2023/12/17 【登山】浅間嶺・松生山 甲州路の古道である浅間尾根を歩く

目次

About this Hike 今回の登山について

 甲州路の古道である浅間尾根を歩いて、浅間嶺と松生山に登ってきた。

 4時半起床、5時出発。払沢の滝 (ほっさわのたき) 駐車場に6時前に到着。数馬行きの始発・6時40分の西東京バスに乗車して浅間尾根登山口からスタートの予定が、トイレタイムでバスを乗り逃してしまったので、払沢の滝側から登ることにした。

 南北の秋川沿いに点在する集落と甲州路をつないでいた生活路だけあって、歩きやすい平坦な道が多くて、快適なハイキングを楽しめた。歴史を感じさせる建物も多く、思いのほか展望のよいコースでもあった。

 休憩用のベンチなども各地点に用意されており、尾根からのエスケープ路もたくさんあるので、子供連れや初心者でも安心して歩けるコースと感じた。

 浅間嶺の手前で、破線ルートになっている松生山 (まつばえやま) にも寄り道したが、踏み跡はしっかりしていてそれほど危険な箇所もなかった。下山路に使うのではなく、山頂へのピストンだけなら一般ルートとほとんど変わらないと感じた。途中の展望が素晴らしいので、余力のある方は寄り道してみてもよいと思う。

 浅間尾根登山口に下り、13時25分の西東京バスで乗車して払沢の滝に戻った。早い時間だったためか、いつも混んでいるイメージがある武蔵五日市駅周辺もスムーズに通り抜けて、16時前に帰宅できた。今度は花の季節に歩いてみたいと思う。

Hiking Report 登山の記録

払沢の滝駐車場 バス停からUターン

出発の準備をしている間に、外が明るくなってきた。6時40分の西東京バスに乗るため、時間に余裕をもって本宿役場前のバス停へ向かった。
駐車場から降りてきて、都道205号水根本宿線に出たところ。右側にあるのは払沢の滝入口バス停とトイレ棟。ちなみに、こちらのバス停を経由する一番早いバスは7時34分。
西東京バス・数馬行の始発に乗るには、檜原街道 (都道33号) 沿いのバス停まで出る必要がある。
橘橋 (たちばなばし) 交差点を右に入ると檜原村役場があり、バス停はその手前にあった。10分前に到着したが、5分前くらいに便意を模様して、払沢の滝入口のトイレまで引き返した。結果、始発バスを逃した。

払沢の滝駐車場 6:50

7時34分まで次のバスを待つこともできたが、払沢の滝側から登ることにした。妻には迷惑をかけたが、生理現象なので仕方なし。
駐車場のある車道をまっすぐ進むと、登山口が出てきた。
舗装路と山道を行き来しながら上っていく。
朝陽に苔の壁が輝いていた。
道標に従って、時坂の民家が点在する中を上っていく。途中、小さな公衆トイレが設置されていた。

時坂峠 7:35

時坂峠に到着。また林道に出た。
林道歩きが続くことに不安を覚えて地図を確認すると、時坂峠の後もしばらく林道が続いていた。
林道から東京のビル群が見えた。
峠の茶屋・高嶺荘に到着。創業は江戸時代前期の1686年。数年前まで営業していたようだが、現在は閉鎖されている。
峠の茶屋・高嶺荘の前は開けていて、北側の眺めがよい。真ん中に見えるのは、御前山の手前にある小ピークのようだ。
大岳山が大きく見えていた。小休止して行動食のクリームパンを食べた。
茶屋の近くには大山祇 (おおやまづみ) 神社があった。
林道を数分歩いた先の分岐で、小岩への道を分けて浅間尾根側へ進んだ。
「お代官休息処跡」と書かれた旧高橋家の大きな建物を通過。こちらも古甲州街道の歴史を感じさせる。
枯れ沢沿いに石畳の道が出てきた。距離自体は短いものだったが、石畳の古道を歩くと無条件で嬉しくなるから不思議だ。
綺麗に枝打ちされた杉林。間伐もされているようで、針葉樹林でも適度に明るい。管理が行き届いている植林は歩いていて気持ちがよい。
動物の食害から苗木を保護するために、広範囲にネットが設置された場所に出た。道はネット沿いに続いていたが、風が吹き抜けて寒かった。
木が伐採されて間もないようで、北西から北側の眺めが抜群によかった。左が三頭山で右が御前山。三頭山の手前が浅間尾根の一本松あたりになる。
御前山の右隣は大岳山。真ん中あたりの出っ張りは鋸山。
小岩分岐で展望台経由で浅間嶺へ向かう道に入った。

松生山分岐 9:00

ゆるく上った先に、今度は松生山と展望台との分岐に出た。破線ルートではあるが、1時間くらいでピストンできそうな距離なので、松生山へ寄り道することにした。
分岐からしばらくは九十九折りの急坂が続いた。
稜線に出ると眺めのよい尾根歩きとなった。入沢山 (標高 930m) を通過。
入沢山を過ぎた当たりからは、稜線左右の展望が素晴らしかった。北西側の中央は御前山。
御前山の左奥。左から飛龍山 (大洞山)、七ツ石山、雲取山、日蔭名栗山、鷹ノ巣山と続く山並み。
御前山の右奥には、三ツドッケ (天目山)、蕎麦粒山、(鋸山を挟んで) 川苔山なども見えた。
西側には浅間尾根が一望できて、その先には三頭山。
三頭山の左奥には、雁ヶ腹摺山や小金沢山なども見えていた。三頭山 (1,531m) の左隣の大沢山 (1,482m) も大きいので、浅間尾根から眺めると三頭山が双耳峰のように見える。右端は砥山 (とやま)。
南側には丹沢の山々も見えていた。
南東側には東京湾と房総半島がかすかに見えていた。左端はこれから向かう松生山で、その右は臼杵山 (うすきねやま) 。山並みの右端には景信山も見える。
小さなアップダウンを繰り返して進む。途中にヤセ尾根も通過したが、慎重に進めば問題なし。
松生山の手前にある小ピークを通過。
山頂標に「天領山 936m」とあったので、ここが本日の最高地点となる。山の名前からこの辺りが江戸幕府の直轄地であったことが分かる。

松生山 / 標高 934m 9:25 – 9:40

天領山から少し下って上り返すと松生山に到着した。山頂にはアンテナとソーラーパネルがあった。
ソーラー設備の奥に眺めのよい場所があって、富士山がよく見えた。
風が強いようで、富士山の斜面に小さな雲が現れては消えていた。
富士山の左には御正体山から丹沢の大室山まで続く山並みが見えていた。眺めを楽しみながら、しばしの間のんびり過ごした。
松生山を出発しようと思ったら、足元にマツの幼木を見つけた。
山頂の周りをよく見てみると、山頂の南側に名前の由来であろう松の木がしっかり生えていた。
9:40 松生山を出発。来た道を戻ります。
松生山と天領山の鞍部に黒い影を見つけて立ち止まった。
カモシカがじっとこちらを見つめていた。しばらく見つめ合っていたが、カモシカに動く気配がない。横を通るのはちょっと近いなぁと思いながら、静かに前へ進むと、カモシカは南側の斜面を降りて行った。
熊は御免だが、山で生き物に出会うと得した気分になる。山の神様に感謝しながら先へ進んだ。
松生山分岐へ一気に下る。
10:00 松生山分岐を過ぎて、浅間嶺の展望台へ向かった。
広い尾根をゆるやかに上っていくと展望台はすぐだった。

浅間嶺展望台 10:10 – 10:45

浅間嶺の展望台に到着。立派な標識があるので、こちらが山頂かと思った。
展望台からの富士山。
丹沢方面もよく見えていた。
端っこのテーブルベンチが空いていたので、ミニカップ麺とおにぎりを食べてくつろいだ。
展望台から眺めた御前山。
大岳山の右には、馬頭刈山 (まずかりやま) まで続く馬頭刈尾根が見えていた。
出発前に順番待ちして、近くにいた方に記念写真を撮ってもらった。
浅間嶺展望台の様子。時間とともに人が増えてきた。
10:45 展望台を出発。
少し下ったところに、東屋とトイレ棟があった。展望台を経由しない道とはここで合流するようだ。ベンチもたくさんあって、大勢いても休憩場所には困らないスペースがあった。
東屋からは大岳山がよく見えていた。
浅間尾根をさらに進む。
しばらく上って平坦な場所に出ると、富士浅間大神が祀られていた。浅間嶺という山名は、富士浅間神社があることからと云われている。

浅間嶺 / 標高 903m 10:55

富士浅間神社から少し進むと浅間嶺に到着した。浅間嶺の正式な山頂は神社のあるこちらのピークだが、樹林帯の中で展望がないので、大きな標識を展望台の方に設置したのだろう。
浅間嶺付近のヒノキの植林帯。こちらもよく手入れがされているようだった。
浅間嶺からは、歩きやすいなだらかな道が続いた。
苗木を守る食害防止ネットが出てきた。伐採後なので、やはり眺めがよい。
南秋川の人里 (へんぼり) へ下る道との分岐を通過。モンゴル語で人間を意味する「フン」と、新羅語で集落を意味する「ボル」が訛ったもの等、名前の由来には諸説あるようだ。
小ピークを巻いて進む感じで、長沢背稜のように歩きやすかった。
斜面の下の方に視線を向けると、何か黒いものがいることに気がついた。
またもやカモシカであった。1日で2度も遭遇するとは。保護政策で数が増えているのだろうか。
何だかカモシカに監視されているようだと思いながら、先へ進んだ。
尾根に出ると、西側が開けた伐採地だった。
尾根から再び植林帯に入ってさらに進んだ。マウンテンバイクの小集団とすれ違ったりしたが、静かな山歩きが続いた。
浅間石宮を通過。

一本松 (巻き道) 11:50

一本松に到着。一本松のピークは 930m だが、巻いてコースがつけられていた。倒れた道標がなければ、一本松のポイントと分からなかっただろう。
道の脇に鎮座する馬頭観音。ところどころで石仏を見かけた。
北秋川の藤倉バス停へ下る道を分けて進む。

浅間尾根には峠を越えて南北秋川を結ぶルートは存在しないが、不思議に思って調べてみると、北秋川の集落は平家の末裔、南秋川側は甲斐源氏の末裔で、浅間尾根を挟んで古くは交流がなかったためらしい。真偽のほどは分からないが、興味深い話だ。

自然林と植林帯が前後するゆるやかな道が続いた。
かつての生活路だけあって、アップダウンが本当に少ない。

猿石 12:05

大きな岩が出てきたと思ったら、猿石だった。表札に猿石と書かれて、下に何か書かれていたが、文字が消えて読めなかった。
妻は「横から見ると猿の顔に見えるから猿石だ」と言っていたが、下山後に調べてみると、猿の手形があると書かれていたようだ。
木漏れ日が気持ちよい道を進む。物足りなく感じるほど起伏が少ないので、上りが多くなる払沢の滝側から登って正解だったかもしれない。

数馬分岐 12:15 – 12:20

浅間尾根登山口へ下る分岐に到着。
ここにも馬頭観音様が御座した。
分岐のベンチで少し休んでから下山を再開した。
少し下ったところにもベンチがあった。
どんどん下って林道に出た。林道を横切ったすぐ右に山道への入り口があった。
九十九折に下っていくと、民家の屋根が見えてきた。
そのうち車やバイクの音がよく聞こえるようになってきた。
にぎやかな声が聞こえると思ったら、民宿浅間坂で餅つきをしていた。小さい子もいて、皆さん楽しそうであった。
急な舗装路を下る。
バスの路線がある檜原街道が見えてきた。
南秋川の橋を渡る。
檜原街道に出て、西へ少し進むと浅間尾根登山口バス停がある。

浅間尾根登山口バス停 12:55

バスが来る30分前に、浅間尾根登山口のバス停に到着した。
島田材木店の前にバス停があり、すぐ隣には公衆トイレがあった。浅間尾根はトイレが多くて、登山者にとっては大変ありがたい。
この後、13時25分の西東京バス・武蔵五日市駅行 (払沢の滝入口経由) に乗車して駐車場に戻った。乗車時間は35分ほどで、バス料金は780円だった。座れたので助かった。

Course Information コース地図&その他の情報

登山コースデータ

単純標高差    :  641 m
累積標高     :  1,120 m
コース距離    :  12.7 km
標準コースタイム :  5 時間 25 分

歩行データ

総行動時間  :  6 時間 5 分
総歩行時間  :  5 時間 10 分
総休憩時間  :  55 分

払沢の滝 駐車場について

  • 都道205号 (水根本宿線) から払沢の滝入口で側道に入った先にある。
  • 料金は無料。
  • 収容台数は、30台程度。
  • 駐車場近くにトイレ有。バス停「払沢の滝入口」にもトイレ有。
  • 都道33号 (檜原街道) 沿いのバス停まで徒歩12分程度。
  • 駐車場から払沢の滝までは徒歩15分ほど。
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