この花も花期は春なのに、12月の公園でひっそりと咲いていた。花はナズナに似ているが、タネツケバナの実は細長いさや状になっていて、棒のようなので容易に区別できる。
基本データ&特徴
- 漢字名 : 種漬け花
- アブラナ科 / 越年草 / 花期3-5月 / 日本在来 / 日本全土に分布
- 茎の根本と下部に一回羽状複葉の葉をつける。花弁は白色で長さ3〜4mm。実は棒状で上を向く。高さ10-30cm。
- 田んぼのまわりなどの湿った場所を好む。最近、道端に群生しているのは、ミチタネツケバナでヨーロッパ原産の外来種。乾燥に強いことから各地に広がっている。
名前の由来
- 稲の種もみを水に漬けて種まきの準備をする時期に花を咲かせることに由来。したがって「種付け花」ではなく「種漬け花」。春を告げる花であり、昔はタネツケバナの花を農作業開始の目安としていた。
- 別名を田芥子(たがらし)という。葉をかじるとピリッとした辛味がある。英名も「苦味のあるカラシ bitter cress」。茎や葉を摘み取ってサラダの和え物にするとおいしい。
タネツケバナとミチタネツケバナの見分け方
- 湿った場所に生えるタネツケバナに対し、ミチタネツケバナは乾燥した場所を好む。
- 雄しべの数が違う。タネツケバナは6本で、ミチタネツケバナが4本。
- タネツケバナの葉は波型で表面に毛が生える。ミチタネツケバナの葉は丸くて毛が無い。
- 花茎と果実の並ぶ角度が広いのはタネツケバナ、平行して果実が上に出るのはミチタネツケバナ。
ミチタネツケバナは、棒のような果実が花茎と並ぶように平行して、花よりも上に突き出ている。ぱっと見て一番見分けやすいのは、果実のつき方かもしれない。