺環境を含めた希望の条件が固まれば、候補となる物件を絞るのに時間はかからない。実際、買ってもよいと思える物件が、すぐに数件見つかった。
さまざまな住まい情報を調べていくうちに、入間市や飯能市のあたりは災害知らずで、地盤が強固であることもわかってきた。軍の基地があるところは、すべからず災害は少ないらしく、入間周辺も例外ではないということだ。
中古物件を見に行き、購入を即決 !
15日の発熱からほぼ回復した22日、ふと思いついて一番気になる物件を妻と見に行くことにした。不動産屋に連絡はしていないが、物件の正確な位置はGoogleマップで探し当てていたのだ。
現地でリフォーム済の外壁を見て、ますます当該物件を気に入った。南東角地であることは分かっていたが、小高い丘の一番高い並びに物件があり、道路から一段高い位置に家があるのでプライバシーも保たれる。
周囲も歩いてみたが、あたりは閑静な住宅街で、西側には散歩に丁度よいと思える木々に囲まれた丘陵地帯が広がる。すぐ近くの神社から秩父の山並みも見えて、居住環境としては申し分がなかった。
本当によい物件だと感じたのでその場で不動産屋へ連絡すると、受付の女性に替わって電話口に出た支店長が、午後に内見がいくつか入っている人気の物件だから、内見するなら今すぐがよいと言う。ではすぐにお願いしますと現地で待ち合わせ、実際に中を見せてもらってますます気に入った。
かなり時間をかけて各部屋を見て回ったが、築30年の物件とは思えないほど状態がよくて、問題となる点が見当たらない。見えていない問題があるにしても、契約不適合責任が2年付いている。
2階のベランダから富士山と丹沢の山並みが見えたのもポイントが高かった。その時点で「これは絶対に買いだぞ」と、頭の中の声がうるさいくらいであった。こちらの条件はほぼすべて満たしているわけで、この値段でこの条件なら買わない選択肢はないとすら思えた。
焦る必要はまったくないが、この物件を逃したら、同じ価格帯で同じレベルの物件を見つけるのには時間がかかるだろうし、もう出てこないかもしれない。今後これ以上の物件が出てくる確率よりも、これ以上の物件が出てこない確率の方が高いように思えた。
我々が検討を重ねる間、じっくりと待ってくれて、余計なセールストークをしてこない支店長にも好印象受けた。こんなに早く決めてしまってよいものだろうかという思いが頭をよぎったが、熟慮の末に翌日手付金を払うことにして、すぐに当該物件を押さえてもらった。
手付金の支払い&物件売買契約
物件内見の翌23日、不動産屋の事務所で重要事項の説明を受けて物件売買契約を結び、手付金を売主に支払った。通常、手付金は物件価格の1割程度だが、今回は土日に預金が引き出せる範囲ということで、50万円だった。
売主であるリフォーム会社の社長も感じのよい方で、地元で長く仕事をしている人だと分かった。地元にさまざまな業種の仲間がいて、今回の物件は立地が最高だからリフォームもばっちりやろうと、仲間たちに協力してもらったのだと言う。
外壁の状態がよかったので、すぐに中も見たくなったと伝えると、社長は「そうでしょう!」と勢いづき、屋根と外壁は特にお金をかけたのだと嬉しそうに話してくれた。
物件を売りに出してすぐに買い手はついたが、買い手のローン審査が通らずに再び売りに出したところだそうで、売主の社長に「あなたたちは運がよかったですよ」とごく自然に言われた。売主自らそう言っちゃうのと思いつつも、実際の話、私も運がよいと思ったし、縁があったのだろうと感じた。
ローン申請がスムーズに行けば、4月には引き渡しとなり、今のマンションから新居へ引っ越すことになる。高い買い物となるが、終の棲家となる物件を購入したという実感は不思議なほどにない。やらなければならないことがたくさんあるので、そのうち実感がわいてくるのだろう。
不動産屋の店長は、買う気満々で来る人よりも、買うつもりがなくて決める人の方が多いと言っていたが、案外そんなものかもしれない。