2024/4/28 【登山】大菩薩嶺~牛奥ノ雁ヶ腹摺山 大展望の稜線歩きとバイカオウレン

目次

About this Hike 今回の登山について

連休前半の一番天気のよい日にどこか展望のよい山へ登りたいと思い、この時期にバイカオウレンが見られる大菩薩嶺へ出かけることにした。

上日川峠を起点に、大菩薩嶺から大菩薩峠、熊沢山、石丸峠と歩き、さらに小金沢連嶺を牛奥ノ雁ヶ腹摺山までプチ縦走してすずらん昆虫館へ下った。

朝から雲ひとつない快晴で、山歩きにはちょうどよいくらいの気温だった。いつでも混んでいる印象の雷岩から大菩薩峠までの稜線も、今回は出発が早かったので人が少なくて、心置きなく大展望を満喫できた。

石丸峠から先の小金沢連嶺を歩くのは初めてだったが、こちらも素晴らしい展望の連続で、広々とした笹原の稜線歩きは楽しかった。山頂前後の樹林帯ではバイカオウレンの群生も見ることができて、大菩薩嶺の稜線に匹敵する楽しさだった。

すずらん昆虫館前に早く着いたので、ペンションすずらんのレストランで軽食を食べてからバス (14:15) に乗って上日川峠まで戻った。バスは15分以上遅れて来たが、この日は狭い道に対向車がひっきりなしで、これはもう仕方がないと感じた。

連休の混雑を心配していたが、思惑通りに大展望の稜線歩きとバイカオウレンを楽しめて、大満足の山行となった。

Hiking Report 登山の記録

上日川峠 第3駐車場 4:55 登山スタート

2時半に自宅を出て、中央道をつかって上日川峠に4時半頃到着。第1、第2駐車場は満車だったが、第3駐車場はまだかなり空いていた。

上日川峠 / 標高 1,580m 5:00

上日川峠のトイレに寄ってから登山道へ。
上日川峠側から登るのは久しぶりだったので、唐松尾根コースがどんな感じかすっかり忘れていた。
30分ほどゆるやかに上ると、福ちゃん荘が見えてきた。

福ちゃん荘 / 標高 1,700m 5:30

福ちゃん荘のテン場で幕営しているテントをいくつか見かけた。
福ちゃん荘を過ぎると、すこし傾斜が出てきた。
ダケカンバやカラマツなどの樹林帯を進む。
山頂稜線の近くまで上ってくると、背後に富士山が見えるようになってきた。
稜線に出ると、登山者が何名か休んでいた。
そのまま山頂へ向かった。

大菩薩嶺 / 標高 2,057m 6:35

大菩薩嶺に到着。時間によっては順番待ちをしなければならないが、6時台はさすがに人は少なかった。

雷岩 6:40 – 6:50

雷岩まで戻って、ひと休みすることにした。
雷岩からに眺めた富士山と大菩薩湖(上日川ダム)。
甲府盆地の向こうには南アルプスがずらりと並んでいた。
クリームパンを食べてから大菩薩峠へ向かった。
稜線の先に、妙見ノ頭、熊沢山、小金沢山と牛奥ノ雁ケ腹摺山が一望できた。
解放感抜群の稜線歩きが続く。こんなに人が少ないの初めてだった。

賽ノ河原 7:10

大菩薩嶺と大菩薩峠の中間あたりにある賽ノ河原を通過。

賽の河原とは、死んだ子供が苦しみを受けるとされる三途の川の河原。子供が石を拾って父母供養のために塔を積み上げようとすると、鬼が来て積んだ傍から壊してしまう。これを地蔵菩薩が救うと云う。無駄な努力のたとえにも使われる。

賽ノ河原にある避難小屋。
賽ノ河原からひと上りすると、親不知ノ頭に出る。

親不知ノ頭 / 標高 1,951m 7:15 – 7:20

親不知ノ頭に到着。
標識のある所から西側へ少し進むと眺めのよい場所に出る。
北西側を眺めると、大菩薩嶺の左奥に八ヶ岳と金峰山が見えた。
富士山は南アルプスもよく見えていた。
素晴らしい稜線歩きが続く。
親不知ノ頭からしばらく進むと、眼下に大菩薩峠が見えてくる。
岩場の上から東側がよく見えた。左に鷹ノ巣山、真ん中には御前山、大岳山、三頭山の奥多摩三山、その手前から右側へ延びるのは牛ノ寝の稜線。
空は雲ひとつない快晴だった。
登山者が多い場合は少し気をつかうガレ場の下りだが、この日は誰もいないのでどんどん下った。
峠の介山荘が近づいてきた。背後は熊沢山。

大菩薩峠 / 標高 1,897m 7:30 – 8:00

家族連れの方に写真をお願いすると、撮る位置を変えて、後ろにいた人を山頂標で隠してくれた。「2枚目からよい写真が撮れています」と言ってカメラを返してくれたが、当たりくじを引いたような気がした。
大菩薩峠から眺めた甲府盆地と南アルプス。
ひと休みしていると、羽音を響かせて大きなハナバチが現れた。コマルハナバチの女王のようだ。
介山荘の裏にあるトイレ棟に寄ってから、熊沢山へ向かった。
熊沢山の北側斜面にはバイカオウレンが群生しているので、よく探しながら上った。
点々と咲いていたバイカオウレンだが、高度が増すごとに数が増えてきた。
ピンクの葯が美しいバイカオウレン。花の写真を撮りながらなので、なかなか前へ進めなかった。

熊沢山 / 標高 1,990m 8:25

熊沢山の標識を通過して山頂を少し巻いて進む。熊沢山の標高を1,978mとしているサイトもあるが、国土地理院地図で見ると明らかに違う。それとも、本当の熊沢山は違う場所にあるのだろうか。
眼下に石丸峠が見えてきた。
小金沢山の右奥に富士山、左には雁ケ腹摺山。
東側に御前山、大岳山、三頭山の奥多摩三山と、その手前に牛ノ寝の稜線が見えた。

石丸峠 8:40 – 8:45

眺めを楽しみながらのんびり下って、石丸峠に到着。
峠で短い休憩を取った。
小休止後、小金沢連嶺歩きをスタート。
振り返って眺めた熊沢山。
牛ノ寝通りとの分岐をわけて小金沢山方面へ進む。
樹林帯を上っていく。

天狗棚山 標高 1,957m 8:55

石丸峠から10分ほどで、天狗棚山に到着。
天狗棚山からは素晴らしい展望が続いていた。
素晴らしい展望に何度も足を止めた。石丸峠からは10分なので、石丸峠まで来てここに来ない手はないと感じた。
東側の眺め。左に奥多摩三山、その右手前は牛ノ寝の稜線。真ん中あたりに権現山で、その左奥に高尾山、右奥に丹沢山地が見える。
南側にはこれから向かう小金沢山。富士山は小金沢山の向こうに隠れている。
西側には雄大な南アルプスがずらりと並ぶ。
北西側には熊沢山とその左奥に八ヶ岳が見えた。
何度も足を止めて、眺めを楽しみながら先へ進んだ。
富士山は見えないものの、左右に遠望がきく解放感抜群の稜線が続いた。
広々とした笹原も気持ちよかった。
天狗棚山から狼平に続く稜線は、小金沢連嶺の白眉と言えるのではなかろうか。

狼平 9:15

狼平の道標を通過。
バイカオウレンとは明らかに葉の形が違うと思ったら、ヒメイチゲだった。
ゆるやかなアップダウンを進む。
笹原の稜線から南アルプスと八ヶ岳をのぞむ。
左奥は編笠山、権現岳、赤岳、横岳と並ぶ八ヶ岳。その右は、金峰山、朝日岳、北奥千丈岳と続く奥秩父の山々。
狼平の笹原から樹林帯へ入る。
樹林帯を進むとルートが少し険しくなってきた。
小金沢山の手前でバイカオウレンの群生が沢山見られた。
見事に咲いたバイカオウレン。
山頂手前の苔生した斜面。木漏れ日の中のバイカオウレンと苔の絨毯に目を見張った。

小金沢山 / 標高 2,014m 10:05 – 10:35

小金沢山では意外と多くの登山者が休憩していた。
小金沢山の山頂標。右奥の方は無線通信を楽しんでいた。
小金沢山からも富士山がよく見えた。富士山の左手前はこれから向かう牛奥ノ雁ケ腹摺山。
南アルプスは樹林に若干遮られていた。
ゆっくりおにぎりを食べて、小金沢山の眺めを楽しんだ。
30分ほど休んでから先へ進んだ。
樹林帯に入ると再びバイカオウレンが見られるようになった。
倒木の下に群生するバイカオウレン。
バイカオウレンは半日影の湿った場所を好むようだ。
雲が広がって太陽が隠れる時間も出てきたが、初夏の暑さだったのでちょうどよかった。
笹原の斜面を上る。

牛奥ノ雁ヶ腹摺山 / 標高 1,900m 11:10 – 11:35

日本一長い名前の山・牛奥ノ雁ケ腹摺山に到着。ここも登山者がけっこう多くて、すずらん昆虫館側から上ってくる登山者も多いようだった。
南側の黒岳と富士山。富士山には雲がかかり始めていた。黒岳の左奥は御正体山。
牛奥ノ雁ケ腹摺山から眺めた南アルプス。
なだらかに広い山頂の様子。
バス時間にはかなり余裕があったので、もう少しのんびりしてもよかったが、山頂がにぎやかになってきたので下山を開始した。
山頂から少し下った斜面に枯れ木立が広がっていた。
縞枯れと言えば、北八ヶ岳の縞枯山を思い出すが、ここも同じ縞枯れ現象のようだ。

縞枯れ現象は、亜高山帯の針葉樹である、シラビソ、オオシラビソの優占林に限って見られる現象。木々が立ち枯れたり、倒れたりすることにより、遠くから見ると縞状の模様が見られる。 山の自浄作用とも木々の世代交代や天然更新とも考えられている。大規模な縞枯れは蓼科山や縞枯山などで見られる。 
ウィキペディア

樹林帯に入ると「パノラマ岩」と表示のある眺めのよい場所があった。
南アルプスや八ヶ岳・金峰山などがよく見えていた。
しばらくは急な下りが続いた。
ミヤマスミレかな。
「県道 (バス停)」と書かれた道標に従って進む。途中からフェンス沿いの下りとなった。
フェンスの向こうに金峰山がよく見えた。
急坂をどんどん下る。
いったん車道に出た。ここも道標に従って進む。
再びフェンス沿いを下る。
コース脇にミツバツチグリが群生していた。
踏み跡はしっかりあったが、赤テープはほとんどないので若干不安を覚えながら進んだ。
砂利道に出たら左に折れて、道なりに進む。
前の登山者が何か見ていると思ったら、熊と思われる比較的新しい足跡だった。音量の大きい鈴を鳴らして歩く人がいて、登山者が多いので必要ないと思ったが、鳴らして正解のようだ。
ヤマサクラがまだ残っていた。
道路脇にタテヤマリンドウが点々と咲いていた。
車道と合流する手前で、左の登山道へ再び入った。危うく車道まで行ってしまうところだったが、後続の登山者が迷いなく曲がったので、我々も後を追った。
エイザンスミレが咲いていた。葉が特徴的なので、スミレの中でも比較的見分けやすい。
バス時間まで随分あるので、のんびり樹林帯を歩いた。
細いアスファルト道の先に仮設トイレが見えると、すずらん昆虫館前のバス停はもう近い。

すずらん昆虫館前 バス停 / 標高 1,370m 13:15 – 14:30

すずらん昆虫館前のバス停に並ぶ人の列が見えた。13:15 の甲斐大和駅行きに乗る人たちだった。
すずらん昆虫館。入館料300円。館長・沢井稔氏が収集した世界各地の昆虫標本が並べられている。
同じ敷地内にあるペンションすずらんと併設のレストラン。バス時間まで1時間あったので、レストランに入った。妻は山菜そばを食べて、私はコーヒーをいただいた。
レストランの外に出てバスを待っていると、ザックの上に天道虫が現れた。見たことのない模様だったので、妻は「天道虫に似たニセものだ」と言っていたが、「ウンモンテントウ」というれっきとした天道虫でした。

14:15 のバスは15分以上遅れて来た。バスに乗るとよく分かったが、細い道を対向車が次々に来て、すれ違いの度にかなりの減速が必要になる。バスをガードレールすれすれに寄せる運転手のテクニックには関心したが、すれ違いができなくて、退避スペースまで対向車がバックすることもあり、遅くなるのも無理はなかった。

ちなみに、すずらん昆虫館前から上日川峠までのバス料金は、460円/大人1名。

上日川峠 14:50

上日川峠に到着。甲斐大和駅行きのバスを待つ長蛇の列ができていた。
我々が乗ってきた大菩薩上日川峠線の路線バス。この日はお客さんが多いので、すぐに折り返しで出発するようだった。

上日川峠 第3駐車場 14:55

駐車場に到着。この時間は空いていたが、第四駐車場に向かう登山者も多かったので、一時は満車になっていたようだ。

来るときは中央道を利用したが、帰りは渋滞が予想されたので、大菩薩ラインを走って奥多摩湖側から帰った。普段の週末よりも車は少ないくらいで、スムーズに車は進み、17時過ぎに帰宅できた。

法面崩落の影響で通行止めになっていた「都有林道小菅線」が開通したようなので、次はフルコンバ経由で大菩薩峠に出て、小金沢山か天狗棚山までピストンしてみたい。

Course Information コース地図&その他の情報

登山コースデータ

単純標高差  :  687 m
累積標高   :  + 935 m / – 1,165 m
コース距離  :  11.8 km
コースタイム :  6 時間 10 分

歩行データ

総行動時間  :  8 時間 20 分
総歩行時間  :  6 時間 35 分
総休憩時間  :  1 時間 45 分

駐車場について / 上日川峠 駐車場

  • ロッヂ長兵衛前の第1駐車場と県道沿いの第2駐車場 (トイレ有) で60台ほど。
  • 第3駐車場は峠から森林管理道を200mほど入った先。60台ほど。
  • 臨時駐車場の第4駐車場 (大菩薩湖北岸駐車場) にも200台ほど (甲州市の案内では300台となっている)。仮設トイレ有。登山口から遊歩道で徒歩15分。車で4.5km、10分の距離。
  • 駐車場はすべて無料。
  • 県道218号線は、すずらん山荘より先が1月初旬から4月中旬まで冬期閉鎖。
  • 県道201号線は、丸川峠分岐より先が12月中旬から4月中旬まで冬期閉鎖。

4時半に到着すると第1、第2駐車場はすでに満車で、第3駐車場はまだ空いていた。連休2日目だったので、前日から山に入っている方や前泊の車が多かったと思われる。土日は混むので、早めの到着が吉。

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