ツユクサ 露草

2021年5月 埼玉県 三又沼ビオトープ

ツユクサをまじまじと見ることはこれまでなかったが、構造をよく見てみると変わった花だと分かる。2種類の花弁に、3種類の雄しべ。生き残り戦略の果てに獲得された形態や性質なのだろうが、変わった特徴がいくつもあるので、いろんな別名を持っている。

虫を寄せるので虫媒花だが、閉鎖花といって、開花せずに受粉が行われる仕組みも持っており、開花したときにはほとんど受粉は終わっているという。万葉の時代から日本人にはなじみ深い花だが、見た目も中身も興味が尽きない花だと感じた。

基本データ&特徴

  • 別名 : 青花、帽子花、蛍花、絵具花、移し花
  • ツユクサ科 / 1年草 / 花期6~9月 / 在来種 / 日本全土
  • 道端や草地などに生える。高さ30~50cm。
  • 早朝に咲き出して、午後にはしぼむ1日花。
  • 2つ折れになった舟形の苞の間から、青色の花を次々に咲かせる。
  • 花弁は3個。2個は大きく鮮やかな青色で、下部の1個は白く小さくて目立たない。
  • 萼片は3個。白色の膜質で小さい。
  • 雄しべは6個だが、完全なのは花柱とともに長く出て、葯が茶色の2個のみ。花弁に近い鮮黄色の3個は、仮雄しべで花粉を出さない。中間まで伸びた葯が矢じり形の1個は、少しだけ花粉を出す。
  • 葉は卵状披針形で互生する。葉の基部は膜質の鞘になって茎を抱く。
  • 茎の下部は地を這って分枝し、節から根を出して増える。
  • 全草を乾燥させたものが民間薬として利用される。

名前の由来

名前の由来については諸説あり。

  • 花汁につけて着色したので「着き草 (つきくさ)」、それが変化して「つゆくさ」。万葉集では「月草」と表記され、すぐ退色することから、移ろいやすい人の心を象徴している。
  • 朝咲いて昼にはしぼむはかなさが朝露を連想させて「つゆくさ (露草)」。
  • 英名の Dayflower も「その日のうちにしぼむ花」という意味。
  • 別名の青花は、花が鮮やかな青色だから。
  • 別名の帽子花、蛍草は、花の特徴的な形から。

ツユクサの写真

2021年5月 埼玉県 三又沼ビオトープ
2021年5月 埼玉県 三又沼ビオトープ
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